ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

鞍馬の火祭。会所の飾り、剣鉾なども見どころ。帰りの電車もすし詰め状態…

2015-10-25 | 祭事・神事・風習

10月22日「時代祭」が終わったのち、ミモロは、意を決して「鞍馬の火祭」に行くことに…。「やっぱり1度は見とかなくちゃ~」と、4年の京都暮らしの中で、初めて出かけます。意を決して…というのは、このお祭りは、ものすごく大勢の見物人が押し寄せて、往復の交通や現地での混雑が尋常ではないという評判だからです。

「やっぱり評判は、本当だった…」出町柳駅からの叡山電鉄の鞍馬行きは、身動きができないほどの混雑。約30分だけですが、それでもミモロは、押しつぶされそうになりました。

鞍馬に到着すると、交通規制が厳しくしかれ、見物人は、鞍馬駅前から、由岐神社の正面をすぎ、鞍馬街道を50メートルほど行くと、畑の中の道を川沿いにめぐり、鞍馬駅へと1周することになるのです。もちろん逆行も、ゆっくり立ち止まることもできません。「止まらないでください~。前に進んでください」という警察官の声が、あたりに響き続けます。

つまり、鞍馬駅前から畑への道に入るまでの区間しか、1周のうちで、祭り見物はできず、あとは、ひたすら前の人の背中をみて、まるで国会の牛歩戦術のようにしか動くことができません。

「こんなに大変だとは、思わなかった~」とミモロ。でも、わずかな時間でも、ミモロは、キョロキョロと周囲の祭りの景色を楽しみます。

松明に気を取られ、見物人があまり関心を示さず、通り過ぎるのが、会所です。
 
各地区には、それぞれ会所が設けられ、そこに飾りがされています。

「あ、剣鉾…」

ここにも剣鉾がありました。剣鉾は、「粟田神社」「吉田神社」「八大神社」などで、差し上げて、神輿の前に町を浄める役割を担う京都らしいもの。「祇園祭」の山鉾巡行も同じです。
鞍馬にも剣鉾があるのを知ったミモロです。

「甲冑飾りもしてる…」

古い甲冑が飾られる会所…この地域が、武士と深く結びついていたことを物語ります。
大きな松明を担ぐ人たちの装束が、力の強さや勇敢さを誇るものであることからも、祇園祭の山鉾ような町人の祭りではないことを感じさせます。

「京都三大奇祭」のひとつの「鞍馬の火祭」は、御所より鞍馬へ「由岐明神」を遷されたときの行列や儀式を、そこに暮らす人々が何代にもわたり、守り続けた神事です。林業などを生業にする山の民…でもその衣装には、海イメージさせる文様が見られます。そして歌舞伎のかたぶき者を思わせるような派手は上着。勇壮な力を示す装束とある種のなまめかしさを感じさせる上着…剛と柔を併せ持つ、不思議な世界…それが闇を照らす火で、いっそうその異形の世界を浮かび上らせます。

「一度見たら、なんか忘れられない祭りだね~」とミモロ。

さて、20時過ぎ、いよいよ祭りのハイライト、たくさんの松明と2基の神輿が、神社前に姿を見せるときが近づきました。
「わ~とても神社の前まで行けない…見られないね~」と、人ごみの中に埋もれているミモロ。

もう一周すれば、見られるかもよ…「え~また、あの人ごみを進むの~。もう無理~」と、よほど人ごみの凄さが辛かったのでしょう…「もう、いい…」とポツリ。ついにここでギブアップ。

そこで、鞍馬駅から、再び叡山電鉄で、出町柳駅へと向かうのですが、ここにもすでに長蛇の列。「わ~ん、電車にも乗れないの~」と、泣きべそ状態に…。しばらく列に並んでいれば、何台か後にのれるわよ…。「いや~ン、もう並ぶの~」と駄々をこねます。

では、一駅歩いてみましょう…。ということで、暗い山の道を「貴船口」目指し歩くことに。「並ぶより、歩く方がいい・・」と、元気を取り戻し、暗い道を歩きます。鞍馬から貴船口は、なだらかな下り坂が続き、歩くのは楽…。

「あ、ここ御旅所だ~」そう、「由岐神社」から出発する神輿は、氏子の集落を巡り、ここに到着するのです。


御旅所のそばにも大きな会所が…。


そこでは、男衆たちが、静かに松明を担ぎ、神社目指し駆け上がる出番を待っています。


「なんかここの雰囲気いいね~」とミモロ。今まで、人ごみの中からしか見えなかった祭りの様子が、すぐ間近に…。警察官の「止まらないでくださ~い」という声もありません。そこには、パチパチと燃える松明の音…時折、上る火の粉の舞う音が、闇の中に響いています。
その松明の火をじっと氏子の人たちが見つめます。


祭りの前の静けさ…年に1度の祭りに向かう男たちの意気込みが、火を見つめるまなざしと沈黙のなかに高まっていくのです。


ミモロも松明のそばへ…
「大きいね~」ミモロ、近づきすぎると燃えちゃうから、注意して…。
大きな松明は、藤の根で縛らています。

体には、松明の煙が…
キリリと結ばれた黒の締め込み…そこには、南天の小枝が…。火の粉を浴びる火祭り…無事に済むことを願う祈りが込められた小枝です。

火祭りでの焼けどは、当たり前…でも、不思議とすぐに痕もなく直るのだと言いわれているのだそう。

「こっちに歩いてきてよかったね~」とミモロ。祭りの勇壮な場面を見ることはできなかったけれど…十分、その雰囲気を堪能したミモロです。

この祭りを見物に来た外国人観光客や他府県からの観光客の中には、あまりの混雑と、その見物のさせ方に不満を抱く人も多くいます。しかし、この「鞍馬の火祭」は、あくまでもこの地域の神聖なる神事です。つまり、氏子の人たちにとっては、自分たちの祭りを勝手に見に来た人たちであり、ゲストではないのです。見物する側は、見せていただく…という心づもりが必要。
ほかの祭りと違い、見物人のためを楽しませるような屋台も、休憩所、食事処も特別に用意されてはいません。

この祭りを歩きながら、一方通行で見物する方法は、近年、大勢の人が訪れ、一か所にかたまり、全く身動きができないような混乱をきたし、安全上問題になったから…。年々増加する外国人観光客…この日もミモロのまわりでは、ドイツ語、フランス語、イタリア語、中国語など、日本語より聞こえてきました。英語での警告も度々…。

「こんなにたくさんの見物人が来たら、こういう風に誘導しないと大変なことになるね…それでもよければ、まぁ、見に来るのはご勝手に…って感じだよね。だって、氏子の人たちにとっては、昔からの本当に大切な神事なんだもの…」と京都に暮らし、神事とイベントの違いを知ったミモロです。


さて、「貴船口」の駅に到着したミモロ。始発駅で、すでに満員になった電車でしたが、ミモロが乗れるスペースはみんなが空けてくれました。
もちろん座ることはできませんが、ラッシュアワーのような状態のまま出町柳駅に到着。「まぁ、東京の電車のラッシュよりは、まぁいいかな~」と、久しぶりのすし詰め電車にも、馴れてきたのと、家にたどり着けるめどがついた安心感から余裕が生まれたよう。

この日の叡山電鉄の鞍馬発の最終は、24:01。「これに乗り遅れると、どうなるんだろ?歩いて山を下るしかないね~」とミモロ。岩倉か宝ヶ池くらいまで歩けば、タクシー乗れるかも…

10時前には、家にたどり着いたミモロ。「もう足棒になっちゃった~」と、出かけてから一度も座ることができず、立つか歩くかをし続けるしかありませんでした。夜、ゆっくりお風呂に入り、爆睡したミモロ。



次の日、ミモロは、ご近所の方やお友達に「鞍馬の火祭行ったの~」と話すと、「え~ミモロちゃん行ったんだ~。大変だったでしょ…。よく行ったね~」と。「え~みんな行かないの?」「混んでるって聞いてるから行かない…」とか「もう何十年も行ってない…」「一度行きかけて、あまりの人に引き返した…」などと言われました。どうも京都在住の人は、もうあまり行かないよう…。つまり行くのは、「時代祭」見物に来た観光客などを中心に、京都以外の人たちがほとんどだということがわかりました。

今年は、夏に「愛宕山の千日詣り」に、そして「鞍馬の火祭」に、共に京都では、なかなかハードなものと言われるのが、よくわかりました。


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