Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Ron Chrislock

2008-08-30 | Folk
■Ron Chrislock / Color Me A Thousand Rainbows■

  Ron Chrislock のファースト・アルバムは 1971 年春に VADAN という無名のレーベルからリリースされました。 当時のプレス枚数はかなり少なかった様子で、しかもほとんど売れなかったこともあり、そのオリジナルは瞬く間に稀少盤となったようです。
  その 7 年後の 1978 年に Ron Chrislock がセカンドをリリースするにあたって、どのような経緯かは知りませんが、再発の機運が高まり、「Ode To A Warrior」と同じ Silent Thunder からリリースされたのが、僕の持っているレコードです。 しかし、それも 30 年以上も昔のこと。 すでにこの再発盤もあまり見かけることがなくなってきました。

  再発の際にリマスターされていますが、オリジナルとの音質にどれほどの違いがあるかは疑わしいところです。 ただ、ギターを奥に閉じ込め、ボーカルを前面に出したサウンドの作りは、当時の彼の魅力を十分に引き出していると思います。
  では、当時の彼のサウンドの特徴はどのようなものだったのでしょう。 実はこのアルバムは「Ode To A Warrior」と異なり、Ron Chrislock による完全な弾き語り作品なのです。 当時の音楽潮流といえば、Carole King や James Taylor に代表されるシンガーソングライター時代の幕開けと重なりますが、Ron Chrislock の音楽は、むしろ 1960 年代のフォークに近いものを感じます。 ネコ声な分、Bob Dylan かと思ってしまう場面もあったりします。 アルバム全体を包むイメージは、地味でどんよりとしたものなのですが、曲によってはポジティブなマインドが感じられるものもあります。 

  お薦めの曲をいくつかセレクトしてみましょう。 オープニングの「Color Me A Thousand Rainbows」はアルバムで最も存在感のあるゆったりした曲。 バック・ミュージシャンがいればもっと膨らみを演出できたと思います。 つづく「Female Counterpart」は、Ron Chrislock のボーカルが最もエモーショナルに響く曲。 親しみやすい「ラララ」もあり、この 1・2 曲目はアルバムの聴きどころとなっています。
 ポジティブな印象を感じるのはラストの2曲です。 「Wheel Of 84 Stopped」はトーキング・ブルースのようなアップ。 ラストの「Flowin’ To And From The Sea」は軽快なアルペジオをバックにせっかちに歌い上げる感じの曲。 相変わらず SSW サウンドというよりはフォークど真ん中です。

  こうして、Ron Chrislock のアルバムを 2 回に渡って取り上げましたが、7 年間にフォークシンガーが変容する方向性の意外さを感じざるを得ません。 カリフォルニアのイメージをここまで排除した独自の世界観は、オブスキュアで謎めいたものに写ります。 しかも 1978 年以降の Ron Chrislock の足跡は全くつかめませんでした。 いったいこの謎の SSW は、どこに消えてしまったのでしょう。 その謎めいた佇まいとサウンドが交錯するところが、Ron Chrislock の最大の魅力ではあるのですが。 

  最後にこのアルバムについて取り上げていた唯一のサイトを紹介しましょう。 海外のサイトなのですが、VADAN からリリースされたオリジナル盤が掲載されているのです。 こうして眺めると、オリジナルのジャケットのほうが断然いいですね。



■Ron Chrislock / Color Me A Thousand Rainbows■

Side-1
Color Me A Thousand Rainbows
Female Counterpart
Glimpses
Paths Round The Crown

Side-2
Cusp Of Ages
Thumb Realization
Ballad Of A Mental Tear
Wheel Of 84 Stopped
Flowin’ To And From The Sea

All songs written by Ron Chrislock
Recorded at Mantra Studio, San Mateo, CA 1971
Re-mastered at Kendun Recorders, Burbank, CA 1978

Silent Thunder Records C-1006

Ron Chrislock

2008-08-27 | SSW
■Ron Chrislock / Ode To A Warrior■

  ジャズやロックのフェスティヴァルで有名なカリフォルニア州モンタレー出身のシンガーソングライター、Ron Chrislock のセカンドアルバム。 ファーストも持っているのですが、訳があって 1977 年のセカンドから紹介することにします。
  カリフォルニアといえば、Eric RelphJoseph Nicoletti のような異色のシンガーソングライターが突然変異のように出没しては失踪するのですが、Ron Chrislock もそんな変り種の一人といえるでしょう。 まばゆい太陽の光、乾いた風といったウェストコースト感は全く感じられません。 ハードロックかと思ってしまうこのジャケットも減点ポイントとなっています。 しかし、内容は意外にもポップさの全くない玄人好みの作品なのです。 
  
  このアルバムの特徴は、コンガとパーカッション中心のリズム編成とほとんどの曲に参加しているチェロの音色にあります。 そして陽気な西海岸という気分を一貫して排除しているところが気になります。 アシッド感やドリーミーといった言葉は似合うのですが、「カリフォルニアの青い空」はどこにも見えてきません。

  アルバムは控えめなピアノをバックに歌われる「The Key」で静かに幕をあけるのですが、Ron Chrislock のネコ声が妙に耳に残ります。 同じ演奏でも声質によって印象がかなり変わってくることをついついイメージしてしまいますが、このネコ声になれてくる頃には徐々に演奏が高揚し、楽曲が盛り上がりを見せてきます。 この起伏はプログレのようでもあり、Andy Pratt を思い出したりもします。 一転して淡々としたミディアム「Departed Lover」につづく「Soldier Of The Light」は厚いコーラスによるわかりやすい曲。 フルートの音色が凛とした気分にさせる「My Heart Is An Eagle」は Tami Osborne に近いサウンドです。 もちろんボーカルが違うので全く印象は異なりますが、バックの演奏だけをとれば、冷たい浮遊感に支配されているといっても過ちではないでしょう。 この曲が個人的にはハイライトです。

  B 面の「Ginseng And Goldenseal Blues」は初めてドラムスの存在が確認できる曲。 オーソドックスなフォーキーで、♪Ginseng And Goldenseal Blues♪を繰り返すのですが、アルバムのなかで唯一ハッピーな気分にさせてくれる曲となっています。 勇気のいるタイトル「Love」は、ほんわかムードのワルツ。 B 面は A 面に比べてリラックスした気分になっています。 ピアノのイントロから寂しげな気配が伝わってくる「House Of Empty Halls」は美しいバラード。 Gregg Gotlieb によるチェロのソロが切なさを助長します。  つづく「The Quest」もマイナー調のミディアム。 ここでも悲しげなチェロの演奏でフェードアウト。 そしてラストの「Odes To A Warrior」ですが、ほぼ弾き語りの淡々とした曲で、静かにアルバムはクローズしていきます。

  アルバムを聴き終えて考えるのは、このアルバムの制作意図です。 シングルヒットに誘引されてアルバムにつながったという形跡はゼロですし、いい曲が揃ったのでアルバムにしたということは考えにくいのです。 アルバムの内容からも Ron Chrislock は難解な SSW という表現が似合うのですが、彼の音楽ルーツはどのようなものだったのでしょうか。 それを解明してくれるかどうかはわかりませんが、次回は彼が 1971 年に制作したファーストアルバム「Color Me A Thousands Rainbows」を取り上げることにしましょう。 5 年間に Ron Chrislock は変容していたのか否か。 少なくともその答えは出てくると思います。



■Ron Chrislock / Ode To A Warrior■

Side-1
The Key
Departed Lover
Soldier Of The Light
My Heart Is An Eagle

Side-2
Ginseng And Goldenseal Blues
Love
House Of Empty Halls
The Quest
Odes To A Warrior

Produced by Ron Chrislock
Recorded and mixed at Super Sound, Monterey, California
All songs written by Ron Chrislock

Ron Chrislock : acoustic guitar and vocals
Prentice Stanley : piano, background vocals
Roger Dubin : electric guitar, background vocals
Tim Olson : bass, percussion, drums, background vocals
Gregg Gotlieb : cello
Bill Wichman : percussion
Rosalind Roberts : flute
J.C. Maxwell : slide guitar
Lark Simmons : piano
John Mirani : harp

Silent Thunder Records C-1007

Mendelson Joe

2008-08-19 | AOR
■Mendelson Joe / Jack Frost■

  画家としても活躍している Mendelson Joe が最も盛んに音楽活動をしていたのが 1980 年前後のようです。 僕は 1980 年の本作しか聴いたことがありませんが、CANOE には、「Not Homogenized」(1979年)、「Let’s Party」(1981年)、「Fragile Man」(1986年)というディスコグラフィーが掲載されていますが、何故かこの「Jack Frost」は漏れていました。 そのくらいマイナーなミュージシャンだということでしょうか。
  
  しかし、このアルバムの全編に漂うビター・スウィートな香りは、けしてマイナーなものではなく、大人向けのアダルト・ロックの名盤として語り継ぐことのできる作品と言えるでしょう。 全ての曲を Mendelson Joe が書き下ろしており、まだ無名の Daniel Lanois がエンジニアとして参加しているこのレコードは、ジャック・フロスト(イングランドに伝わる霜の妖精)というタイトルどおり、秋の夜長や冬に似合うテイストですが、前回 Joe Hall のレコードを取り上げた流れで、コオロギの鳴く夜に取り上げることにしました。

  このアルバムのセンスの良さは、クールなコーラス・アレンジ、音の隙間を意識した音数の少ない演奏の 2 点に集約されます。 とくに曲調にブレのない A 面がお薦めですが、曲順にコメントしてみましょう。
  オープニングの「Jack Frost」は、チャイムやベルの音色が可愛らしい名曲。 後にソロとしてデビューする Hazel Walker とのデュエットで囁くように♪Happy New Year♪と歌っているところが最高です。 この曲でいきなり先制点を奪われた監督のような気分になります。 つづく「Tweet Tweet」もエレピの音色や鳥のさえずりのようなエフェクトがまろやかなバラード。 この曲も暖かさがひしひしと伝わってきます。 「The Kiss Tells All」もスムース&メロウ。 ホノルル・ハートブレーカーズなるコーラス隊が入ってくるのですが、ここまでは欠点の見出せない流れです。 つづく「Write Me」は静かなフォービートですが、ここでは Mendelson Joe のクールなジャズ・ボーカルが見事で、ピアノ・ソロやジャジーなギターソロが気品のある空間を演出しています。 そして A 面ラストには秀逸なバラード「I Want To Be With You」が控えています。 ここでのメリハリの効いたアレンジとサウンドはまさにプロのなせる巧みの技です。 ほれぼれするほど出来のいい A 面は完璧といえるでしょう。

  B 面は R&B 風のビートをバックにしたレイジーなナンバー「Huggle And Snuggle」でスタート。 スワンピーなスライドギターのソロなど、このアルバムでは異色な仕上がりで、やや戸惑いを覚えます。 地味ながらもメロウなバラード「Correspondent Love 」を挟んで始まる「Advertise」は 2 拍子のアップナンバー。 エキセントリックで滑稽な楽曲ですが、コーラス・アレンジのセンスが素晴らしく、ジャジーな後半は見事です。つづく「I’ve Got Love」と「Strugglesville」はともに Steely Dan の影響を強く感じるクールな楽曲。 打ち込みのデジタルサウンドが始まる以前、ある意味最も音楽にセンスが問われた時代の演奏のエッセンスが凝縮されているように思えます。

  こうしてこのアルバムのクオリティの高さを目の当たりにすると、前後のアルバムにも当然ですが興味が湧いてきました。 タイトルがやや心配なのですが、入手できたらまたここで取り上げたいと思います。 また、いつも読ませていただいている「S.O.N.G.S」によると、Joe Mendelson 名義で 1972 年にもアルバムを発表しているようです。 こちらも気になりますね。 それにしても Mendelson Joe とはユニークな名前です。



■Mendelson Joe / Jack Frost■

Side-1
Jack Frost
Tweet Tweet
The Kiss Tells All
Write Me
I Want To Be With You

Side-2
Huggle And Snuggle
Correspondent Love
Advertise
I’ve Got Love
Strugglesville

Produced and engineered by Edward William Purdy and Mendelson Joe
All songs composed and written by Mendelson Joe
Cover painting and back cover photograph and designed by Mendelson Joe
Engineered by Dan Lanois

Mendelson Joe : vocals, guitars , foot and various arrangements
Edward William Purdy : bass, guitars, synthesizers, keyboards and various arrangements
Colin Linden : guitar and guitar arrangements
Buck Berger : drums
Gord Neave : drums
Bob De Angelis : saxophones
Hazel Walker : vocals
The Honolulu Heartbreakers : vocals and vocal arrangements

Boot Records BRP2109

Joe Hall And The Continental Drift

2008-08-16 | SSW
■Joe Hall And The Continental Draft / On The Avenue■

  北京オリンピックも佳境に入ってきています。 残念ながら開会式を見ることができなかったので、口パク少女や CG 花火といったタイムリーな話題についていけません。 しかし、土曜日の夜ともなると生中継が多く、3 チャンネル同時に見られる機能が欲しくなります。 我が家のテレビは2チャンネルまでなので、こまめに操作したりしています。
  とはいえ、ブログの更新ができるのも週末くらいなので、思い切ってレコードを聴きながら、オリンピックをテレビ観戦するという暴挙に挑んでいます。

  そんな時に聴くのがこのレコードでいいのだろうかと思うのが、カナダのロック・ミュージシャン Joe Hall のセカンドアルバムです。 時代は 1978 年でもあり、前回紹介した Chuck McDermott とテイストが似ているという理由でピックアップしました。 Joe Hall 関連のレコードはこの 1 枚しか聴いたことがありませんが、このアルバムはひと言で言うとごった煮のようなレコードです。 それは支離滅裂ということではなく、豊富なアイディア、バラエティ豊かな曲調、わざと B 級っぽく見せる余裕など、ふところ深い大人のロックという印象です。 1990 年代に They Might Be Giants という風変わりなバンドがいましたが、彼らのからエキセントリックさを除去して、パブロックで味つけしたいみたいな感じがします。 ボーカルの声質はややしゃがれているので、誤解を生む表現かもしれませんが。

  このアルバムを引き立てているのは、1978 年にしてすでにパンクを茶化している「Punk Lunch」や Talking Heads のようなワールドミュージック感あふれる「Nos Hablos Telephone」といった曲です。 アイディアが光る曲としては、中盤で男の会話だけになってしまう「Johnny Nada」、Camper Van Beethoven の曲のような創意工夫が伝わってくる「State Of Interruption」があげられます。 このような楽曲をさりげなく演奏してしまう力量とアルバムのなかで浮かないようにまとめるアレンジのセンスには感心させられます。 しっとりとしたバラード「Moment To Moment」や「Say It Isn’t So」もうまい位置にはめ込まれており、曲の多さも気にならないかなりの高水準のアルバムとなっています。 道路の向こう側に Joe Hall の顔があるジャケットはかなり妙な気分ですが、このイラストは画家でもありミュージシャンでもある Mendelson Joe によるものです。 このミュージシャンも変わり者ですので、いつしか取り上げてみたいと思っています。 

  さて、こうしてオリンピックの画面を消音にしてこのアルバムを聴いてみましたが、ホッケー女子は終盤間際に得点されてイギリスに負けるし、野球では韓国が 9 回表に得点して日本が負けてしまうなど、まったくいいことがありませんでした。 やはり中途半端はいけませんね。 
  と思ったら、100m 決勝でジャマイカのボルトが 9 秒 69で優勝。 最後は流しての世界新記録でした。 ものすごいものを見てしまいました。



■Joe Hall And The Continental Draft / On The Avenue■

Side-1
A Little Taste
Moment To Moment
Here Comes the Third World
Punk Lunch
Sitting In The Bell Tower
Nos Hablos Telephone

Side-2
Keep Me Occupied
Johnny Nada
More Cold Drinks
State Of Interruption
Say It Isn’t So
Next To Nothing

Produced by Tony Quarrington
Executive Producer : Harvey Glatt
Recorded at Grant Ave. Studios, Hamilton , April-October 1978
Front Cover and Concept : Mendelson Joe

The Drift
Joe Hall : lead vocals , acoustic & Electric rhythm guitar, percussion, harmonica, harmony, noise, exploding bomb
Tony Quarrington : lead electric, acoustic &12-strings guitar, organ, percussion , dobro, moog synthesizer, phony steel drum
George Dobo : piano, organ, rhythm guitar, harmony, bell, recorder
Paul Quarrington : electric bass, harmony, percussion, door knob
Martin Worthy : drums, percussion, harmony, congas, tinbalis, gonad

Guest Artists
Steve Hutt : alto, tenor and baritone saxophone
Peter Stryniak : violin
Art Jansen : viola
Joel Quarrington : double bass

Posterity Records PTR 13009

Chuck McDermott and Wheatstraw

2008-08-07 | SSW
■Chuck McDermott and Wheatstraw / Follow The Music■

  ジャケットのB級なセンスに思わずにんまりしてしまうレコード。 誰がどう発案すれば、こんなチープなレストランのなかでジャケット写真を撮ろうということになるのでしょう。 クレジットには Artwork や Photography という項目もあり、しっかりと担当者の名前が刻まれているので、このアルバムの主人公である Chuck McDermott の意志なのでしょうか。 
  それはさておき、この手のジャケットから想像できるサウンドは予想通りのもの。 こてこてのカントリーというよりは、パブロックに似た「いなたい」テイストです。 バックの演奏もライト且つ控えめで、Chuck McDermott のボーカルが引き立っています。 
  アルバムは 1977 年にマサチューセッツ州で録音されました。 全員が地元に根付いたミュージシャンばかりのようで、まさにローカルなアルバムです。 辞書を引いても見つからない「Wheatstraw」という名前のバックバンドを従えた形になっていますが、ほぼ Chuck McDermott のソロアルバムとみなしていいでしょう。 

  アルバムは Ian Gomm と間違えそうな「Another Way To Cry」で始まります。 スティール・ギターが彩りを添える以外は極めてシンプルなサウンドなのですが、やや甲高い Chuck McDermott の人となりを知るには十分です。 メロウなワルツ「Wondering Outloud」を挟んで「Companero」はミディアムな佳作。 ある一定の域に達しないと出せない味わいがあります。 つづく「Mississippi, Roll On」はスワンプというよりはカリプソのようなアレンジが心地よく響きます。 アルバムタイトルの「Follow The Music」はオールドタイミーなワルツ。 そこには郷愁感と切なさが同居しています。

  B 面はアルバム屈指のバラード「Joanie」から。 この曲は Chuck McDermott のビターな側面が最も表れています。 「St.John’s River」はつなぎとなる平凡なナンバーですが、つづく「Buster」の前座的な曲でしょう。 その「Buster」は、ほとんど Chuck 一人の弾き語りですが、素朴なワルツの味わいはただならぬ奥深さがあります。 ミディアムな「A Well Known Fact」を挟んで、ラストの「Side Man’s Prayer」を迎えます。 この曲も表現力豊なバラード。 アルバムを締めくくるに相応しい品格を伴いつつ、どことなく男のセンチメンタリズムを感じさせる名曲となっています。 

  こうしてアルバムを通して聴くと、個々の曲の個性もさることながら、曲順に優れたセンスを感じました。 もし自分がプロデューサーで、この 10 曲をバラで渡されたとしても、結局はこの順番に落ちつてしまうかもしれません。 そのくらい良く練られた作品ですし、1970 年代後半のアメリカが産み落とした隠れた名盤と呼んでもいいアルバムです。

  さて、いつものように Chuck McDermott の現況について調べてみました。 すると、興味深い事実が浮かび上がってきました。 彼は、Rockport Capital Partners というファンドを運営する会社の General Partner になっていたのです。 この会社は環境やクリーンなエネルギーの開発に特化したファンドのようですが、ジャケットの姿から豹変したスーツ姿がサマになっていて妙な気分です。 そもそも彼は名門エール大学をドロップして音楽の道を進んだという経歴なのですが、結局のところビジネスの世界で成功しているということになります。 そういう星のもとに生まれてきたのでしょう。 このブログでも大学の教授に転身した Bill Puka や起業に成功した Pat Buckna を紹介しましたが、プロフェッショナルの世界で成功する人は、どの分野を選択しても成功する確率が高いのかもしれませんね。


 
■Chuck McDermott and Wheatstraw / Follow The Music■

Side-1
Another Way To Cry
Wondering Outloud
Companero
Mississippi, Roll On
Follow The Music

Side-2
Joanie
St.John’s River
Buster
A Well Known Fact
Side Man’s Prayer

Executive Producer : Back Door Productions. Inc
Produced by Chuck McDermott and Wheatstraw
Recorded at Northern Studios in Mayard , Mass.

Wheatsdraw
Chuck McDermott : lead vocals , electric and acoustic guitar
Rocky Stone : lead , electric , acoustic and bionic guitar
Charlie Irwin : vocals (lead on Side Man’s Prayer) , bass and acoustic guitar
Jim Mentel : piano
Kathy Burkly : drums , percussion

Back Door Records BDF 7477