実務家弁護士の法解釈のギモン

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一般社団,一般財団法人法 - 社員・社員総会(2)

2009-12-01 12:46:45 | 一般法人
 社員総会の規律は、原則として議決権が1社員1議決権とされているほかは、株式会社における株主総会の規律と非常によく似ている。
 社員総会の権限は、一般的には一切の事項につき決議しうる万能な機関であるが、理事会設置一般社団法人における権限は、法律・定款事項に限られる(35条)。所有と経営の分離のところで、すでに述べたとおりである。そのほか、社員総会の召集(36条)、社員による召集請求(37条)、理事、理事会による社員総会の召集の決定(38条)、社員総会の招集通知(39条)、社員全員の同意がある場合の召集手続きの省略(40条)、書面投票、電磁的方法による投票を認める場合の参考書類、議決権行使書面の交付など(41条、42条)、社員提案権(43条、44条、45条)、総会検査役(46条)と裁判所による総会召集(47条)、議決権の数(48条)、普通決議、特別決議(49条)、議決権の代理行使(50条)、書面による議決権行使(51条)、電磁的方法による議決権行使(52条)、理事等の説明義務(53条)、議長の権限(54条)、社員総会に提出された資料等の調査をするものの選任(55条)、延期・続行の決議(56条)、議事録の作成(57条)、社員全員の書面・電磁的記録による同意がある場合の総会の省略(58条)、同様に社員総会への報告の省略(59条)まで、条文体系は株主総会と全く同じである。そのため、以上に掲げた条文解釈は、ほとんどの場合、会社法の株主総会の規定と同様の解釈でよいのだろうと思う。
 ただし、冒頭で記載したように、議決権の数は、基本的に社員各一個の議決権とされ、定款で別段の定めをすることを妨げないとされる(48条1項)。また、少数社員権とも言いうる総会召集請求権(37条1項)、社員提案権(43条2項)、社員による総会検査役選任(46条)の議決権数の要件は個別に規定されているが、株式会社の少数株主権の場合と違い、一人一議決権である以上、少数社員権を行使するには、一個の議決権だけで当該少数社員権の要件を満たす場合を除き、必ず複数の社員が共同して行使せざるを得ないという特徴がある。したがって、この少数社員権の解釈で多少株式会社法と違う解釈があり得るかどうかであろう。
 要するに、全般として、一般社団法人の社員総会の規律は、株主総会並みに厳格化されたといいうるのである。株主総会と解釈上の違いがあるとすれば、少数社員権の解釈であって、この点だけは、株主総会との違いを常に意識する必要があるということであろう。

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