■Richard And Miche / Take A Chance■
初秋のおだやかな風が吹く昼下がりにお似合いの音楽を奏でるのは、Richard Colombo と Miche Evans が結成した Richard And Miche のアルバム。 1983 年に発表された彼らの唯一の作品です。 ジャケット写真のように息の合ったボーカル&ハーモニーと、アコースティックで洗練されたアレンジで綴られたこのアルバムは、自主制作とは思えないほどの充実した内容となっています。 作曲も全てふたりで手がけ、バック・ミュージシャンもゲストを除いては不動のメンバーで固めたこのアルバムについて、さっそくコメントしてみましょう。
アルバムは陽だまりのようなゆとりを感じる「Better All The Time」で幕開け。 デビュー作とはいえ、二人のキャリアが長いことがこの曲だけで窺い知れます。 つづく「Woman Of Rainbows」はアルバム最大のサプライズ。 聞き覚えのあるイントロの感じ、スネアの音色、そして骨太なリズムセクションとリリカルなピアノに耳が釘付けになるのです。 1970 年後半のヒット曲に精通している人であればすぐにその曲が Al Stewart の「Year Of The Cat」に酷似していることが判るでしょう。 Richard And Miche が「Year Of The Cat」を意識していないはずは無いと断言できるのですが、メロディーラインの模倣はありません。 そのあたりはさすがと言うべきなのか迷うところですが、曲の出来は悪くありません。 ジャジーで大人びたナンバー「Just Getting’ By」、Doug Harman のチェロが重々しく響く物悲しげなバラード「Memories Of You」と続きますが。 後者では Richard の娘(あるいは妹?)と思われる Joleen Colombo の透明感のあるハーモニーが効果的です。 The Beatles の同名ナンバーではない「Don’t Pass Me By」は標準的なフォークロック。 A 面ラストの「In Silence Of Snow」はタイトルどおり冬を連想させる曲。 シチューの CM 曲のような仕上がりです。
B 面はアルバムタイトルの「Take A Chance」から。 アルバム中で最もアップテンポな曲ですが、Richard And Miche のボーカルの絡み方が、The Fifth Dimension を彷彿とさせます。 つづく「Shadows Of Gray」は牧歌的な味わいの名曲。 どことなく英国的な気品も漂わせており、カリフォルニア州から届けられたこと作品であることをすっかり忘れてしまいます。 憂いのあるミディアム「I Won’t Ever Let You Go」は Miche Evans のボーカルの力量が遺憾なく発揮された曲。 「Moment In Time (Song For Joleen)」、「A World From Which To Run」はともにミドルテンポで重厚なナンバー。 アルバムのなかでは地味な部類に入りますが、懐の深いアレンジは何度も聞き込んで味わいが出てくる類のものでしょう。
こうして聴いてみると、そのクオリティに驚かされるのですが、残念なことに Richard And Miche のアルバムはおそらくはこの 1 枚だけのようです。 クルマのなかで見つめあい微笑む二人はこのアルバムをリリースしてからどのような人生を歩んだのでしょうか。 その足跡はまったく掴めませんでしたが、少なくともこのアルバムで Take A Chance することは無かったようです。
■Richard And Miche / Take A Chance■
Side 1
Better All The Time
Woman Of Rainbows
Just Getting’ By
Memories Of You
Don’t Pass Me By
In Silence Of Snow
Side 2
Take A Chance
Shadows Of Gray
I Won’t Ever Let You Go
Moment In Time (Song For Joleen)
A World From Which To Run
Produced by Richard Colombo and Miche Evans
All composition by Richard and Miche
Recorded and mixed at Harbour Sound, Sausalito, Valifornia
Miche Evans : lead vocals, acoustic guitar, vocal harmonies
Richard Colombo : lead vocals, acoustic guitar, vocal harmonies
Keith Allen : acoustic guitar, electric guitar
Scoop McGuire : bass
Tommy Kesecker : bongos, vibes, drums, tambourine, sandblocks, claves
Chris James : piano, synthesizer
Ian Tangen : acoustic guitar
Doug Harman : cello
Jim Rothermel :flute, tenor saxophone, harmonica
Joleen Colombo : vocal harmonies
Jeff Wyman : vocal harmonies
Cindy Frey : vocal harmonies
Daphne Records DA001
初秋のおだやかな風が吹く昼下がりにお似合いの音楽を奏でるのは、Richard Colombo と Miche Evans が結成した Richard And Miche のアルバム。 1983 年に発表された彼らの唯一の作品です。 ジャケット写真のように息の合ったボーカル&ハーモニーと、アコースティックで洗練されたアレンジで綴られたこのアルバムは、自主制作とは思えないほどの充実した内容となっています。 作曲も全てふたりで手がけ、バック・ミュージシャンもゲストを除いては不動のメンバーで固めたこのアルバムについて、さっそくコメントしてみましょう。
アルバムは陽だまりのようなゆとりを感じる「Better All The Time」で幕開け。 デビュー作とはいえ、二人のキャリアが長いことがこの曲だけで窺い知れます。 つづく「Woman Of Rainbows」はアルバム最大のサプライズ。 聞き覚えのあるイントロの感じ、スネアの音色、そして骨太なリズムセクションとリリカルなピアノに耳が釘付けになるのです。 1970 年後半のヒット曲に精通している人であればすぐにその曲が Al Stewart の「Year Of The Cat」に酷似していることが判るでしょう。 Richard And Miche が「Year Of The Cat」を意識していないはずは無いと断言できるのですが、メロディーラインの模倣はありません。 そのあたりはさすがと言うべきなのか迷うところですが、曲の出来は悪くありません。 ジャジーで大人びたナンバー「Just Getting’ By」、Doug Harman のチェロが重々しく響く物悲しげなバラード「Memories Of You」と続きますが。 後者では Richard の娘(あるいは妹?)と思われる Joleen Colombo の透明感のあるハーモニーが効果的です。 The Beatles の同名ナンバーではない「Don’t Pass Me By」は標準的なフォークロック。 A 面ラストの「In Silence Of Snow」はタイトルどおり冬を連想させる曲。 シチューの CM 曲のような仕上がりです。
B 面はアルバムタイトルの「Take A Chance」から。 アルバム中で最もアップテンポな曲ですが、Richard And Miche のボーカルの絡み方が、The Fifth Dimension を彷彿とさせます。 つづく「Shadows Of Gray」は牧歌的な味わいの名曲。 どことなく英国的な気品も漂わせており、カリフォルニア州から届けられたこと作品であることをすっかり忘れてしまいます。 憂いのあるミディアム「I Won’t Ever Let You Go」は Miche Evans のボーカルの力量が遺憾なく発揮された曲。 「Moment In Time (Song For Joleen)」、「A World From Which To Run」はともにミドルテンポで重厚なナンバー。 アルバムのなかでは地味な部類に入りますが、懐の深いアレンジは何度も聞き込んで味わいが出てくる類のものでしょう。
こうして聴いてみると、そのクオリティに驚かされるのですが、残念なことに Richard And Miche のアルバムはおそらくはこの 1 枚だけのようです。 クルマのなかで見つめあい微笑む二人はこのアルバムをリリースしてからどのような人生を歩んだのでしょうか。 その足跡はまったく掴めませんでしたが、少なくともこのアルバムで Take A Chance することは無かったようです。
■Richard And Miche / Take A Chance■
Side 1
Better All The Time
Woman Of Rainbows
Just Getting’ By
Memories Of You
Don’t Pass Me By
In Silence Of Snow
Side 2
Take A Chance
Shadows Of Gray
I Won’t Ever Let You Go
Moment In Time (Song For Joleen)
A World From Which To Run
Produced by Richard Colombo and Miche Evans
All composition by Richard and Miche
Recorded and mixed at Harbour Sound, Sausalito, Valifornia
Miche Evans : lead vocals, acoustic guitar, vocal harmonies
Richard Colombo : lead vocals, acoustic guitar, vocal harmonies
Keith Allen : acoustic guitar, electric guitar
Scoop McGuire : bass
Tommy Kesecker : bongos, vibes, drums, tambourine, sandblocks, claves
Chris James : piano, synthesizer
Ian Tangen : acoustic guitar
Doug Harman : cello
Jim Rothermel :flute, tenor saxophone, harmonica
Joleen Colombo : vocal harmonies
Jeff Wyman : vocal harmonies
Cindy Frey : vocal harmonies
Daphne Records DA001