実務家弁護士の法解釈のギモン

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債権法改正-売主の担保責任(6)

2015-09-24 10:41:59 | 債権各論
 売主の担保責任に関し、特別法に重要な特則が規定されている。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」であり、俗に品確法といわれているようである。
 ここに、新築住宅の売買と請負に関する瑕疵担保責任の特則が定められており、新築住宅の売買に関しては、構造耐力上主要な部分や雨水漏れに関する瑕疵については修補請求が可能で、担保責任の期間は10年とされていた。しかし、債権法の改正案そのものが売買の担保責任として修補請求を可能としているので、品確法の特則も必然的に影響を受けることになる。が、これまで新築住宅の担保責任の実質的内容を変えるつもりはないようである。
 また、品確法上、「瑕疵」という言葉は残すようで、新たに「瑕疵」の定義を設けることになっている。品確法上の「瑕疵」とは、種類または品質に関して契約の内容に適合しない状態をいうとされる。つまり、「不適合」の内容のうち、種類、品質のみを問題とし、数量不足は含まれないことになる。ただ、新築住宅の売買の場合、事柄の性質上数量不足が問題となることはあり得ないであろう。

 以上を前提に、新築住宅の構造耐力上主要な部分等の「瑕疵」についての担保責任は通常の改正後の民法上の責任を負うことを前提に、期間制限を10年間とする定めとなる。つまり、特則となる部分はこの期間制限の伸張みとなるような改正を行う。
 従前、民法の瑕疵担保責任には法定責任説的な発想で瑕疵修補請求権は存在しないという前提のもと、新築住宅については特別法で修補請求も認めるという特則を設けていたのだが、民法そのものが追完請求権の一内容として修補請求を認めるようになることから、特則としての意味がなくなり、期間制限の伸張だけが特則としての意味を持つことになったのである。
 なお、民法上、「瑕疵」という言葉をわざわざなくしたのに、特別法で「瑕疵」という言葉を残すことの是非は問題のようにも思うのだが、どうだろう。

 以上が、売主の担保責任の改正案について、私が理解するところの、だいたいの内容である。

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