Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Morning Song

2010-08-16 | SSW
■Morning Song / Listen To A Sunrise■

  ペンシルヴェニア州を拠点に活動していた 5 人組 Morning Song が 1974 年に発表したアルバム。 バンド名、タイトル名からして清々しさを感じる1枚です。 サウンドのほうは幾分カントリー色が強い傾向にあるものの、スロウやミディアムで聴かせるアコースティックな音色とハーモニーは避暑地で過ごしているような気分にさせられます。 曲間にストリングスのみで数秒のインタリュードが配置されていたりする工夫も納涼効果を上げることに成功しています。
  この Morning Song は、Frederick Curdts と Terry Sweet を中心としたグループで、この二人がほぼ半分ずつ曲を書き、自作でリードボーカルをとっています。 なかでも Terry Sweet はプロデュースも行い、ストリングス・アレンジも担当するなど、リーダー的な存在なのでしょう。

  Morning Song の特徴はフォークやカントリーを核としながらも、意表をついたアレンジや展開が随所にみられるところです。 海外で Progressive Folk と評されることがあるのは、そのあたりを上手く表現したものでしょう。
 その特徴がはっきりと表れるのが B面です。 1 曲目の「Love Of A Friend」は Terry Sweet の手による完成度の高いバラードで、幸福感に満たされるのですが、つづく「Growing」から変化が始まります。 この曲は曲調がめまぐるしく変化する展開で、メンバーの創作意欲の放射を感じる作品となっています。 次の「Silent Morning」はFrederick Curdts によるバラード。 ギター、ストリングス、ハーモニーが交錯した抒情性はひたすら感動的です。 「There’s A Light」は浮遊感のある独特の作風に、スペーシーな女声コーラスが重なり合う風変わりなナンバーですが、後半は一気にたたみかけるように変化し、予測不能の展開を迎えます。 このあたりはまさに Progressive Rock の影響下にあることを感じさせるものです。 ラストの「Gentle Thought」はビオラのソロに導かれながら、美しいコーラスで終わる短い曲。 このようにバラードと意欲的な曲を交互に配置した展開は、何度聴いても鮮度が落ちることがありません。 まさに、名盤としての余韻を聴き手に残すことに成功していると言えるでしょう。

  A 面についても軽く触れておきましょう。 シンプルなフォークやカントリーもあるなか、バラードと思い込んでいた「Ontario」は意外にもハードな展開でした。 ストリングスのインタリュードを挟んで始まる「You Try」は清々しい森林浴を想起させるアコースティックな名曲。 つづく「Never Bending Ears」も厚みのあるコーラスが美しいスロウ・ナンバーです。

  Morning Song は1977 年 3 月頃に 5 年半の活動にピリオドを打ち、解散したようです。 そのことを報じるペンシルベニアの大学新聞をネットで発見することができました。 そこには、Frederick Curdts のコメントが記載されていましたが、長い間の活動での疲労や音楽性の違いによる発展的な解散だったようです。 Frederick Curdts は Randy Hughes とユニットを組む予定とのことでしたが、その後のことまでは追いきれませんでした。 いすれにしても、この「Listen To A Sunrise」が彼らの残した唯一の作品の可能性が高いようです。 志の高い青年たちによる美しいコーラスと創意は永遠にレコード盤に刻みこまれ、メンバーだけが歳をとっていくのでしょう。

■Morning Song / Listen To A Sunrise■

Side 1
Doesn’t Much Matter
Look At Me
Ontario
You Try
Never Bending Ears
Blue

Side 2
Love Of A Friend
Growing
Silent Morning
There’s A Light
Gentle Thought

All songs published by Morningsong
Produced by David Still and Terry Sweet
Recorded at Baldwin Sound Production Studios, Mechanicburg, PA

Frederick Curdts : vocals, acoustic guitars, banjo, recorders
Terry Sweet : vocals, electric guitar, ascoutic guitars , synthesizer
Greg Taylor : drums. Percussion
Richard Kozak : vocals, violin, viola, mandolin, percussion, jaw harp, dog
Randy Hughes : vocals, bass guitar, acoustic guitar

Steve Binsberger : piano on ‘You Try’
Tom Oliver : piano on ‘Love Of A Friend’
Steve Shelmire : organ, piano on ‘Ontario’
Rick Farr : harpsicord
Mary C. McConaghy : violins
J. David Pastorkey : violins
Joe Pliva : viola
Williams Thomas : cello
Linda Thomas : harp
Marian Lorence and Marian Stetler : female voices

Morningsong Records CS7871


最新の画像もっと見る

コメントを投稿