Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Bill Garrett

2011-05-08 | Folk
■Bill Garrett / Bill Garrett■

  前回に続いてギターを抱えるジャケットを選んでみました。 SSW にありがちなデザインですが、やはり気になってしまうもの。 カナダのオンタリオ産ということもあり、Noah Zacharin のような名盤を期待して購入しました。
  結論からいうと、予想したよりもカントリー寄りでカナダ産の SSW に見られる個性のようなものは感じませんでした。 陽気なアメリカンというと馬鹿にしているように聞こえるかもしれませんが、自作の曲もわずかしかなく、気の向くままにレコードを作り上げたという感じが伝わってきます。 

  収録されている曲はほとんどがオーソドックスで実直なカントリーです。 個々の曲をコメントできるほどの耳を持ち合わせていないので、上手い表現が見つからないのですが、あまりにも保守的なサウンドが続くのは正直辛いところです。 そんななか、気に入っているのが 2 曲のインスト楽曲です。 A-2 の「Stubbs Stomp」は参加メンバーの Curly Roy Stubbs の手による楽曲。 彼と Bill Garrett のふたりの息の合ったアコースティック・ギターが堪能できます。 もうひとつはラストの「Creeping Socialist Rag」です。 これは数少ない Bill Garrett の自作曲。 ここで聴くことのできる彼のギター・テクニックは少しラグタイム風でもあり、心地よい余韻を感じさせてくれます。

  ボーカル楽曲では、トラッドの「The Haunted Hunter」が深みがあって最も聴きごたえがありました。 続いては、優雅なワルツ「Crossties On A Railroad」(Dennis Brown作)とRichard Thompson 風の「Northshore Train」(Bill Garrett 作)あたりが中々の出来です。 David Essig や Stan Rogers といった有名どころの参加もあってか、メンバーの演奏には余裕が感じられるところが全体を支えている感じがしました。
  SSW 好きであれば Ian Tyson 作の「Red Velvet」や Paul Siebel作の「You Don’t Need A Gun」に興味を持つかもしれませんが、個人的にはあまりいま一つの出来でした。 Paul Craft 作の「Railroad Line」、Ron Paul Morin 作の「Midnight Freight」などは凡庸な作品ですが、作曲者の名前に覚えもありません。

  話はそれますが、Bill Garrett はかなりの乗り物好きのようです。 Railroad や Train そして Freight という言葉がタイトル中に目立ちますし、レコードの内袋には蒸気機関車のイラストが描かれていました。 彼が「撮り鉄」だったら面白いのですが、そんなことはさすがにないでしょう。  
  最後に Bill Garrett の経歴を探ってみましたが、同姓同名が多く詳しいことは判りませんでした。 作品として確認できたのは、「Seems To Me」(1999年)、「Red Shoes」(2003年)の 2 枚のみでした。 1979 年のこのアルバムから 2 枚目まで 20 年もかかっていたことになります。 ここにも音楽に身をささげた苦労人の姿がありました。

■Bill Garrett / Bill Garrett■

Side 1
Railroad Line
Stubbs Stomp
Red Velvet
Midnight Freight
You Don’t Need A Gun

Side 2
Lillooet
Crossties On A Railroad
Northshore Train
Haunted Hunter
Creeping Socialist Rag

Produced by Paul Mills
Recorded and mixed at Grant Avenue Studios, hamilton, Ontario
Except ‘Stubbs Stomps’ and ‘Creeping Socialist Rag’ at Springfield Sound, Springfield, Ontario

Bill Garrett : 6&12 string guitars and vocals
Curly Roy Stubbs : acoustic guitar
Pepe Francis : electric guitar, spanish dobro and vocals
David Essig : mandolin and vocals
Ron dann : pedal steel, dobro
Kim Brandt : bass
Dave Lewis : drums and percussion
Stan Rogers : background vocals
Jude Johnson : background vocals

Woodshed Records PWS 014

Joe Dawn

2011-04-07 | Folk
■Joe Dawn / Capitol Of The State I’m In■

  春めいてきた陽気のなか取り上げたのは、ハワイの John Denver こと Joe Dawn が 1975 年に発表したアルバムです。 実は、ジャケットやレーベル面には 1975 年に発表したという記載は一切ないのですが、品番からそうであろうと勝手に断定しています。  ジャケットのデザインからは大らかでナチュラルな SSW 作品を想像しがちですが、意外にも彼のオリジナルは1曲も含まれていません。 それどころかギターすら弾いていない可能性もあります。 また Joe Dawn は自身のことを Tokyo Joe と名乗るなど、一筋縄でいかない感じが、このアルバムの怪しさを物語っています。Tokyo Joe と聞くとすぐに Brian Ferry を思い出してしまいますが、戦後アメリカで暗躍した悪名高き日本人マフィアのことを指すようです。

  さて、そんな謎めいた Joe Dawn のアルバムは、カーペンターズで有名な「Jambalaya」や John Denver のヒット曲「Take Me Home Contry Roads」、「Sunshine On My Shoulders」、誰でも知っている「Green Green Grass Of Home」といった楽曲が収録されており、ポピュラー音楽が好きな人ならば誰でも楽しめる内容となっています。 これらの曲のアレンジは原曲に忠実なもので、アコースティックな肌触りと温もりが伝わってくる仕上がりです。 ハワイ産にありがちなライトなグルーヴ感みたいなものは一切感じられません。 

  むしろ、Joe Dawn の特徴は「Yodel Medley」、「Long Gone Lonesome Blues」や「Swiss Lullaby」で聴くことのできるヨーデルです。 ヨーデルはそもそもアルプス地方がルーツとなっている歌唱方法ですが、それがアメリカに渡りカントリーのジャンルでも使われるようになってきました。 そして、さらにハワイに渡るとハワイアン・ヨーデルとなるのですが、Jow Dawn はそれを完全に身につけていたのです。 しかも A-2 の「Yodel Medley」の中の「She Taught Me How To Yodel」では意外にも流暢な日本語の歌唱も聴くことができるのです。 彼の日本語は Queen の「手をとりあって」のようにたどたどしいものではなく、ほぼ完ぺきな発音でした。 英語から急に♪♪あの娘はスイスの山育ち、かわいい声でユルレイヒー。山の若者誘われて、声を合わせて歌います~♪♪と切り替わる瞬間はそれなりに衝撃的。 ほんの一瞬、一度だけ歌われる瞬間はその後、怒涛のようにテンポを上げてエンディングに向かうヨーデルとともに、このアルバム最大の聴きどころでした。

  一部では Joe Down と名前を間違われたりしている彼ですが、Joe Dawn が正解です。 アルバムはこの 1 枚だけだった可能性もありますが、彼のヨーデル・テクニックであれば小さなライブハウスやイベント・スペースで地道にライブ活動を続けることは十分に想像できます。 このレコードから 36 年、彼は今でも歌い続けているのでしょうか。

■Joe Dawn / Capitol Of The State I’m In■

Side-1
Capitol Of The State I’m In There’s A Train
Yodel Medley [Columbus Stockade Blues / Cattle Call / She Taught Me How To Yodel]
Long Gone Lonesome Blues
Jambalaya
Today I Started Loving You Again

Side-2
Mom And Dad’s Waltz
Swiss Lullaby
Take Me Home Contry Roads
Sunshine On My Shoulders
Green Green Grass Of Home

Producer : Don Ho
Engineer : Herb Ono
Recorded at Sounds of Hawaii
Arrangements : Don Ho, Johnny Todd and Bobby Enriquez

Singers : Tokyo Joe, Patti Swallie, Barbi Hall
Bobby Enriquez : piano
Archie Grant : bass
Bart Tunick : drums
Jerry Byrd : steel guitar
Randy McKinnan : acoustic guitar, banjo
Dave Richardson : acoustic guitar, banjo
Bill Spilliard : electric guitar

Nod Records NRS1975

Leo Kretzner

2010-10-24 | Folk
■Leo Kretzner / Bold Orion■

  初めて夜空にオリオン座を見つけた時に、今年も冬が来たと実感します。 今年はまだ見られていませんが、おそらく深夜の2時過ぎくらいには東の空に確認できるのではないでしょうか。 二年に一度くらいは、深夜に帰宅した際に目撃しています。
  さて今日取り出したのは、Leo Kretzner が 1982 年に発表したアルバム。 メイン州の Heartwood Records からリリースされたものです。 Heartwood Records の他の作品は見かけたことがなく、品番も 501ということなのでこの「Bold Orion」が最初の作品だと思っています。 

  Leo Kretzner はダルシマー奏者にして自ら作詞作曲も手がけるマルチなミュージシャン。 このアルバムでも、SSW 的な楽曲やフォーキーなサウンドからアカペラのハーモニー、そしてダルシマー・ソロによるインストに至るまで彼の音楽性の幅広さを感じさせる内容となっています。 ダルシマーのソロも悪くないのですが、個人的にはやはりボーカルの入った楽曲に票を入れてしまいます。

  ほとんどの楽曲はオリジナルですが、Allman Brothers の「Little Martha」や、Holland-Dozier-Holland の「It’s The Same Old Song」などのカバーも収められており、Leo Kretzner が古典的なダルシマー・ミュージックとポップミュージックの間を繋ぐようなポジションを意識していたように思えます。 Allman Brothers はあまり得意ではないのですが、「Little Martha」のカバーはギター 2 本ではなく、ダルシマーとギターで演奏され、繊細なタッチとメロディーが秀逸な仕上がりとなっていました。 The Four Tops のカバーも、ほんわかした演奏とアレンジで和み感あふれるまま、アルバムのラストに配置されています。 また、クレジットの記載は省略しましたが、「The Quantum Leap Medley」のなかに、Ventures の「Walk Don’t Run」が含まれていることも添えておきましょう。

  オリジナルでは、オープニングの「Bold Orion On The Rise」の疾走感と雄々しさが耳に残りますが、この男らしさはアルバムのなかでは異色でした。 むしろ、優しさを前面に出した「Sailing」、「If Kisses Were Apples」そして「It’s Hard To Give When You’re Being Taken」といった楽曲に惹かれます。 いずれも、ボーカルのハーモニーが美しく、ニューイングランド地方の深い森と吹き抜ける風を連想させるサウンドとなっています。
 
  Leo Kretznerは、このアルバムの前に「Dulcimer Fair」(1977)、「Pigtown Fling」(1979)という2枚のインスト作品があり、「Bold Orion」の後には「Not So Still Life」を 1990 年に発表していました。 彼の公式サイトには、今も元気そうな姿も映っています。 そこで、Tradition Meets Inovation というキャッチコピーを知りましたが、「Bold Orion」を聴いた後には、すんなりと納得できました。

■Leo Kretzner / Bold Orion■

Side 1
Bold Orion On The Rise
Little Martha
The Jaded Side Of Town
Sailing
If Kisses Were Apples
The Quantum Leap Medley
Coming Home To You Tonight

Side 2
Dark Is The Color
The Minor Medley
Way Down The Road
It’s Hard To Give When You’re Being Taken
The Rockey Road To Ridgefield
It’s The Same Old Song

Produced by Leo Kretzner
Recorded and mixed , June-November, 1982 at RBY Recording Studio; Southbury CT

Leo Kretzner : dulcimer, guitar, vocals
Jay Ungar : fiddle
Sally Rogers : vocal harmony
Kenny MacKerracher : bass
Tony Prior : pedal steel guitar
Maureen DelGrosso : piano, vocal harmony
Anita Kretzmann : vocal harmony
John Lloyd : drums
Rich DelGrosso : concertina, slide mandolin, dobro, vocal harmony
Doug Berch : hammered dulcimer
Barbara Truex : hammered dulcimer
Howie Bursen : guitar, vocal harmony, banjo

Heartwood Records HW501


Jon Wilcox

2010-06-08 | Folk
■Jon Wilcox / Close To Home■

  Jon Wilcox は、Folk-Legacy から 1973 年のアルバムでデビューしたミュージシャン。 この「Close To Home」は 1978 年に発表されたセカンド・アルバムです。 春の温かな日差しのなか、Jon Wilcox と愛犬とが映りこんだ緑基調のジャケットを見れば、リスナーの期待は否応なしに高まるでしょう。

  さっそくそんなアルバムに針を落としてみましょう。 オープニングから意表をつく楽器が登場します。 それは、日本語では口琴(こうきん)と呼ぶらしい Jew’s Harp の音色です。  口琴はゴムを弾くように演奏するもので、その音色は終始ビヨ~ンと鳴り続けるややもすると耳障りなものです。 そんな楽器を敢えて使った「Old Bill Jones」は、Jon Wilcox のルーツ指向の強さを感じるオープニングでした。 アコギとバンジョーが主役のオーソドックスな「Close To Home」に続いては、ジェントルな SSW テイストあふれる「Old Dog」へ。 繊細なアコギの音色もマッチしたA面のお薦め曲です。 Dusty Owens 作曲の「Once More」もルーラルでいなたいナンバー。 曲のほとんどがハーモニーを伴って歌われます。 つづく「Recessional Hymn」もカントリー系のワルツなので、西海岸のアルバムなのにウッドストック周辺のアルバムを聴いているかのような気分になってきます。  A 面ラストはトラッドの「Sir Patrick Spens」です。 アイリッシュ・トラッドなのでしょうか、アカペラの独唱で 4 分弱というのはやや長すぎという印象です。

  オリジナルが 3 曲含まれていた A 面とは打って変わって、B 面にはオリジナル楽曲は 1 曲もありません。 まずは、軽快なフィドルをバックにした「I’m Gonna Live In The Highwoods」、Hank Williamsの「Lonesome Whistle」とカントリー色の強い曲が並びます。 つづくトラッドの「Jock O’hazeldean」はしみじみとしたボーカルナンバーで、アルバムもここで落ち着きを見せてきます。 「Hot Dog Stand」では再びバンジョーがテケテケ響き渡り、カントリーへと舞い戻ります。 フィドルに導かれて西部劇を観ているかのような「The Mem’ry Of Your Smile」がつづき、ラストの「Mississippi, Youre On My Mind」へと移っていきます。 この曲は Jesse Winchester の 3 枚目「Learn To Love It」に収録されているナンバー。 長かった一日の終わりを川辺で過ごすようなイメージのバラードはラストにふさわしい選曲です。 この曲は疑う余地のない B 面のハイライトでしょう。

  さて、このようにアルバムを振り返ってみましたが、カントリー色が濃すぎる点が個人的な好みからは外れてしまうという印象は拭えません。 騒々しさや能天気なテンションの高さはないのが救いですが、やはりオリジナル楽曲を軸に据えて、もう少し自身の個性を前面に出してほしかったと思います。

 Jon Wilcox は今も現役で活動しているようで、公式ページには多くの CD が掲載されていました。 ビジネス的には成功しなかった彼がこれほどのアルバムを発表できた理由は謎ですが、地道なライブ活動と豊富なレパートリーが強みだったのでしょう。 好きなことを続けることがいちばん幸せな人生だということを、彼は実感しているに違いありません。

■Jon Wilcox / Close To Home■

Side 1
Old Bill Jones
Close To Home
Old Dog
Once More
Recessional Hymn
Sir Patrick Spens

Side 2
I’m Gonna Live In The Highwoods
Lonesome Whistle
Jock O’hazeldean
Hot Dog Stand
The Mem’ry Of Your Smile
Mississippi, Youre On My Mind

Produced by Hurley Davis for No Budget Productions
Recorded by Peter Feldman (May 1977 - Jan1978)

Lead vocals : Jon Wilcox
Harmony vocals : Kate Brislin, David West, Tony Marcus, Jon Wilcox
Guitars : Eric Thompson, Jon Wiolcox, A.J.soares, Doug Wilcox, David West, Jimmy Borsdorf
Fiddles : Susan Rothfield, Jimmy Borsdorf, Tony Marcus
Mandolins : Peter Feldmann, Jon wilcox
Jew’s Harp & Harmonica : Rick Epping
Bass : Stan Tysell
Concertina : Wendy Grossman
Banjo : Peter Feldmann
Cello : Alita Wilcox Rhodes

Briar Records SBR-4210

Phil & Gaye Johnson

2010-05-31 | Folk
■Phil & Gaye Johnson / Cornbread & Sweetmilk■

  調子に乗ってまた夫婦デュオを取り上げることにしました。 これで 4 回連続となります。
  Phil & Gaye Johnson はノース・キャロライナ州をベースに活動するカントリーデュオ。 彼らは、1970 年代から、古き良きアメリカン・ミュージック、ブルーグラス、そしてフォークといったアコースティックな音楽を演奏し続けています。 このアルバムはお隣のテネシー州のレコーディングですが、ざっくり言うとアパラチア山脈の南側というのが活動エリアなのでしょう。

  このアルバムが彼らのデビュー作となる 1980 年の作品。 公式サイトによるバイオグラフィーによると、タイトルの「Cornbread & Sweetmilk」というのは、ノース・キャロライナとサウス・キャロライナをカバーしていたラジオ局のライブ番組の名前だったようです。 その番組を彼らがプロデュースし、人気を博した結果としてこのアルバムが生み出されたとのこと。 番組は 1980 年から 1983 年まで放送され、地元以外のいくつかのローカル局にネットされたりしたようです。 そうしたことを踏まえて聴くと、たしかに曲の頭の部分がラジオ局のジングルのように聴こえる時があり、このアルバムへの理解が進みました。 

  アルバムの楽曲は、フィドルやバンジョーが活躍するアップナンバーとしっとりしたスロウワルツとが半々くらいで収録されています。 個人的な好みはどうしても後者のほうになってしまいますので、それらの楽曲を紹介しておきます。
  A 面では、ふたりのハーモニーが繊細にからみあうワルツ「North Carolina Woman」とシンプルでルーラルな和み系の「Kinfolk In Carolina / Dinah」がそうした素朴なフォーキーです。 しかしテンションの高いアップナンバーに挟まれて居心地はあまり宜しくありません。
  B 面はスロウの比率が高まります。 なかでも「The Old Man’s Melody」は素朴さと温もりをかんじさせるバラードで、個人的には間違いなくこのアルバムのベストトラックです。 他にも「Give Me The Roses」と「The Old Homeplace」がお薦めです。 前者は二人のハーモニーが美しいワルツで、この気だるさは勤務中に訪れる午後の睡魔のようです。  後者も Gaye Johnson のリードによるノスタルジックなスロウ・ナンバー。 アパラチアに落ちる夕焼けを目の当たりにしているような気分です。 両面を比較するとしたら、これら 3 曲を擁する B 面に分があると言えるでしょう。

  冒頭にも書きましたが、Phil & Gaye Johnson は現在もライブ活動を行っており、Acoustic Americana Music を奏で続けています。 YouTube にも 2006 年のライブ映像が掲載されており、元気そうな姿を確認することができました。 こうした映像を見ると、アメリカのカントリー・ミュージックは日本における演歌だということを、素直に同意してしまいます。

■Phil & Gaye Johnson / Cornbread & Sweetmilk■

Side 1
It’s Cornbread & Sweetmilk Time
Everybody Get Light
North Carolina Woman
The Hobo’s Meditation
Kinfolk In Carolina / Dinah
Life In The Back Of The Bar Part1
Life In The Back Of The Bar Part2

Side 2
The Hicka Polka
Give Me The Roses
The Old Man’s Melody
He’s A Hillbilly Goucho (With A Rhumba Beat)
The Old Homeplace

Produced by Phil &Gaye Johnson
Recorded October and November, 1980 at Green & Brown Studiosm Cosby, Tennessee
Engineered and mixed by Doug Dorschug

Gaye Johnson : acoustic guitars, vocals
Phil Johnson : mandolin, dobro, acousticand electric guitar, percussion, vocals
Leese Lanham : bess, electric bass, back-up vocals
Gerald Lanham : banjo, guitar, back-up vocals
Clay Bucker : fiddle, back-up vocals
Danny eller : drums
Chuck Lindsey : percussion

Park Street Records 43632


Aileen & Elkin Thomas

2010-05-27 | Folk
■Aileen & Elkin Thomas / Aileen & Elkin Thomas■

  前々回、前回に続き夫婦デュオをピックアップしてみました。 テキサス州出身の Aileen & Elkin Thomas が 1981 年に発表したデビューアルバムです。 彼らは 1970 年代後半から近年まで活動を続けてきたグループで、100 を超える大学でパフォーマンスをしてきた実績があり、アルバムも 6 枚前後の作品を発表しています。 検索して発見した公式サイトでは 2000 年の最新アルバムと 2003 年の写真以降のアップデートがないのが心配ですが、元気に活動していることを願っています。

  彼らのサウンドは変化しようのないアコースティック・サウンド。 ギターとテケテケバンジョー、そして情緒的なヴァイオリンという編成で、ローカルでノスタルジックな田園風景を描き出しています。 1 曲を除いて Elkin Thomas の作曲ですが、オーバーオールのジーンズとアメリカンコットンで出来た長袖のシャツが良く似合う曲調が続き、米軍基地の移設問題、ユーロ不安による株価の低迷といったタイムリーな時事問題をすっかり脳みそから消去してしまう力を持っています。 ディズニーランドの奥のほうに、こんな音楽が似合うロケーションがあったなという気さえします。

  どの曲もシンプルな 3 人編成なので、個々の楽曲にメリハリがあるわけがありません。 ただ、特筆すべきは 3 人の息のあった演奏が耳に心地よく、シンプル且つストレートに胸に響いてくるのです。 これは、数多くのライブパフォーマンスの積み重ねから生まれたものでしょう。 週末の井の頭公園あたりで彼らに偶然出会ったら、こんな幸せなことはありません。 そんな妄想を抱いてしまいました。

  個人的なお薦めの楽曲をあげておきましょう。 騒がしいバンジョーと饒舌なヴァイオリンが共演するアップな「Bethesda’s Pool」、その流れを汲んだ陽気な「Come Alive, Country Lady」、メロウで心のひだのようなヴァイオリンが魅力的な「Soft Pipes, Play On」、最も SSW っぽいサウンドの「Halls Of Time」が A 面でのお薦め。 B 面では、ミディアムな 2 拍子の「Phone Calls」、彼らのライブ定番となっている「Gee Jake」、そしてメランコリックなバラードでラストを締めくくる「Lady, That’s How Long I’ll Be In Love With You」を挙げておきます。 もちろん、その他の楽曲も悪いわけではありません。 オールドタイミーなフォーキーという肌触りのある音作りはどこを切っても貫かれているのです。

  なお、このアルバムは 1979 年に亡くなったギター職人の J.W. Gallagher に捧げられています。 彼は生涯で 2,000 本程度のギターを手作りで製作した職人中の職人で、Doc Watson が愛用していたことで有名なようです。 Elkin Thomas はこのアルバムでその Gallagher Guitar を大事そうにつま弾いていました。

■Aileen & Elkin Thomas / Aileen & Elkin Thomas■

Side 1
Bethesda’s Pool
Come Alive, Country Lady
Soft Pipes, Play On
Halls Of Time
Livin’ Country Style

Side 2
Back To The Hills
Phone Calls
Gee Jake
Palominos
Lady, That’s How Long I’ll Be In Love With You

Produced and engineered by Elkin Thomas
Recorded at Gideon Sound, Krum, Texas

All Songs written by Elkin Thomas except ‘Back To The Hills’ by Dee Moeller

Aileen Thomas : bass, vocals
Elkin Thomas : six-string and twelve string Gallagher guitar, Ode banjo, vocals
David McKnight : violin

Shantih Records ST-518

Garnet Rogers

2010-03-10 | Folk
■Garnet Rogers / Garnet Rogers■

  カナダ出身のフォークシンガー、Garnet Rogers が 1984 年にリリースしたデビューアルバム。 この作品は、北米では CD 化されていますが、なかなか日本でみかけることはありません。
   ジャケットに映る Garnet Rogers は広い額に長髪、そしてあご髭という出で立ちとは対照的な優しい眼差しが印象的です。 こんな優しい目をする人が作り出す音楽が悪いはずがありません。 アルバムは、その予想通りのアコースティックなサウンドが展開されるのですが、特徴的なのが Garnet Rogers の低音ボーカルです。 バリトン・ボイスと明言しても差し支えない彼のボーカルからは、マイルドでジェントルな人間性が伝わり、アンビエントなインストも含まれたこの作品は、デビュー作品とは思えない完成度を備えた秀作だったのです。

  このアルバムでは、Garnet Rogers はボーカルやギターのみならず、バイオリンも奏でるなどの多彩さを発揮。 一方、バック陣はドラムスとベースという 2 人だけのシンプルな演奏ですが、Garnet Rogers のストリングスがオーバーダビングされる場面が多く、思ったよりも奥行きのあるサウンドに仕上がっています。 収録曲はほとんどがカバーとトラッドのアレンジとなっており、純粋なオリジナルは1曲もありませんでした。 しかし、それが落胆につながるかというとそういうことはありません。 むしろ、このアルバムと出会ったことによって、見知らぬカナダの SSW のことを知るきっかけになりました。
  たとえば、「Bird On A Wing」でカナダの女性 SSW である Connie Kaldor の存在を知り、「Thanksgiving Eve」では男性 SSW である Bob Franke のことを知るといった具合です。 知っているけど聴いたことがなかった Doug McArthur からは「Break The Law」、「Black Eyed Susan」が、Willie P.Bennett のデビュー作からは「Music In Your Eyes」がセレクトされています。 カナダ以外では、スコットランドの Archie Fisher による 「Final Trawl」が収録されていました。  これらのカバー曲のなかで特に印象に残ったのは躍動感と存在感あふれる「Break the Law」、ゆったりしたワルツの「Bird On A Wing」、そしてトラッド的な演奏が秀逸な「Final Trawl」の 3 曲です。

  このようにカバー曲の出来は問題ないのですが、個人的には 2 曲のインスト「Carrickfergus」、「Farewell To Music」に強く惹かれました。 とくに環境音楽のような「Carrickfergus」は、Dave Woodhead のフレットレス・ベースがずしりと響きわたり、Mark Knopler のサントラ名盤「Local Hero」のようなサウンドに仕上がっていました。 この素晴らしい音づくりは、まさにプロの成せる技だと感服です。

  Garner Rogers はカナダの SSW 界の奥深さを体現するミュージシャンとして今もなお現役で活動しています。 最新作は 2007 年発売のライブアルバムでした。

■Garnet Rogers / Garnet Rogers■

Side 1
Who Me
Break The Law
Music In Your Eyes
Carrickfergus
Final Trawl

Side 2
Westlin Winds
Black Eyed Susan
Bird On A Wing
Farewell To Music
Thanksgiving Eve

Produced and arranged by Garnet Rogers
Engineerd by Greg Roberts
Exective Producer : Varelie Rogers

Garnet Rogers : all vocals, acoustic and electric six and twelve string guitars, violins, viola, flute
Dave Woodhead : electric basses, piano, gut string guitar
Al cross : drums

Snow Goose Songs
Varelie Enterprises

Joe Mondo

2010-01-30 | Folk
■Joe Mondo / Ain’t No Cows■

  ここ数年、東京では「フォーク居酒屋」なるものが出現し、夜な夜な熟年サラリーマンが通い詰めているようです。 店内では酔った客が自由にセッションを繰り広げているようですが、さすがにそのような店に足を運んだことはありません。 自分は一人か二人で好きな音楽に身を委ねるほうがいいですね。 時折、そんな小さなロックバーには顔を出したりもします。

  さて、音楽で自己を表現するにはアコースティック・ギターの弾き語りが最もシンプルで身近な手段であることは今も昔も変わりありません。 そんなレコードは数知れず存在していると思いますが、1972 年に Joe Mondo が発売したこの作品もその一つです。 サポートを受けた1曲を除いては単独で演奏し、ややブルージーな土臭さを漂わせながらモノクロームの残像を残していく様は、1970 年代の自主制作盤ならではの味わいです。

  アルバムは Slim Harpo の代表作「King Bee」、Gary Davis の「Cocaine」というド渋なブルースでスタート。 自作の「What Is This Thing Called Love?」もごつごつしたカッティングで同じ流れを踏襲。 ちょうど、Joe Mondo のボーカルのキーが高いことに気付き始めると、アルバムはフォーク寄りに展開してきます。 「Seventeen Years」、「You Can Search」はともにゆったりした佳作でした。 前者は、Randy Burns というマイナーな SSW の代表曲で、「Seventeen Years On the River」がオリジナル・タイトルのようです。

  B 面は作者のクレジットがないので手探り状態です。 「Daddy Rollin’ Stone」はブルース調ですが、次第に初期の Bob Dylan に近いサウンドへと移行していきます。 45 秒の「Blackeyed Suzy」、2 分の「Salty Dog」、57 秒の「Footprints On The Dashboard」と短い曲が並ぶ辺りは、アルバムのハイライトともいえる小気味良さを感じます。 アップテンポ「Keep On Truckin’」、マイルドな「You Don’t Need Me」も良質なフォークに仕上がっています。 ラストは意外にも「Dona, Dona, Dona」でしんみりと迎えます。 自分はこの曲を聴くとどうしてもペギー葉山を思い出してしまうのですが...

  こうしてアルバムはひっそりと開催された個展のように、しんみりした余韻で過ぎ去っていきます。 繊細な音色や情緒豊かな歌心を楽しむ作品ではありませんが、武骨で田舎くさいフォークが好みのかたならば気に入ってもらえる内容だと思います。 おそらく彼の唯一のアルバムと思われますが、再発される可能性は少ないでしょう。 

■Joe Mondo / Ain’t No Cows■

Side 1
King Bee
Cocaine
What Is This Thing Called Love?
Seventeen Years
You Can Search

Side 2
Daddy Rollin’ Stone
Blackeyed Suzy
Salty Dog
Footprints On The Dashboard
Keep On Truckin’
You Don’t Need Me
Dona, Dona, Dona

Produced by Bob Berliner
Recorded at Ultrasonic recording Studios, Hempstead, N.Y.
Back-up guitar in ‘Cocaine’ by Mike Frohne

Cow Records Inc. C-1001


Bright Morning Star

2010-01-04 | Folk
■Bright Morning Star / Arisin’■

  明るい一年になることを願って、ご来光のようなジャケットのアルバムを取り上げてみました。 Bright Morning Star はメイン州を拠点とする 6 人編成のグループ。 バンド構成となっているものの、実際に音を聴いてみると、むしろコーラスやアカペラを得意とするボーカルグループという印象です。

 彼らの活動期間は 1978 年から 1990 年までで、このアルバムは 1981 年にリリースされたデビュー作と思われます。 個々のメンバーの経歴は判りませんが、唯一 Charlie King は 1970 年代初頭からソロ活動を行ってきたミュージシャンです。 今日まで同姓の別人かと思っていましたが、彼の公式サイトに Bright Morning Star Reunion という記事があり、同一人物であることが判明しました。 

  さて、アルバムの内容ですが、トラディショナルにオリジナルの歌詞を重ねた曲が半分ほどあり、その他はカバーとオリジナルという構成となっています。 まずは、コーラスワークに力点をおいた曲をレビューしてみましょう。
  まずはオープニングの「Solar Carol」から。 この曲はリコーダーの可愛らしいイントロに導かれたアカペラがメイン。 賛美歌で聴き覚えのある♪グローリア♪のメロディがオリジナルの歌詞で歌われるので違和感があるものの、クリスマスに逆戻りしたかのような気分になります。 「A Satisfied Mind」はほのぼのしたワルツ。 ここでも混声で厚みのあるコーラスが繰り広げられています。 この曲を凌ぐ出来なのが B 面の「Goin’ Down The Valley」です。 Jesse Brown なる人物の曲ですが、広大なニューイングランドの森林を想起させる素朴なアレンジで、Court のボーカルと厚みのあるコーラスが冴え渡り、Bright Morning Star の真骨頂とも言える展開に仕上がっています。 曲の良さという点では、「Simple Gifts」や「Hangin’ Tree」も見劣りしません。 後者は ♪No Nukes for me♪ という歌詞がはっきりと聞き取れ、1979 年に起きたスリーマイル島の原発事故がアメリカ社会に及ぼした影響を感じ取ることができました。 ちなみに、この曲はBright Morning Star の初期のメンバーだった Pat Decou と Tex LaMountain による楽曲。 Pat とTex は共同名義でアルバムも発表しているようです。 バンド名を冠したラストの「Bright Morning Star」はニューヨーク州のイサカでライブ録音されたもの。 イサカといえば Bill Destler の名盤を生んだ Swallowtail Records の拠点で一度は訪ねてみたい町です。  このライブ録音はスタジオ録音に比べて、かなり危なっかしい場面もありますが、彼らの持ち味である温かみが伝わってきました。

  以上がアルバムの核を成しているコーラス中心の楽曲ですが、これ以外の曲で素晴らしいのは、「Love Around The Corner」と「Sea Legs」です。 前者は Court Dorsey、後者は Marcia Taylor という構成メンバーによるオリジナル曲ですが、とくに後者はギターとボーカルだけのシンプルな作りで、Marcia と思われる清楚で美しい歌声が心に響く名曲に仕上がっています。  
  個々に取り上げなかった曲もいくつかありますが、それらは各々個性的な内容で、アルバムをバラエティ豊かなものに引き立てる役割を演じている曲ばかりですので、マイナスになることはありません。 ただ個人的には Greg Brown による「Serious Men」は無くても良かったと思ったりしますが…

  先に書いたように、Bright Morning Star は 2008 年に再結成されました。 Charlie King のページには老いながらも元気そうな写真が載っていますが、再結成後の詳しい活動状況は明らかにされていませんでした。 

■Bright Morning Star / Arisin’■

Side 1
Solar Carol
Harriet Tubman Follow The Drinkin’ Gourd
A Satisfied Mind
Serious Men
Hangin’ Tree
Simple Gifts

Side 2
Truck Drivin’ Woman
Love Around The Corner
Sea Legs
Vine And Fig Tree
Goin’ Down The Valley
Bright Morning Star

Recorded and mixed at Sound Techniques, Watertown, MA

Court Dorsey : vocals, harmonica, tenor guitar, piano, bells, maracas, conga, recorder
Cheryl Fox : vocals, recorder, casaba, guitar, dulcimer
George Fulginiti-Shakar : vocals, acoustic bass, piano, recorder, bells
Ken Giles : vocals, viola
Charlie King : vocals, guitar, autoharp, electric bass
Marica Taylor : vocals, guitar, flute, electric bass

Karen Kane : recording engineer, flute on ’Vine And Fig Tree’
Ralph E. McGeehan : cover painting

Rainbow Shake Records RSR 004

Bob Morley

2009-11-07 | Folk
■Bob Morley / Reflections■

  George Harrison に似た風貌の持ち主、Bob Morley が当時のヒット曲や名曲を躊躇なくカバーしたフォーク・アルバムを取り上げてみました。 アルバムの発表年代は不明なのですが、1970 年代のかなり前半と思われ、James Taylor や Carole King が一世を風靡していた頃の作品だと思われます。
  それにしても、これほど大胆においしいところを持っていく狙いはどこにあったのでしょうか。 デビューアルバムにして個性を出すまもなく、曲に負けてしまっているとしか表現しようがありません。
  Simon & Garfunkel の「April, Come She Will」(四月になれば彼女は)、「Bridge Over Troubled Water」(明日に架ける橋)、James Taylor では 「Fire And Rain」と「Sweet Baby James」、Carole King の「You’ve Got A Friend」、そして極めつけは The Beatles の「Let It Be」にまで手を出して、聴衆に聴いてくださいとは Bob Morley はかなりの度胸の持ち主なのでしょう。 曲だけを眺めると、「1972年版カラオケで歌いたい歌ランキング」かと思えるほどです。 もちろん、当時のアメリカにはカラオケはありませんが。

  しかし、これだけの有名曲をピックアップしながら、ジャケットに作曲者のクレジットが入っていないのは感心しません。 せめて出所を明記するのはカバーする人の敬意ではないかと思うのですが。 ちなみに、「Suzanne」はLeonard Cohenの代表曲。 その他では、「Pretty Smart On My Part」が Phil Ochs、「Broomstick Cowboy」が Bobby Goldsboro、「Friends With You」が John Denver の楽曲だということです。 「Sunshine」に関してもおそらくカバー曲だと思われるのですが、聴いたことがない上にネットで調べてもはっきりとは分かりませんでした。
  
  そんなこの作品ですが、Bob Morley の薄く繊細なボーカルが頼りなさを漂わせながらも、オーソドックスなアレンジに卒なく仕上げている印象です。 原曲に忠実なのはいいのですが、冒険はありません。 そうなると、曲本来の持つパワーが Bob Morley の個性を上回ってしまうのです。 オハイオ州シンシナチでレコーディングされたこの作品の存在意義とはどこにあったのかという疑問すら浮かんできます。 影響力のある政治家の息子、新興宗教家、単なる金持ちといった想定もできるのですが、彼の雰囲気からはそれは無さそうです。

  そんな Bob Morley で最も驚くべき事は、彼がこの Jewel Records から合計 5 枚ものアルバムを発表していたという事実です。 Jewel Records のディスコグラフィーをまとめたサイトによると、この「Reflections」は 1972 年頃の作品。 以降「Through a Glass, Darkly」(1973)、「Life I Love You」(1974)、「At Home In The World」(1975)そして、「Songman」(1976)と毎年のようにアルバムをリリースしているのです。 少なくともこの「Reflections」を聴く限りでは、それほどの実力と才能を備えたミュージシャンとは思えません。 言い換えれば、彼が毎年のようにレコードを発表できた理由が判らないのです。 その答えを解明するには、やはり 1 枚づつでもアルバムを入手して聴くべきなのでしょうか。 深追いはしたくないけど、チャンスがあれば…というのが現在の心境です。

■Bob Morley / Reflections■

Side-1
April, Come She Will
Fire And Rain
Sunshine
Broomstick Cowboy
Bridge Over Troubled Water
Friends With You

Side-2
Suzanne
Pretty Smart On My Part
Sweet Baby James
You’ve Got A Friend
Amazing Grace – Let It Be

Recorded at Jewel Recording Studios, Cincinnati, Ohio
Engineer : Rusty York

Jewel records LPS 299

Dean Stevens

2009-08-01 | Folk
■Dean Stevens / Love Comes To The Simple Heart■

  マサチューセッツ出身のフォークシンガー Dean Stevens が 1985 年に発表したセカンド・アルバムを取り出してみました。 Dean Stevens は現在まで 5 枚のアルバムを発表している現役ミュージシャン。 1981 年のファーストアルバムだけが未 CD 化作品で、このセカンド以降の作品はすべて CD 化されているようです。

  Dean Stevens の容貌は髭もじゃで、もしかするとユダヤ系なのかもしれませんが、このアルバムは、Songs In English and Spanish という副題が付けられているとおり、スペイン語で歌われている曲が 3 曲含まれています。 ただ、全編にわたって Dean Stevens のギター 1 本による弾き語りなので、歌われている言語はあまり気になりません。 ましてや、スペイン語の曲が急にラテン調になっているということもありません。 むしろ、スペイン語の楽曲の方が巻き舌に発音が個性的に響き、アクセントとなっています。とくに、「El Pregon De Las Flores」が素晴らしい出来です。

  さて、このアルバムの個人的なハイライトは 2 曲あります。 その一つ目は、A 面ラストの「Passing Through」。 この曲は以前、ブログで取り上げた John Gailmor のアルバムタイトルにもなっている名曲です。 Dick Blakeslee の手によるこの曲は、Pete Seeger のバージョンが最も有名のようです。 僕は Pete Seeger のバージョンは聴いていないのですが、Dean Stevens の公式サイトに Pete による推薦コメントが載っていることから、Dean Stevens のミュージック・スタイルが Pete Seeger に強く影響を受けたということが窺えます。
  もう 1 曲は、「San Diego Serenade」です。 タイトルでお分かりのように、これは Tom Waits のセカンドに収録されている名曲中の名曲。 この曲を Dean Stevens は原曲をかなり崩しながらも要所を締めるようなラフな語り口でまとめあげています。 ノスタルジックな味わいは薄れますが、Dean Stevens の個性が発揮されていると言えるでしょう。

  この 2 曲以外では、タイトル曲の「Love Comes To The Simple Heart」が美しいバラードとして秀逸な仕上がりです。 この曲は冒頭の「The Dollmaker’s Secret」と並んで Chuck Hall という人物の曲です。 Chuck Hall はアリゾナに同名のギタリストがいますが、同一人物ではないようです。 どのような経歴だったのかはわからずじまいでした。

  いくつかの曲を取り上げて紹介しましたが、このアルバムは真夏ではなく、秋の夜長に静かに聴きたくなるようなアコースティックな弾き語り作品となっています。 最近すっかり聴いていませんが、ふと Noah Zacharin の Green Album を思い出しました。 どことなく佇まいが似ているのは、緯度が高いせいかもしれません。

■Dean Stevens / Love Comes To The Simple Heart■

Side 1
The Dollmaker’s Secret
Dark Eyed Molly
Just Like The Dawn
God Bless The Grass
Gracia A La Vida
Passing Through

Side 2
El Pregon De Las Flores
San Diego Serenade
Love Comes To The Simple Heart
Field Of Grass
Mi Tripon

Produced by Dean Stevens

Dean Stevens : guitar and voice
Recorded at Audio Matrix, Cambridge,MA

Volcano Records 2002

The Pied Pumkin String Ensemble

2009-07-26 | Folk
■The Pied Pumkin String Ensemble■

  今日、この記事を書くまで、このバンドのことを The Pied Pumpkin String Ensemble だと思い込んでいました。 日本語で言うと「かぼちゃパイ・弦楽団」というわけです。 しかし、よくよく見ると Pumpkin ではなく Pumkin となっていたのです。 そんな単語があるのかと、ネットの辞書で調べてみましたが、出てきませんでした。 ということで、p があろうと無かろうと、意味は変わらず、ということなのだろうと勝手に決め付けることにしました。

  The Pied Pumkin String Ensemble はカナダのバンクーバー出身の 3 人組。 このアルバムはデビュー・アルバムにして、ライブ録音盤です。 聴いている限りは、ライン録音したのでしょうか、会場の臨場感や熱気はほとんど伝わってきません。 曲の終わりに拍手が入ることで、ライブだったということに気付くのです。
  そんな彼らのサウンドは、リーダー的な存在の Rick Scott のボーカル、Joe Mock のギター、Shari Ulrich のヴァイオリンというシンプルな編成で奏でられます。 曲によって、フルートやダルシマーが入りますが、基本編成に大きく変わりはありません。 曲を最も多く書いているのは Rick Scott ですが、彼のボーカルはこれといった特徴はありません。 その一方で、Joe Mock のボーカルは鼻にかかった声で、ふと Elvis Costello の若い頃を思い出してしまいました。 曲としても Joe の手がけた「Kootenay Bark」は、アルバムのなかでも出来のいいものとなっています。

  クレジットでは A 面が Side of Fries、B 面が Side Salad と名付けられていますが、特に大きな変化が感じられるわけではありません。 彼ら独特のユーモアなのでしょう。 Side of Fries では、先に触れた「Kootenay Bark」以外ではShari Ulrich が歌い出しでボーカルを務める「I Believe」がお勧めです。 途中でボーカルが交代するなど曲調を変化させながら進むこの曲は彼らのレパートリーのなかでも、最もアーティスティックなものに聴こえます。
  Side Salad のお勧めは、やはり Joe の楽曲「You Can Change The World」です。 オバマ大統領のメッセージみたいなタイトルですが、楽曲はまったりとした緩めのものです。 こんなムードでは世界は変えられないと思ってしまいますが、どこか皮肉めいた歌詞なのかもしれません。 ラストの「People I Love You」は、乗りのよさと憂いを帯びたメロディーに好感が持てる楽曲。 おそらくこうしたタイプの楽曲がライブでは受けるのでしょう。

  こうして The Pied Pumkin String Ensemble のアルバムを聴いてみると、ジャケットほどふざけていないという感想を持ちました。 何しろジャケットでは Rick Scott が紅一点の Shari Ulrich の頬を舐めていたりして、仲が良いとかいうよりは、大学のサークルのような乗りみたいだからです。 そんな彼らは本当に気のあう仲間なのでしょう。 現在もこの 3 人のままで活動を続けていました。 公式サイトの写真を見ると、その仲の良さは、羨ましくさえ思うほどです。

■The Pied Pumkin String Ensemble■

Side of Fries
Orville Goes To The Country
Kootenay Bark
I Believe
Medley – Over the Waterfall , The Wind That Shakes The Barley, Bonaparte’s Retreat

Side Salad
Long & Lonely
Ming 14
You Can Change The World
People I Love You

Produced by Pumkins
Recorded live at S.F.U. by Kelly-Deyong mobile unit
Joe Mock : guitar, vocals
Shari Ulrich : violin, mandolin, flute, vocals
Rick Scott : dulcimer, vocals

Squash

Pete Kairo

2009-06-14 | Folk
■Pete Kairo / Playing It Safe■

  針を落とした瞬間から硬質のフィンガーピッキング・ギターの音色が響き渡り、空間を一変させてしまうアルバムです。 
  Pete Kairo はメイン州の無名のギタリスト。 おそらくこのアルバムが彼の唯一の作品だと思われます。 アメリカには彼のようなラグタイム・ギターの名手がどのくらい存在するのでしょうか。 そんなことを考えながら、若干ノスタルジックに向き合うのに最適なアルバムです。
  
  このブログでは以前 Scott Joplin の曲だけを集めた、Bob Tryforos の作品を取り上げたことがありますが、このアルバムも似た傾向の作品です。 ただ、こちらには半分くらいの曲にボーカルが入っていますので、そこは大きな相違点です。 Scott Joplin の曲も収録されており、「Original Rags」は Pete Kairo のアレンジでしっとりとまとめられています。 
  アルバムの曲の多くは、古典であるパブリック・ドメイン楽曲が多く、Pete Kairo は史料を編纂するかのようにこのアルバムをレコーディングしたのでしょうか。 気になるには、プロデューサーである Delta X なる人物です。 本名や実体は不明なのですが、彼がこのアルバムの制作指揮をとっていた重要人物に違いないのです。 アルバムへは、唯一「Only The Blues」にブルースハープで参加しただけなのですが、この Delta X の正体を知っている方がいれば、教えてもらいたいところです。

  特筆すべき楽曲としては、2 曲挙げられます。 1 曲がビートルズの「Things We Said Today」です。 「明日への誓い」という邦題のほうがお馴染みですが、初期のレノン・マッカートニーのなかでも地味で通好みの曲を選んだなという印象です。 この曲は「A マイナーコードの楽曲をブルージーなセッティングで演奏した」とクレジットされています。
  もう 1 曲は、「Stars And Stripes Forever」(星条旗よ永遠なれ)です。 吹奏楽の世界では知らない人はいないというソーサの名曲ですが、この曲を Pete Kairo はギター 1 本で見事に演奏しきっているのです。 これはまさに圧巻で、いったいどうやって弾いているのかが想像もできません。 この曲だけがライブ収録なので、演奏後の拍手と歓声がその超人的なテクニックを表しています。
  この曲をギター用にアレンジしたのが、Rounder Records から多くのアルバムを発表した Guy Van Duser 。 彼のデビュー作は 1977 年の「American Finger Style Guitar」ですが、「Stars And Stripes Forever」はこのアルバムのラストに収録されています。 Pete Kairo の本作は 1975 年から 1976 年にかけてレコーディングされているので、もしかすると Pete Kairo は「Stars And Stripes Forever」を本家よりも早くレコーディングしたのかもしれません。 クレジットを見ると、「Guy Dan Duser is one hell of a guitar player」とコメントされているだけでした。 この二人の間に実際の接点があったのかどうかは判りませんが、楽譜だけでマスターできる代物では無いように思います。

  Guy Van Duser は定期的にアルバムをリリースしたのに対し、Pete Kairo のアルバムはこの作品以外は見当たりません。 しかも、彼は 2003 年 1 月に亡くなっていました。 そのことを伝える記事には、「Sweet Georgia Brown」や「Stars And Stripes Forever」が彼の十八番だったことが記されていました。



■Pete Kairo / Playing It Safe■

Side-1
Sweet Georgia Brown
Bottom Dollar
Original Rags
Only The Blues
Willow Weep For Me
Stars And Stripes Forever

Side-2
Wabash Rag
Staten Island Hornpipe
Hard Heard Men
Whistler And His Dog
Hey, Hey, Daddy Blues
Things We Said Today
Memories Of You

Produced for the Physical World by Delta X
Recorded at The Physical World except ‘Stars And Stripes Forever’ recorded live at Passim in Cambridge.
Recorded over six month period starting November, 1975

The Physical World Pr 32-006


Matthew And Sharron

2009-04-19 | Folk
■Matthew And Sharron / Millennial Day Songs■

  春の陽気が続き、一気に季節は新緑の輝きのなかに包まれています。 そんな心地よい休日に安らぎを運んでくれるようなフォーク・アルバムを取り出してみました。 1976 年に Los Angeles 郊外の Altadena にあるローカル・レーベルからリリースされた Matthew And Sharron のアルバムです。
  「至福千年の日の歌」とでも訳すのでしょうか。 人生の素晴らしさや満ち足りた幸福感がモチーフとなったタイトルからは、クリスチャン・ミュージックの匂いを感じますが、Jesus や Lord が連呼される曲は存在しません。 むしろ、光・大地・空・山・水といった言葉が目立ちます。 歌詞カードは封入されていないので詳細は不明ですが、このアルバムは、The Seekers の持つお行儀の良いフォークソングの世界観に近いものを感じます。 夫婦のデュエットということから、Ian & Sylvia と対比することもできるかもしれません。

  レコードは、A 面に『Seven Millennial Day Songs』、B 面に『More To Sing About』というサブタイトルが付けられていますが、特に趣向が異なっているわけではありません。 若干ですが『More To Sing About』の方が緩いイメージはありますが、さっそく『Seven Millennial Day Songs』からフィードバックしてみましょう。 
  「Light」は二人の息のあったハーモニーが爽やかな曲で、リスナーは早くもアルバムの全体像を予測することとなります。 そして「Waters」や「Land And Seed」といった自然の恵みを讃えた優しい楽曲が続きます。 つづく「Lesson In The Sky」は、癒しの色がやや薄くなりますが、「Life Everywhere」で至福の頂点を迎えます。 この曲は奥さんの Sharron がリード・ボーカルをつとめた清楚な出来なのですが、鳥のさえずりがさりげなくエフェクト処理されており、リラクゼーション効果満点。 アルバムを代表する曲と言えるでしょう。 再び、夫婦のハーモニーに戻った「Wedding Coming Soon」をはさみ、Sharron のリードが美しい「The Great Rest (The Mountain Song)」で組曲のような『Seven Millennial Day Songs』は幕を閉じます。 この 7 曲は自然界の輪廻をテーマにしており、時代を先取りしたエコロジー音楽といった印象を受けました。
  B 面の『More To Sing About』は A 面のように統一したテーマはありません。 「Medley- Who Will Be The Greatest, Weeds」は、どこがメドレーか曖昧なまま、「Go Tell It On The Mountain」に突入してしまいます。 ともにオーソドックスなフォーク・ソングですが、終始ユニゾンしていくスタイルが好きな人にはたまらないかもしれません。 つづく「Medley- The Second Coming, Gathered From The Nations」は、中盤から鼓笛隊のようなドラムスとベースが入ってきます。 リズムセクションが入る曲は、ここだけなのですが、それほど違和感はありません。 「The Long Way Home」は落ち着きのあるバラードで B 面を代表する名曲。 ラストの「You, You, You」は語呂合わせを含んだ、遊び心あふれる陽気な楽曲でした。

  このようにレビューしてみましたが、このアルバムは純粋で素朴なフォーク風味が全編を貫いており、1976 年に生み出されたとは思えない作品でした。 時代に左右されない普遍性を兼ね備えた良心的な作品として、十分評価できる内容だと思います。 ただ、分かり易い音作りに徹しているせいもあって、強烈な個性を感じないのも事実です。 とはいえ、時代に抗うかのように平和と自然を愛した夫婦から届けられたアルバムと向き合うのには、そんな論評は無用なのでしょう。 人生で大事なことは、新緑の美しさや鳥のさえずりに心が動くかどうかなのですから。

 

■Matthew And Sharron / Millennial Day Songs■

Side-1 “Seven Millennial Day Songs”
Light
Waters
Land And Seed
Lesson In The Sky
Life Everywhere
Wedding Coming Soon
The Great Rest (The Mountain Song)

Side-2 “More To Sing About”
Medley- Who Will Be The Greatest, Weeds
Go Tell It On The Mountain
Medley- The Second Coming, Gathered From The Nations
The Long Way Home
You, You, You

Mark Graham : bass, third voice on ‘Lesson In The Sky’ and ‘You, You, You’
Paul Shaeffer : drum on ‘Gathered From The Nations’
Marc Stahl : third guitar on ‘Gathered From The Nations’

All other vocalization and instrumentation by Matthew and Sharron Kalliman

Triumph Records TR 7601

Jane Voss

2009-03-15 | Folk
■Jane Voss / An Album Of Songs■

  春の足音が近づいてきた午後には、こんな牧歌的なアルバムがよく似合います。
  1976 年に発表された Jane Voss のデビューアルバムは、アコースティックな肌触りに満ちた素朴な作品。 ほぼ全曲が彼女の弾き語りですが、彼女のボーカルは田舎娘のような朴訥さ、大らかさが特徴で、70 年代のメジャーな女性 SSW とは大きくかけ離れています。 もし、この歌声が苦手だとすれば、アルバム全曲を聴きとおすのは辛いかもしれません。

  アルバムは淡々と進行する全 12 曲収録。 うち彼女のオリジナルは 3 曲で、他の曲は Carter Family や Woody Guthrie のカバーです。 ごく一部の曲にフィドルやダルシマーが挿入される程度なので、延々と続く牧草地帯を走る車窓を眺めているかのように、変わらない風景が続いていくという印象です。 とくに、A 面はワルツ中心の単調さが気になり、個々の楽曲に対するコメントはないのですが、ラストの「Keep In Mind (That I Love You)」は、Scott Alarik が彼のファースト・アルバム「Stories」でカバーしている曲でした。 この曲については、2006 年10月にアップしたScott Alarikの記事でもコメントしたとおり、親しみやすいメロディーの曲です。 ちなみに、この曲はオリジナルの 1 曲で Jane Voss が 1972 年に作曲したものです。

  B面では、気になるオリジナル曲に出会いました。 ネットで検索していて発見したのですが、「Standing Behind A Man」が日本人によってカバーされていたのです。 その邦題は『男の陰に女あり』という妙訳なのですが、カバーしたのはミュージシャンというよりは音楽評論家として知られる中川五郎です。 彼は 28 年ぶりとなるソロ・アルバム「ぼくが死んでこの世を去る日」を 2004 年に発表したのですが、そこに『男の陰に女あり』が収録されていました。 もちろん(と言っては失礼ですが…)、僕はこのアルバムを持っていませんし、聴いたこともありませんが、「Standing Behind A Man」のカバーはどんなバージョンに仕上がっているのでしょうか。 特に対訳の名手でもある彼なので、その詞には興味があります。 と思って、調べてみたら、とあるブログに歌詞が引用されているのを発見。 この歌詞をみながら、オリジナルを聴くという贅沢な時間を過ごしてしまいました。 原曲は情緒あふれるフィドルを擁した素朴なワルツで、アルバムのなかでも抜群の存在感を示す出来となっています。

  せっかくなので、残り 1 曲のオリジナル「The Bus Stop Song」についても触れておきましょう。 こちらは弾き語りのワルツですが、タイトルからも伺えるとおり、路地裏の埃臭さを感じさせるクセのある仕上がりです。

  Jane Voss の公式サイトによると、彼女は 25 年以来のパートナーとなる Hoyle Osborne とともに音楽活動を続けています。 Janeがギター、Hoyle がラグタイム・ピアノという役割で 1989 年以降 6 枚のアルバムを発表。 この「An Album Of Songs」を含めた全作品が、CD でオンライン販売されています。 2004 年の最新作の「Beyond the Boundaries」には、あの Van Dyke Parks がこんなコメントを寄せていました。
“I had a grand time listening to your CDs in the car. All of it, a perfect antidote to road rage. Your work has great heart soul and incite.“

 

■Jane Voss / An Album Of Songs■

Side-1
Goodbye To My Stepstone
Clinch Mountain Home
Jim Blake’s Message
Bear Creek Blues
A Long Road To Travel alone
Keep In Mind (That I Love You)

Side-2
The Lover’s Return
The House Of The Rising Sun
Standing Behind A Man
The Bus Stop Song
Too Late
Going Home

Recorded at Mike Cogan at Bay Studios, California

Jane Voss
Harry Liedstrand : fiddle
Jeanie McLerie : autoharp, voice
Kate Brislin : voices
Valerie Mindel : voice
Holly Tannen : dulcimer
Gene Tortora : dobro,
Stuart Brotman : bass

Bay Records 207