実務家弁護士の法解釈のギモン

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未公開株の株価算定(4)

2015-04-14 16:14:25 | 会社法
 これを、非流動性ディスカウント後の株価で考えてしまうと、結局、合併等には反対なのだが(だから本来は反対株主は合併しない方がよりお得と考えている)、たとえ合併するとしても、株式買取請求をして会社から退出するよりも、不本意でも会社に残る方が得になるという計算になる。これでは株式買取請求を認めた意味がなくなってしまう。非流動性ディスカウントを認めなかった判例は、このあたりを問題にしているのであろう。

 ちなみに、判例は、とりあえず、収益還元法の場合に限った判断として、非流動性ディスカウントを認めないと判示している。とくに「類似会社比準法等とは異なり」収益還元法では非流動性ディスカウントを認めないと言っているので、類似会社比準法では非流動性ディスカウントを認めてよいかの如くである。
 しかし、以上のように考えると、必ずしも収益還元方式の場合に限った問題ではなさそうだし、類似会社比準法も、私の理解では類似業種としての上場会社の株価を参照するのであり、そこから非流動性ディスカウントをすることがさらに正当化されるか否かの問題になりそうであるが、そこでも以上述べたことと同じ問題が生じそうであるが、どうなのだろう。