Reflections of Tomorrow

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Stone House

2011-10-02 | SSW
■Stone House / New Again■

  いよいよ 10 月ということで秋らしいジャケットの作品を取り上げました。 シアトル出身の男女デュオ Stone House が 1978 年に発表したアルバムです。 Stone House はすべての作曲、多彩な楽器とボーカルを手掛ける Mark Brown と Kathy Hundley によるグループ。 アコースティックなサウンドをベースに、二人の伸びやかなボーカルと息の合ったコーラスが堪能できる等身大のナチュラルさが最大の特徴です。 ちょうどジャケットのような草原に佇んでいるかのような清々しさと、心の翳りを投影するような物憂げな感覚とが絶妙に交錯しながら、アルバム全体の色彩感が保たれているという印象です。

  美しいピアノのイントロに導かれた「Those Days」は、KathyとMark が交互にボーカルを務め、次第に重なっていくという展開が見事なバラード。 Tom Sparks による天に駆け昇るようなギターも魅力です。 つづく「Tangled」はギターを軸としたカントリー・タッチの曲。 「Michigans」はピアノとヴァイオリン、そして透明感あるギターの音色が絡み合って、夕暮れのうろこ雲をみているような気分にさせられます。 Mark がひとりで歌いきることで、雄々しくも淋しげな情景を描き切っていました。 アレンジがジャズっぽい「Blue Day」につづく「But Love Me」は、Kathy の独壇場というバラード。 彼女のアルト・ボイスが全編に広がり、ちょうど「Michigans」と対の存在のように感じられました。

  B 面に移りましょう。 「Bless My Soul」は Kathy と Mark のハーモニーが緩急自在に展開される表情豊かな楽曲。 アレンジも素晴らしく、Stone House の典型的なサウンドとして紹介できる仕上がりです。 つづく「Make It New Again」は、リリカルなピアノに Kathy のアルトが重なり、美しいメロディーが奏でられる気品あふれる佇まい。 クリスチャン・ミュージックのような「Father」は Muriel Saunders のヴァイオリンとピアノの間奏部分が聴きどころ。 静寂が打ち破られギターが激しく刻まれ「Denver」へ。 この曲は個人的には今一つですが、つづく「Fallin’ Star」はラストに相応しいスケール感と美しいハーモニーに満たされた楽曲です。 これぞStone House という楽曲でしょう。 彼らが表層的な情緒指向に陥らないのは、ふたりの低音の魅力だということをここで再認識することができました。 
  このようなアコースティックなサウンドを奏でた Mark Brown と Kathy Hundley ですが、どうして Stone House というハードロック・バンドみたいな名前にしたのでしょうか。 その理由は判りませんが、ちょっと勿体ないという印象は否めません。

  さて、このアルバムには 1980 年に AOR の名盤といわれる「Rain Or Shine」を発表した Dave Raynor が参加しています。 当時のシアトル人脈だと思いますが、彼のファンであれば要チェックですね。 もちろん彼のソロ作品を期待してはいけませんが。

■Stone House / New Again■

Side-1
Those Days
Tangled
Michigans
Blue Day
But Love Me

Side-2
Bless My Soul
Make It New Again
Father
Denver
Fallin’ Star

Produced by Mark Brown and Kathy Hundley
Engineered by Jim Wolfe and Cal Wood
All Songs by Mark Brown

Kathy Hundley : vocals
Mark Brown : piano, acoustic guitar, organ, vocals
Garrett Smith : bass
Martin Lund : sax, flute, clarinet
Dave Raynor : electric guitar
Tom Sparks : electric guitar on ‘Those Days’
Muriel Saunders : violin on ‘Father’
Rob Shaw : violin on ‘Michigan’

Windmill Records WM 8447




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