まずは、破産法における財団債権の定義である(破産法2条7号)。「破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう。」とある。新破産法制定時にこの条文を見て、私はやや違和感を覚えた。なぜなら、この定義内容は、どう考えても、本来の意味での「定義」ではないからである。
「定義」であるとすれば、その意味は一義的でなければならず、法律論的にいえば、定義される言葉(すなわち「財団債権」)の構成要件でなければならないはずなのである。別の言い方をすれば、「定義」は、定義される言葉の「要件」か「効果」かといわれれば、当然「要件」でなければならない。ところが、この財団債権の定義は、「効果」を説明したものである。
このことは、破産債権の定義(破産法2条5号)と比較すれば、私の述べていることの意味がわかるはずである。仮に、破産債権の定義を財団債権の定義と同じように定義するとすれば、例えば、「破産手続内において配当として弁済を受ける債権をいう。」というような効果面を主体とした表現になるはずである。しかし、実際の定義はそうではなく、まさに破産債権の要件が記載されている。定義とは、こういうものである。仮に、財団債権の方を要件論的に定義すれば、「本法(つまり破産法)において財団債権と定めた債権をいう。」ということになろうか。もっとも、これでは、定義としてあまりにも無内容であることは確かである。そうだとすると、財団債権を法律でわざわざ定義する意味はないのである。
結局、破産法2条7号は、財団債権の立法趣旨なのであって、破産債権に優先的に、かつ、配当によらずに随時弁済を受けるべき債権だからという意味で、定義規定も破産法2条7号のような定義になったのであろう。
その趣旨は分からないわけではないのであるが、しかし、「定義」と「立法趣旨」とは意味が違うと思う。それが私の持論である。
「定義」であるとすれば、その意味は一義的でなければならず、法律論的にいえば、定義される言葉(すなわち「財団債権」)の構成要件でなければならないはずなのである。別の言い方をすれば、「定義」は、定義される言葉の「要件」か「効果」かといわれれば、当然「要件」でなければならない。ところが、この財団債権の定義は、「効果」を説明したものである。
このことは、破産債権の定義(破産法2条5号)と比較すれば、私の述べていることの意味がわかるはずである。仮に、破産債権の定義を財団債権の定義と同じように定義するとすれば、例えば、「破産手続内において配当として弁済を受ける債権をいう。」というような効果面を主体とした表現になるはずである。しかし、実際の定義はそうではなく、まさに破産債権の要件が記載されている。定義とは、こういうものである。仮に、財団債権の方を要件論的に定義すれば、「本法(つまり破産法)において財団債権と定めた債権をいう。」ということになろうか。もっとも、これでは、定義としてあまりにも無内容であることは確かである。そうだとすると、財団債権を法律でわざわざ定義する意味はないのである。
結局、破産法2条7号は、財団債権の立法趣旨なのであって、破産債権に優先的に、かつ、配当によらずに随時弁済を受けるべき債権だからという意味で、定義規定も破産法2条7号のような定義になったのであろう。
その趣旨は分からないわけではないのであるが、しかし、「定義」と「立法趣旨」とは意味が違うと思う。それが私の持論である。