Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Robert Koeningsberg

2011-01-08 | Christian Music
■Robert Koeningsberg / First Things First■

  2011 年最初に取り上げるアルバムは、クリスチャン・ミュージック。 アルバムタイトルが、「First Things First」ということで年頭第一弾にはぴったりということで選んだレコードは、Jesus The Healer Records というクリスチャン・レーベルから 1977 年に発表された Robert Koeningsberg の作品。 ジャケットからは地味な作品を想像してしまいますが、カリフォルニアでのレコーディングと 1977 年という時代背景を強く反映しており、同時代の SSW/AOR 作品と肩を並べてもまったく遜色のないレベルの作品となっています。 とくに、ピアノやフェンダーの音色が淡く響くバラードは心に深く染み入ってきます。

  そのバラードとして出色なのが、「It’s Your Move」です。 Fender rhodes の甘い音色にとろけつつ、ソウルフル&エモーショナルなボーカルが堪能できて、何度でも繰り返し聴きたくなる 1 曲に仕上がっています。 他にもノスタルジックな雰囲気のバラード「Any Old Stick」、シンプルでありながらも力強いピアノの弾き語り「Like No Other Can」、ピアノの残響に緊張と充足感が交錯する「Walking By Faith」などにバラードシンガーとしての彼の真骨頂を感じます。
  いっぽう、Robert Koeningsberg の魅力はバラードだけに留まりません。 西海岸ならではのポップさやキャッチーなメロディが随所に散りばめられており、このアルバムの魅力をより高めています。 たとえば、オープニングを飾る「Gladness」は人生の喜びを高らかに歌い上げるスケール感あふれる楽曲ですし、典型的なウェストコーストサウンドに砂埃をかけたような「Check It Out」はどこかで聴いたことのあるようなサビのメロディーがご機嫌です。 他にも、カントリー臭い陽気な「A Good Deal More」、レイドバック感あふれる「The Blessings Song」などの楽曲がアルバムの奥行きを広げています。
  ライブレコーディングによる祈りに満ちたトークから一転し、ポップな曲調に変化していく「Full Circle」も聴きごたえのあるナンバー。 ラストの 2 曲「I’m Coming Home」と「He Is Here, He Is Worthy」では、予定調和が本質ともいえるCCMのお手本のような流れとなっており、まるでスタンダード曲のようなメロディと穏やなメッセージが緩やかに絡まりあっています。 かなりの充実した気分でアルバムを聴き終えることができるのも、この2曲の貢献が大きいと言えるでしょう。

  Robert Koeningsberg の唯一の作品と思われるこのアルバムは、冬のサンタモニカの桟橋あたりで夕日を眺めながら聴いてみたいメロウでマイルドな作品です。 セピア色のジャケットのせいなのか、このアルバムを聴くたびに妙に感傷的な気分になるのはなぜでしょうか。 それはおそらく、CCM というジャンルが持つ普遍的な優しさだけではく、Robert 本人や参加ミュージシャンの思いや息づかいがレコードの溝を通して伝わってくるからでしょう。 コンピューターに支配された現在の音楽では表現できないアコースティックな温もりに満ち溢れたこのアルバムを名盤と呼ぶことに何らためらいはありません。

■Robert Koeningsberg / First Things First■

Side-1
Gladness
It’s Your Move
A Good Deal More
Check It Out
Any Old Stick
Don’t Blame God

Side-2
Full Circle
Like No Other Can
The Blessings Song
Walking By Faith
I’m Coming Home
He Is Here, He Is Worthy

Produced by Robert Koeningsberg with John Ayers
All compostions by Robery Koeningsberg

Robert Koeningsberg : guitars, drums, percussion, piano and rhodes, backing vocals
John Ayers : guitars, bass, percussion, backing vocals
Dave Marsh : bass
Mark Jerome : drums, percussion, backing vocals
Jim Sarracino : percussion
Terry Pruett : percussion, backing vocals
Ben Carr : percussion, blues harp, backing vocals
Steve Steffy : pedal steel
Kim Gibson : backing vocals

Jesus The Healer Records JHS7003


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