実務家弁護士の法解釈のギモン

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未公開株の株価算定(1)

2015-04-01 17:06:48 | 会社法
 未公開株(非上場株式)の株価をどのように算定するかは、なかなか難しく、手法としては純資産方式や収益還元方式など言われるが、最近はディスカウント・キャッシュ・フロー方式(DCF方式)が最も望ましいなどと言われることもある。
 が、私はそれぞれの具体的算定方法をよく知らないし、詳しいことはよく分からない。収益還元方式とDCF方式はどこが違うのかもよく分からない。

 ここで問題としたのは、そういうことではなく、未公開株の株価を算定する場合、どの場面でも同じでいいかどうか、ということである。
 といっても、何のことだかこれでは全く分からないだろう。具体的に言うと、非上場会社が募集株式を発行する場合の「有利発行」か否かの判断として株価算定をする場面と、反対株主の買取請求権を行使した場合の買取価格である「公正な価格」として株価算定する場面とで、同じでいいかどうか、ということである。

 募集株式を発行する場合、「有利発行」か否かを判断する場合、「特に有利」かどうかの判断となるが、法にはそれ以上の基準は設けていないので、有利性の判断としては、発行時の株価を算定し、それと払込価格との比較を行わざるを得ない。そこでの株価は、普通に考えて客観的に正しい価格でなければならず、言ってみれば反対株主の買取請求で問題となる「公正な価格」というのと特段違いはなさそうにも思える。そうだとすれば、有利性判断のための株価算定と、反対株主の買取請求時の「公正な価格」は同じ基準でいいということになりそうである。
 が、本当にそれでいいのかどうか、客観的に正しい価格と「公正な価格」の意味が同じかどうかが、気になったのである。