Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Dave Lafary

2010-08-22 | Christian Music
■Dave Lafary / Glimpses Of A Rainbow■

  4 月に取り上げたことのある Dave Lafary のセカンドアルバム。 1981 年に発表されたこのセカンドは自主制作の趣が強く、Sounds Fantastic Records という謎めいたレーベルに移っています。 参加ミュージシャンのクレジットもないことから、弾き語りに毛が生えた程度の編成ではないかと予想しましたが、ピアノ、ストリングス、サックス、女性コーラスなど多彩なサポートがあり、品質劣化の予想はあっさりと覆されました。 むしろ、何の制約もなく自由にアルバムを作り上げたという雰囲気が伝わってきて、好感度はこちらのほうが高いと感じます。 前作はオリジナルを中心にしつつ、「You’ve Got A Friend」のカバーを収録するなど、マーケットを意識していた気がします。

  温かみのあるアコギにリードされたミディアム「A New Beginning」でアルバムは始まります。 息の合ったハーモニーと間奏部のサックスソロが聴きどころですが、CCM ならではの予定調和世界のはじまりを感じさせる曲です。 清楚なピアノに導かれた「Father’s Love」は、慈悲の心を歌った美しいバラード。 ストリングスがそよ風のように合流する中盤からコーラスに厚みも増してきて、完成度の高さを感じます。同じような主題の「Your Love」は一転してホーンセクションが活躍するアップ・ナンバー。 エコーのかかったボーカル処理が気になりますが、ソフトロックのようなサウンドに仕上がっています。 女性コーラスが秋風のように感じる「Heavenly Love Song」は、カラッとした雰囲気のカントリー風。 つづく「I Just Thought You Should Know」は、メロウな AOR のようなバラード。 淡麗なピアノ、巻層雲のように薄く入るストリングスもさることながら、間奏部のフリューゲルホーンらしき音色にはメランコリックな気分が増幅させられます。 夏の終わりの淋しさに似た気分といったら大げさですけど。

  ピアノによるマイルドなイントロから始まる「Smilin’ Again」で B 面は幕開け。 この曲は 30 秒ほどして一気にテンポアップし、ソフトロック的な曲調に変化します。 つづく「Father And Son」と「I Really Want To Know You」は典型的な CCM のバラード。 こういった曲を聴くと、リスナーに心の安らぎを与えることが CCM の使命のひとつであることを切に感じます。 ラストの「Lullaby」と「Irish Blessing」はメドレーとなっており、レーベル面にはひとつの曲として扱われています。 アコギの弾き語りが優しく響く「Lullaby」は、ストリングスのアレンジに包まれたゆりかごのよう。 メロディーが変化したと思ったら、そこはもう「Irish Blessing」です。 1 分に満たないこの曲は、アルバム全体に対する追伸みたいな存在に思えますが、タイトルからして、Dave Lafary はアイルランド系移民の息子なのかもしれません。 しかし、サウンドからはその傾向は全く感じないので、全く無関係という可能性も十分あると思います。

  さて、こうして Dave Lafary のアルバムを通して聴いてみましたが、冒頭にも書いたように自主制作にしてはかなりのクオリティを保っており、曲の良さもあって CCM 系 SSW 作品としては見逃したくない作品だと思います。 とはいえ、CD 化されて多くの人に再評価されるべきアルバムとまでは言い切れません。 そうした微妙な立ち位置の作品が多いことが、多くの CCM ファンを悩ませ、知らず知らずと深い森へといざなってしまうのでしょう。

■Dave Lafary / Glimpses Of A Rainbow■

Side-1
A New Beginning
Father’s Love
Your Love
Heavenly Love Song
I Just Thought You Should Know

Side-2
Smilin’ Again
Father And Son
I Really Want To Know You
Lullaby
Irish Blessing

Produced by Dave Lafary and Craig Lindvahl

Sounds Fantastic Records NR 12817


最新の画像もっと見る

コメントを投稿