日本建築や茶室などに使われる銘竹などを専門に扱う、大宮通と五条通の交差点近くにある「竹平商店」。
店内には、真竹、煤竹、しみ竹など、美しい竹材が、ずらりと並んでいます。
4代目のご店主、利田淳司さんに、竹のお話を聞きながら、見学したミモロです。
(余談ながら、利田と書いて、「かがた」と読むお名前、これはむずかしい…。)
さて、見学が終わったところで、先代のご店主である章司さんが、ミモロに、茶杓づくりを見せてくださることに。
利田章司さんは、茶杓、花入れ制作の優れた技術により、竹工芸師として「京の名工」にもなられています。茶杓づくりを本格的に初めて30余年とか。「うちには、竹が売るほどあるんで…」と、ニッコリ。作品の展示なども、いろいろ依頼されていらっしゃいます。
現在は、「NHK文化センター 京都教室」で「茶杓をつくる」という講座の講師も務められています。
ミモロは、章司さんと一緒に店の奥まった場所にある作業机のところに向かいました。
「茶杓って、お茶会いの時、お抹茶をすくう竹でできた細長いスプーンみたいなものでしょ?」そうですが…これが素人目には、同じように見えるものながら、なかなか奥が深いものとか…。
茶器が展示されている美術館にも、歴史上、名だたる茶道家などが作られた茶杓を見ることがあります。
「作るのって、むずかしいのかな?」ミモロは、興味津々の面持ち。
茶杓のポイントは、何と言っても、節。節のない茶杓はありません。
竹の節に趣がある竹材を細く削ることから始まる茶杓づくり。茶杓づくり用の節の位置を決める定規もあるんです。(もちろんこれも竹製です)
手に馴染む幅に削られた竹を、先頭部分の抹茶をすくうところを曲げるため、水にしばらくつけて、竹を柔らかくして、アルコールランプで、熱のかけ具合を慎重に調節しながら、ゆっくりと曲げて行きます。糸などで固定して、何日か掛けて、カーブを安定させるそう。
次に、丁寧に側面などを、小刀で削り、茶杓の姿を整えます。
何度となく、茶杓全体を眺めながら、微妙な加減で、竹を削る作業が続きます。
真剣なまなざしで作業をなさる章司さんの傍らで、ミモロもじっと黙って、その作業を見つめていました。
茶杓は、横からよく見ると、真っ直ぐではなく、微妙にカーブしています。
「抹茶をすくう時や茶入れに置いた時にバランスがよくないといけません。茶杓は、とてもバランスが大切なんですよ」と。
時折、小刀の作業を中断して、全体の姿や微妙なバランスをチェックします。
「もう少し…」と言いながら、アルコールランプに茶杓をかざし、親指で、カーブを加えます。
「茶杓は、節の部分を指の上にのせると、ヤジロベエのようにバランスが保てるようになっているんですよ」「えー知らなかった…」。お茶席でお茶を飲む専門のミモロは、実は茶杓は見たことがあるだけで、実際に手に持ったことはありません。
素人目には、よくわかりませんが、茶杓の削り方やカーブなどに、作る人の個性が現れるそう。
最後に、持ち手の端の部分に小刀を入れて、削る作業は終了です。そして、仕上げに、全体を磨いて完成。
「できましたよ…もってごらんなさい…」と、ミモロに完成した茶杓を。
200年以上たつという煤竹を用いた渋い茶色の茶杓です。
「今度、茶杓を見るときは、もっとよーくその姿をながめるようにします…」とミモロ。
「それ特別にミモロさんにプレゼントします」と。「わーありがとうございます。大切にします。あのね、うちにはお茶碗もお抹茶もあるの…えーっと後は、茶筅を揃えれば、お抹茶が飲める…茶道のお作法は知らないけど、お茶が飲みたいから…まずはミモロ流でやってみます」と、お茶への関心をいっそう高めたミモロです。
「ホントに、竹の世界も深いね…あんなにいろんな種類の竹があるなんて知らなかったー。しかも、どの竹材もすごく美しい…それを見られただけでも、感動もの…。茶杓の世界も、初めて知ったことばかり…なんか今日はすごくいろいろ学んじゃった…」と。
頂いた茶杓を大事そうに抱えて、ミモロは、「竹平商店」を後にしました。
*「竹平商店」の詳しい情報は、ホームページで。また、利田章司さんが講師をなさる「茶杓をつくる」講座に関しては、「NHK文化センター 京都教室」のホームページをご覧ください。
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