michi のひとりごと

日々のつぶやき、あれこれ。

老々介護で 100歳になった母を見送りました。
こちらは重度の難聴。

『生命を分かち合う者』

2012-09-15 07:16:20 | 

 『地球(ガイア)のささやき』  龍村 仁 著

図書室にあった本、タイトルに惹かれて読み始めたら、以前読んだことがあるのに気づいた。

でもかまわず読み続けました。

良い本は、何度読んでも感動します。

  う~ん、ほんと、そうなんだよねー、

ニンゲンって、地球で頂点に立つ生き物なんかじゃない。

自分たちにとって都合の良いようにして当然なんて、とんでもない! 傲慢すぎる。

そして私たちは、文明を発達させてきたような気でいるけれど、

ほんとうに、そうなんでしょうか? 

 

例えば、〈気の交信〉という章から抜粋してみます。

  (本で使われているカッコは、ここでは文字化けになるかも、と思って、別のカッコに替えています。)

 

              

 

ブッシュマンの男たちが狩に使う弓は、素朴でかわいく、一見おもちゃのように見える。自然の素材を使い、すべて手作りで一本の弓を作ってしまう。このやり方はたぶん、数万年間変わっていない。

道具を進歩させてこなかった人々のことを西洋近代文明は、「未開人」と呼んで蔑んできた。ところが、それがとんでもない誤りであったことに最近ようやく気づき始めた。

ブッシュマンの人々が道具を進歩させてこなかったのには深い理由があり、そこには、自然と調和しながら生きる彼らの、素晴らしい叡知が隠されていたのだ。

(例えば)「象を仕留める」という結果だけから見れば、弓よりマシンガンのほうがずっと効果的で正確だろう。何より、人間は「楽」ができる。

しかし、そのことによって、最も大切なものを失ってきた。

 ――

自分自身が、その動物になりきるのだ。自分自身の「気」を、鹿なら鹿、象なら象の「気」と同調させるのだ。

 ――

ブッシュマンの言葉には、「動物」「植物」「人間」といった抽象概念によって世界を分類し理解しようとする営みがないのだ。

その代わり「生命を分かち合う者」「生命を脅かす者」という大きな分類があって、

「生命を分かち合う者」の中では、動物も植物も自然現象も区別はないのだ。

 

「生きる」ことは、「生命の移しかえ」である。

 

             

 

こういったことを、もっと身近な言葉であらわし、

心に しみじみと伝えてくれたのが、

たとえば、金子みすヾさんの詩じゃないでしょうかね。

 

 

 

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羊男がいるんですよ、心のなかに

2012-08-23 07:09:15 | 

きのうご紹介した『こころと人生』。

河合隼雄さんは、

誰にでも分かる平易な言葉で、優しく語りかけてくれるんです。

 この雰囲気がとても心地よい。 

も、各所にユーモアが溢れ、ケタケタ笑ったりしながら、

  「どう生きていったら良いのか」

  「本当の幸せとは」

といったテーマに深く入っていく。

それは、壇上からの有難いお話、ではなく、

隣り同士座って、共に真剣に語り合う という感じ。

 

この中で、「第二章 青年期の悩み」に、

「羊男」というのが出てくる。

これは、村上春樹さんの『羊をめぐる冒険』に登場するのだそうですね。

「腹の底にいて何かモヤモヤと言っている」

――こういう感じ、あるんですよね、もうと~っくに青年期は過ぎてもね。

 

そして、ユングの「自分とは」が出てきて、

心理学を分かりやすく読み解いてくださいます。

 

読み進めていくと「自分なりの世界をもつこと、これが大事です」とある。

「たとえば、俳句でも絵でも、盆栽でも、

なんでも良いから自分なりに味わえる、楽しめるものをもつことです」と。

これはとても大事なことだですよね。

流されない。 評価を気にしない。

自分の今の気持ちにピッタリくる、この思いを表現できるものを見つけ、味わう、

自分なりに――。

 

  以前、私はヘタなりに短歌を毎日のように作って、というか、

  浮かんでくる時期がありました。

  悲しいにつけ、嬉しいにつけ、短歌に表す というより生まれてくる。

  辛いときでも、その 感じ をそのまんまピッタリ表せる作品ができると、

  ヘタは承知だけど

  それなりに こころが しっくり落ち着いてくるんですよね、不思議と。

 

なんだか、とりとめのないおしゃべりになってきちゃいましたが、

この本、キラリと光る宝石が各所に散りばめられているようで、

またしばらくしたら読み返したいナ。

  なんだか、あったかい大きな手を肩にのせてもらったような感じがしています。

 

 

 

 

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あたたかいナ、河合隼雄さんの講演集

2012-08-22 07:13:00 | 

このごろ、図書室の本を読み漁ってます。

そんな中で、久しぶりに良い本に廻り合った。

こころと人生』というタイトルには、さほど惹かれず(こういうの、けっこう読んできたので)、

通り過ぎようとしたら、

「河合隼雄 著」、というので手にとってみたんです。

 

本の内容

カウンセリングや心理療法という仕事をしていると、多くの人の相談を受ける。すべて何らかの「困ったこと」や「苦しいこと」があるためである。その人たちはそれを何とか早く除去したい、そこから逃れたいと思い、来談される。しかし、むしろそのような苦悩を通じてこそ、自分の新しい生き方を探し出したり、自分の人生の意味について新しい発見をされたりすることになる。悩みが成長へのステップとなる。それが人生の面白いところである。

人生のそれぞれの時期のこころの問題を、臨床家としての眼が細かに、かつ鋭くとらえた講演集。(Yahoo!より)

 

帯には、鶴見俊輔さんや、山田太一さんの推薦の言葉があり、

さらに谷川俊太郎さんのこの言葉は、読む前も、読んだ後も、

グッときた。

 

 河合さんのお話は、こんこんと湧く、泉の水のようにおいしい。

 日ごとの太陽のように古くて新しい。

 みちばたの草のように当たり前で、よくみると美しい。

 

 

うーん、、蛇足ながら、

私だったら、さらに こう付け加えたい気持ちが。

  「そして、じんわり あったたかい。」

 

 

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