■Tim Davis / Another Turn Of The Wheel■
暴風雨の中、舟の舵をきろうとする男の雄々しい姿が印象的なジャケット。 朴訥とした男の SSW 作品かと想像してしまいますが、意外にも洗練されたアダルトなロックミュージックが詰め込まれた良質なサウンドが展開されています。 バック陣の演奏力も高く、バンドとしてのまとまりと余裕を強く感じることが出来るために、安心して聴くことのできるレコードと言えるでしょう。
1978 年にペンシルバニアでレコーディングされたこのレコードは、Tim Davis と彼の仲間によって制作されました。 気の合う仲間と打ち解けながらレコーディングされたと思われるこのアルバムは 1970 年代のアメリカン・ロックの最良のエッセンスを体感させてくれます。 心の琴線に触れるメロディ、ツボを押さえ且つタメを理解した演奏、清涼感あふれるコーラスワークといった表現が常に思い浮ぶアルバムですが、楽曲コメントに入る前に Tim Davis に関して少々触れておきます。 実は、彼と同姓のミュージシャンで 1970 年代前半に「Pipe Dream」、「Take Me As I Am」という2枚のアルバムを残している人物がいます。 それは元 Steve Miller Band のドラマーだった Tim Davis なのですが、ジャケットの写真からも今日取り上げている Tim Davis とは別人です。 ネットで検索してみましたが、どちらの消息もつかむことができませんでした。 残念なことに、「Another Turn Of The Wheel」は Tim Davis 唯一のアルバムなのです。
アルバムはイギリスのパブロックに近い「Another Turn Of The Wheel」でスタートします。 個人的には Clive Gregson を思い出します。 心地よいリズムセクションと軽快なコーラスが最高です。 つづく「Cloudy Day」はウェストコースト風の清々しい楽曲。 Silver の名盤「Silver」に近いサウンドです。 ゆったりした入りをする「O Captain」はギターがメインの雄々しいミディアム・バラード。 この曲ではリズム・セクションはお休みです。 ビートルズの「夢の恋人」に似た曲調が特徴的な「Later Daze」、人柄を感じさせるミディアム「You Knocked The Wind」とクオリティの高さを維持したままA面はあっという間に過ぎていきます。
レコードを裏返すと爽快なフォークロック「Riding Drunk」でリスタート。 この曲は、まさに Jackson Browne が歌っているかのような錯覚を覚えるアルバムの代表曲です。 つづく「Gotta Get Back」は 4 ビートの利いたジャジーなナンバー。 ちょっと大人びたアレンジも手堅く歌いこなすあたり、Tim Davis の器用さが表れています。 哀愁を帯びたワルツ「Famous」、カントリー色の強い「Prisoner Of Patuxent」とつづきアルバムはラストの「Northern Lights」へ。 タイトルからも名曲の予感がするのですが、この曲も美しいメロディーと構成力を持っており、ラストに相応しい名曲となっています。 どんなアルバムもラストがこのように終わればいいのにとすら思ってしまう「余韻」を強く残してくれる楽曲です。
まさに隠れた名盤と呼ぶにふさわしいこのレコードがローカルレーベルから産み落とされるというのがアメリカのミュージックシーンの懐の大きさなのでしょう。 1978 年という時代は音楽産業が肥大化していく真っ只中です。 だからこそ、このような良質な音楽がメジャーレーベルではなく、ほぼ自主制作に近い形で世に送り出されたのかもしれません。 僕のレコード巡りの旅はいつまで続くのかわかりませんが、このレコードを聴きながら、ふと半年前に読み終えたポール・オースターの小説「ムーンパレス」のことをふと思い出しました。 まさに小説のように偶然と出会いが人生を変えていくのですね。
■Tim Davis / Another Turn Of The Wheel■
Side-1
Another Turn Of The Wheel
Cloudy Day
O Captain
Later Daze
You Knocked The Wind
Side-2
Riding Drunk
Gotta Get Back
Famous
Prisoner Of Patuxent
Northern Lights
Produced by Tim Davis
Engineered by Joe McSorely
Recorded in October and November of 1978 at the Veritable Recording Co. Ardmore , PA
Tim Davis : vocals
Andy Eaton : vocals
Scott Hardie-Birney : acoustic guitar , harmonica
Jim Russel :drums
Steve Hobson : electric guitar , mandolin
Baird Brittingham : vocals , acoustic guitar ,banjo
Jerry Kirk : bass guitar
Dave Berry : piano , bass guitar , strings arrangements
Phil O’Reilly : pedal steel
Hank Carter : alto and tenor saxophone
Sprit Records 1154
暴風雨の中、舟の舵をきろうとする男の雄々しい姿が印象的なジャケット。 朴訥とした男の SSW 作品かと想像してしまいますが、意外にも洗練されたアダルトなロックミュージックが詰め込まれた良質なサウンドが展開されています。 バック陣の演奏力も高く、バンドとしてのまとまりと余裕を強く感じることが出来るために、安心して聴くことのできるレコードと言えるでしょう。
1978 年にペンシルバニアでレコーディングされたこのレコードは、Tim Davis と彼の仲間によって制作されました。 気の合う仲間と打ち解けながらレコーディングされたと思われるこのアルバムは 1970 年代のアメリカン・ロックの最良のエッセンスを体感させてくれます。 心の琴線に触れるメロディ、ツボを押さえ且つタメを理解した演奏、清涼感あふれるコーラスワークといった表現が常に思い浮ぶアルバムですが、楽曲コメントに入る前に Tim Davis に関して少々触れておきます。 実は、彼と同姓のミュージシャンで 1970 年代前半に「Pipe Dream」、「Take Me As I Am」という2枚のアルバムを残している人物がいます。 それは元 Steve Miller Band のドラマーだった Tim Davis なのですが、ジャケットの写真からも今日取り上げている Tim Davis とは別人です。 ネットで検索してみましたが、どちらの消息もつかむことができませんでした。 残念なことに、「Another Turn Of The Wheel」は Tim Davis 唯一のアルバムなのです。
アルバムはイギリスのパブロックに近い「Another Turn Of The Wheel」でスタートします。 個人的には Clive Gregson を思い出します。 心地よいリズムセクションと軽快なコーラスが最高です。 つづく「Cloudy Day」はウェストコースト風の清々しい楽曲。 Silver の名盤「Silver」に近いサウンドです。 ゆったりした入りをする「O Captain」はギターがメインの雄々しいミディアム・バラード。 この曲ではリズム・セクションはお休みです。 ビートルズの「夢の恋人」に似た曲調が特徴的な「Later Daze」、人柄を感じさせるミディアム「You Knocked The Wind」とクオリティの高さを維持したままA面はあっという間に過ぎていきます。
レコードを裏返すと爽快なフォークロック「Riding Drunk」でリスタート。 この曲は、まさに Jackson Browne が歌っているかのような錯覚を覚えるアルバムの代表曲です。 つづく「Gotta Get Back」は 4 ビートの利いたジャジーなナンバー。 ちょっと大人びたアレンジも手堅く歌いこなすあたり、Tim Davis の器用さが表れています。 哀愁を帯びたワルツ「Famous」、カントリー色の強い「Prisoner Of Patuxent」とつづきアルバムはラストの「Northern Lights」へ。 タイトルからも名曲の予感がするのですが、この曲も美しいメロディーと構成力を持っており、ラストに相応しい名曲となっています。 どんなアルバムもラストがこのように終わればいいのにとすら思ってしまう「余韻」を強く残してくれる楽曲です。
まさに隠れた名盤と呼ぶにふさわしいこのレコードがローカルレーベルから産み落とされるというのがアメリカのミュージックシーンの懐の大きさなのでしょう。 1978 年という時代は音楽産業が肥大化していく真っ只中です。 だからこそ、このような良質な音楽がメジャーレーベルではなく、ほぼ自主制作に近い形で世に送り出されたのかもしれません。 僕のレコード巡りの旅はいつまで続くのかわかりませんが、このレコードを聴きながら、ふと半年前に読み終えたポール・オースターの小説「ムーンパレス」のことをふと思い出しました。 まさに小説のように偶然と出会いが人生を変えていくのですね。
■Tim Davis / Another Turn Of The Wheel■
Side-1
Another Turn Of The Wheel
Cloudy Day
O Captain
Later Daze
You Knocked The Wind
Side-2
Riding Drunk
Gotta Get Back
Famous
Prisoner Of Patuxent
Northern Lights
Produced by Tim Davis
Engineered by Joe McSorely
Recorded in October and November of 1978 at the Veritable Recording Co. Ardmore , PA
Tim Davis : vocals
Andy Eaton : vocals
Scott Hardie-Birney : acoustic guitar , harmonica
Jim Russel :drums
Steve Hobson : electric guitar , mandolin
Baird Brittingham : vocals , acoustic guitar ,banjo
Jerry Kirk : bass guitar
Dave Berry : piano , bass guitar , strings arrangements
Phil O’Reilly : pedal steel
Hank Carter : alto and tenor saxophone
Sprit Records 1154
Tim Davisも非常に楽しみにしておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
Joe