貴女が出てくるのは、夢を捉えることに苦労している私へのご褒美ですか。
着物など着てしまって。貴女への贈り物を託けていたのだけれど、組織は関わ
りたくないようで動いてくれず、貴女は私をとがめるように見つめるけれど、
組織の意向に逆らう気持ちは私にない。それを知ると、貴女はさっさと坂を登
って行ってしまう。まわりは着飾った女性たちの一群とそれぞれのパトロンら
しきかっぷくの良い男たち。皆満足げな様子。私にはもう関わりのない世界だ。
田舎の事務所に中国人或いは韓国人らしき人達がやってきて貴女の所在を尋ね
る。実は私にももうよく解らないのだ、つい先程までは貴女のこと何もかも解
っていたつもりなのに。パソコンを覗いたり、電話をかけたり男達は必死であ
る。鍵があるだろうだろう、鍵が。一人が大声をだす。そう鍵は私が知ってい
る、でも名乗り出る必要もない。彼らは手際よくパソコンに繋がっているケー
ブルを手繰り寄せると、その中の一本に白い大きな鍵がくくりつけられている。
貴女の鍵。
その鍵は危険だと誰かがいう。すでにもう試されていたのだ。大きな甕にひび
が入り崩壊寸前なのだ。私は直接立ち会ったわけではないけど、鍵を差し込む
や否や亀裂の走った甕の光景が目に浮かぶ。
鳥達が歌う頃に
僕達は沈んでいった
夢の中で
君は見知らぬ少女となり、
歌っていた母国の歌を
・・・