Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Rob Galbraith

2008-10-30 | AOR
■Rob Galbraith / Throw Me A Bone■

  このアルバムは 10 年くらい前に、Yahoo! オークションで売ったことがあります。 状態のいいレコードが運よく手に入ったので、もともと持っていたほうを出品したのですが、 その際『このレコードは渋谷の某○○BAR のコンピ・カセットに入っている「Just Be You」の Rob Galbraith と同じ人のものですか?』という質問が入りました。 何のことかさっぱり理解できなかったので、『ご指摘の「Just Be You」という曲は入っていますよ』と回答したのを覚えています。 結果、その質問者はけっこうな高値で落札してくれたのですが、この出来事が Rob Galbraith のクラブシーンでの人気ぶりを僕が知るきっかけとなったのです。

  結局、僕はその某○○BAR という店には一度も行くことはなかったのですが、このアルバムのプリ AOR 感覚が、若者に受けるのはなんとなく分かるような気がしています。
  例えば前述の「Just Be You」はグルーヴ感のあるアップ・ナンバー。 途中でトランペット・ソロが格好いいのですが、この曲だけがアルバムのなかで突出しているという評価は正しくないと思います。 個人的には、つづく「I Majored In Jive」や「300 Pounds Of Hongry」の方が好きだったりします。 ともに肩の力の抜けたミディアムな楽曲で、Rob Galbraith の余裕綽々のボーカルが堪能できるからです。 スワンプの残り香を感じさせる「White Boy In The Woodpile」を挟んで Rob Galbraith の十八番的なバラード「The Way He Looks At You」は見事です。 Rob はギターというよりはエレピの人なのですが、そのエレピと彼のボーカルが織り成す至極の哀愁感に浸ることができます。 

 B 面は、シングルカットされたらしい「Damn It All」でスタート。 メロディー、ボーカル、コーラスともに申し分のない曲は、♪I Still Love You Baby, Damn It All ♪と決めるラストにしびれます。 スワンプ色の強いブギー「They Smile Holler Boogie」に続いては、必殺の名バラード「Just Leave Me Alone」です。 エレピをバックにしたシンプルなバラードは Rob Galbraith の真骨頂。 ストリングスやサックス、ギターの控えめな演奏も見逃せません。 弾むようなベースの音色が耳に残る「Throw Me A Bone」、ラストの相応しいさりげなさを見せるバラード「Inspire Me」でアルバムは幕を閉じます。 このアルバムを通して貫いているのは、不器用で孤独な男の悲哀といったイメージです。 歌詞もよく読んでいないので勝手な妄想に過ぎないのかもしれませんが、このダサくて無骨なジャケットを見ると、どうしてもそんなことを考えてしまいます。

  さて、この「Throw Me A Bone」はメジャーレーベルである RCA から 1976 年に発表されたものの、長い間 CD 化もされずに風化しつつあったのですが、ついに年内に初 CD 化されることになったようです。 しかも、紙ジャケット仕様での発売とのことです。 これによってこの名盤が多くのリスナーから再評価されることはうれしいことですが、肝心の Rob Galbraith のアルバムがこの作品以降、発表されていないことが何よりも残念でなりません。



■Rob Galbraith / Throw Me A Bone■

Side-1
Just Be You
I Majored In Jive
300 Pounds Of Hongry
White Boy In The Woodpile
The Way He Looks At You

Side-2
Damn It All
They Smile Holler Boogie
Just Leave Me Alone
Throw Me A Bone
Inspire Me

Produced by Rob Galbraith for Kondo Productions

Keyboards : Bobby Ogdin, Ron Galbraith
Acoustic guitar : Don Potter, Rob Galbraith
Bass : Roy Goin, Steve ‘Sweet Tea’ Brantley
Drums & Percussion : Larrie Londin, Hayward Bishop
Electric guitar : Reggie Young, Tim Krekel

Cello : Michael Bacon
Percussion : Farrell Morris
Clavinet : Bobby Wood
Trumpet : Tommy Smith, David DeArmond
Saxophone : Gayle Whitfield

Backing vocals : the Colby Twins, The Holladays, Bruce Dees, and The Fidgettes
Strings Arranged by Archie Jordan and Bergen White
Horn Arranged by Tommy Smith

RCA APL1-1747

Jubal

2008-10-22 | SSW
■Jubal / Jubal■

  Rob Galbraith と Dennis Linde が参加していることで一部の人には知られているJubal が残した唯一のアルバムです。 この 2 人のキャリアであれば、「彼らが中心となって結成した」という表現をしたくなりますが、必ずしもそうではなさそうです。 結成につながるきっかけや背景はわかりませんが、この 2 人を目当てにアルバムに期待をすると肩透かしに会うかもしれません。
  というのも、Rob Galbraith も Dennis Linde も歌っていないのです。 曲は 5 人のメンバーがほぼ平等に書き下ろしているようですが、ボーカルは Terry Dearmore がメインでつとめ、Alan Rush も 4 曲でリードをとっています。 

   アルバムは Dennis Linde 作の雄大な「Lay Me Down」で幕開け。 Terry Dearmore のスケールの大きなボーカルによるこの曲は、サビの良さに加え、ゴスペル風のコーラスが加味された名曲です。  Rob Galbraith 作の「Friendly Goodbye」はアコースティックなバラードでカフェ・ミュージックのようなたたずまい。 Alan Rush にボーカルが交代した「Yesterday (I Threw My Life Away)」 、再び Terry Dearmore に戻った「Really Not A Rocker」あたりはカントリー色の強いルーラルなナンバーですが、平凡な出来。  どうしても贔屓にしてしまう Rob Galbraith 作の「Morning Of My Life」はできれば Rob 自身のボーカルで聴きたかった佳作。 Terry のボーカルもジェントルで表現力豊かなのですが… つづく「For Becky」も Rob の作品ですが、この曲はグルービーでソウルフルな曲調。  ハーモニーもリードも Terry が担当していますが、柔軟に変容するリズムやリリカルなサックス・ソロなど、早熟すぎた AOR とも呼べる格好良さです。 

  B 面は覚えやすいメロディーのバラード「Talk To Me Tonight」でスタート。 Alan Rush のボーカル曲のなかではナンバーワンの出来栄えです。 Rob Galbraith の作曲センスの幅広さを感じる「To Rate To Be a Black Man」 はジャジーなワルツ。  Dennis Linde のベースがずしりと響きます。 つづく「Courage Of Your Convictions」は Alan Rush の豪放なボーカルが炸裂するサザン・ロック。  Dennis Linde 作の「Ridin'」 は地味でルーズなナンバーですが、いまひとつの内容。  ラストの「Castles In The Sand 」は波音の SE から始まるアコースティックなサーフ・サウンド。  メロディーに起伏のない分、淡々とした感じでアルバムが幕を閉じます。

  このようにアルバムを聴いてくると、Jubal が極めて民主的に平等に運営されていたことを感じます。 作曲やプロデュース、そしてボーカルや楽器など、誰一人マイナーな扱いをされていないのです。 強いて言えば、ドラムスの Randy Cullers ですが、作曲には 4 曲に関与するなど存在感はけして薄くありません。

  しかし、そのような平等感がバンド運営にとって必ずしもいい結果となるわけではありません。 この Jubal も才能あふれるセッション・ミュージシャンの集合体だったのですが、メンバーにはうかがい知れないストレスがあったのでしょう。 たった 1 枚のレコードを残し、メンバー 5 人が同じスタジオに戻ることは無かったのです。 



■Jubal / Jubal■

Side-1
Lay Me Down (Linde)
Friendly Goodbye (Clayton/Galbraith)
Yesterday (I Threw My Life Away) (Cullers/Rush) -
Really Not A Rocker (Dearmore)
Morning Of My Life (Galbraith)
For Becky (Clayton/Galbraith)

Side-2
Talk To Me Tonight (Cullers/Rush)
To Rate To Be A Black Man (Galbraith)
Courage Of Your Convictions (Cullers/Rush)
Ridin' (Linde)
Castles In The Sand (Cullers/Rush)

Jubal ; Alan Rush , Randy Culler , Dennis Londe , Rob Galbraith , Terry Dearmore

Rob Galbraith: Organ, Guitar, Piano
Dennis Linde: Guitar, Guitar (Bass), Guitar (Electric), Vocals
Randy Cullers: Percussion, Drums, Tambourine
Terry Dearmore: Guitar, Vocals
Alan Rush: Guitar, Harmonica, Guitar (Bass), Guitar (Electric), Vocals
Jubal: Sound Effects, Vocals (background)

Special Thanks to
Farrell Morris : percussions
Gayle Whitfield : sax on ‘For Becky’ and ‘Courage of Your Convictions’
Wayne Moss for musical and technical assistance

Elektra EKS-75033

Rob Galbraith

2008-10-13 | SSW
■Rob Galbraith / Nashville Dirt■

  カナダ出身の SSW、Rob Galbraith が 1970 年に発表したファースト・ソロ・アルバム。 日焼けしたような色合いの地味なジャケットに、Nashville Dirt というタイトルから土埃のするスワンプなサウンドをイメージしますが、概ねその通りの内容となっています。 
  クレジットはないものの全曲を Rob Galbraith 自身が作曲し、ギター・ピアノ・ビブラフォンなど演奏家としてのマルチぶりもすでに発揮しています。 しかし、何と言っても Rob Galbraith の魅力はボーカルです。 彼のマイルドな声はそれだけで魅力的なのですが、歌の上手さはまた格別。 リズム感・歌いまわし・アドリブの効かせ方が同時代の SSW のなかでも特に秀でており、音楽の都ナッシュビルからいきなりメジャー・デビューするだけの実力を感じます。

  アルバムはほとんどが R&B やスワンプの典型的な曲が並んでいますが、何と言っても超のつく名曲「We’ve Come A Long Way」に尽きるでしょう。 名曲でもあり、名演でもあるこのバラードこそが、このアルバムの最大の聴きどころです。 極端に音数の少ないウッド・ベース・ドラムスそしてビブラフォンをバックにした Rob Galbraith の鳥肌もののボーカルに言葉もありません。 この瞬間、Rob Galbraith のもとの音楽の神が舞い降りたのではないかと思うほどの名演です。

  他の曲についても触れておきましょう。スワンプ色の薄い「Just An Everyday Guy」や「Overcompensation」あたりは、後年の Rob Galbraith の音楽を予感させるものがあります。 また、「Jezebel Of The Morning」、「Mr. Stanton Don’t Believe It」や「Mudflap Cadillac」といった曲は、いかにも南部録音という演奏が展開されます。 参加ミュージシャンの名前には、すぐに思い出せるようなビッグネームはいませんが、そこはナッシュビル、生半可なミュージシャンはいないということでしょう。

 Rob Galbraith はこのアルバムを発表した後、1972 年に Dennis Linde らと組んで Jubal というグループを結成し、Elektra からアルバムを 1 枚残しています。 その後しばらく音沙汰無かったようですが、1976 年にソロとしては 2 枚目となる「Throw Me A Bone」を RCA/Victor からリリースしています。 この「Throw Me A Bone」はクラブ系の DJ に取り上げられたらしく、人気盤となっています。

 今後、Rob Galbraith にまつわるアルバムを取り上げていきたいと思いますが、このファースト・ソロがもっとも玄人好みのする内容であることは間違いないでしょう。 発表された 1970 年の時点ですでに年期の入ったたたずまいを見せていたに違いないこのアルバムは、まるでそれを望んでいるかのようにビニールの中に閉じこもったままです。
 しかし、何度もこのアルバムを聴いているのに、今日になって表ジャケットにも犬が写ってることに気付くなんて! まだまだ発見があるかもしれない...そんな作品です。


  
■Rob Galbraith / Nashville Dirt■

Side-1
Jezebel Of The Morning
Just An Everyday Guy
Corner Of Spit And Whittle
Overcompensation
Mr. Stanton Don’t Believe It

Side-2
Mudflap Cadillac
I Remember Me
Billy Utah
We’ve Come A Long Way
Saturday Night
Willie Was A Honkie

Produced by Rob Galbraith and Tom Malone for HLI Productions
Engineering : Mike Figlio

Rob Galbraith : vocal, gut string guitar, piano and vibe
Wade Conklin : guitar
Tom Malone : 12-string electric guitar
Major Talton : electric bass
Arvin Scott : drums
James Burke : drums
Henry Stzetecki : acoustic bass
Mark Morris : conga
Ed Kollis : harmonica

Columbia Records CS 1057

Michael Behnan

2008-10-08 | SSW
■Michael Behnan / Sweet Cosima■

  カナダの SSW、Michael Behnan のファースト「Night Shift Life」は紹介済みですが、今日は彼のセカンドを取り上げて見ました。 レーベルは同じ Mad Dog Records ですが、プロデューサーは前作の Doug Howe から George Bertok(前作にもピアノ等で参加)に交代しています。 Doug Howe は前作ではギターで全面的に参加しており、この交代は大きな意味があるでしょう。 彼に代わってギターでサポートするのは、Martin Hepburn 。 ジャケットの裏には Michael Behnan とともに彼だけが写っていることも、新たなパートナーとしての存在感の重さを表しているようです。 

  プロデューサー、そしてレコーディング・スタジオも変えたことが、どのように反映されているかはわかりませんが、このアルバムは前作よりも内容が濃い作品になっています。 セカンドになって気持ちに余裕が生まれたのかもしれませんが、Martin Hepburn との相性、そして曲調と演奏がよりシンプルになったということが、その理由でしょう。 

  枯れた味わいの名曲「Killaloe」でアルバムは幕を開けますが、この曲で聴ける Martin Hepburn のギターは名脇役ぶりを遺憾なく発揮した名演。 この曲でいきなりノックアウトです。 ブルージーな「Hound Me ’Til I Die」、郷愁あふれる「Trains Never Stop」とスワンプ好きにはたまらない曲が続いた後は、軽いスィングの「Janitor Joe」で軽く一服。 つづく典型的な R&B「River Song」では、昼間からビールを飲んでいるようなルーズな気分にひたり、「Don’ t Call Us」ではさりげない淋しさに包まれます。

  B 面は落ち着いたバラード「Lunchbucket Blues」で始まります。 ここでは Al Kates のペダルと George Bertok の名演が聴かれますが、何よりも曲の良さが光ります。 ちょっと軽めのスパイス「Penny Arcade」に続くのは、アルバム屈指の名曲「Don’t Go」です。 世の中に SSW は星の数ほどはいませんが数多くいるとして、この枯山水のような境地に到達できる人は稀でしょう。 アップなカントリー・チューン「You Name It, I Saw It」を挟んで、タイトル曲の「Sweet Cosima」です。 甘いコジマ? なんてふざけている場合ではありませんが、Cosima は「コシマ」と発音するようで、どうやら人名のようですね。 この曲は比較的平凡な出来。 ラストの「Wake Me Up」は軽いタッチのナンバーながらも、ほのぼのした余韻を残します。

  こうしてアルバムを通して聴いてみると、前作の「Night Shift Life」をはるかに凌ぐ名盤だと印象を強く持ちました。 とりわけ「Killaloe」、「Lunchbucket Blues」、「Don’t Go」の 3 曲の素晴らしさには胸を打たれます。

  Michael Behnan の人生にもっと時間があれば、このような素晴らしい作品をもっと沢山残すことができたことでしょう。 しかし、残念なことに彼はこのアルバムを発表した 2 年後の 1982 年に癌でこの世を去ってしまいました。 彼のパートナーでこのアルバムのジャケットを手がけた画家の Lynda Lapeer もすでに他界しています。 
  このレコードから 28 年も経ちますが、Michael Behnan の音楽はアナログ盤にのみ刻み込まれ、デジタル化されないまま年月だけが過ぎ去っています。 すでに Michael や Lynda にとっては時の流れは存在しませんが、Michael Behnan の音楽に永遠の命を与えることができるかどうかは、われわれリスナーの手に委ねられているのかもしれません。



■Michael Behnan / Sweet Cosima■

Side-1
Killaloe
Hound Me ’Til I Die
Trains Never Stop
Janitor Joe
River Song
Don’ t Call Us

Side-2
Lunchbucket Blues
Penny Arcade
Don’t Go
You Name It, I Saw It
Sweet Cosima
Wake Me Up

Produced by George Bertok and Dee Long
Recorded at Carriage House , Scarborough
Engineered by Frank Watt and Dee Long
Cover Painting by Lynda Lapeer

All Songs by Michael Behnan except ‘Wake Me Up’ by Catfish Willie , ‘Trains Never Stop’ by Roy Payne

Michael Behnan : vocals, acoustic guitar
Martin Hepburn : acoustic lead & slide guitar
George Bertok : piano, mellotron
J.P. Hovercraft : bass, harmony vocals
Frank Watt : drums
Curtis Blue : fiddle
Roly Platt : harmonica
Cathy Ford : harmony vocal
Al Kates : pedal steel

Mad Dog Records MDR-1002

Phill McHugh

2008-10-02 | Christian Music
■Phill McHugh / Canvas For The Sun■

  秋の乾いた空気に似合いそうなアルバムということで、Pat Boone が主催するレーベル Lambs & Lion から発売された Phill McHugh のアルバムを取り上げてみました。 ジャケットのイラストだけで内容は想像できるのですが、実際その通りの優しさあふれるアルバムです。
  Phill McHugh はクリスチャン・ミュージックの世界で 5 枚くらいのアルバムを発表しているミュージシャン。 この「Canvas For The Sun」は 1977 年にリリースされたセカンド・アルバムです。 彼のレコードはこの 1 枚しか持っていませんが、予定調和な展開、角のとれた丸みのある演奏、温もりの伝わるボーカルといったクリスチャン・ミュージックの特徴はすべて満たしています。

  爽やかなウェストコースト・ロックの「Sing」、フォークロック調の「Happy With Me」といったミディアム・ナンバーもいいのですが、彼の持ち味はリズムを排除したバラードにあります。 ストリングスがそよ風のような「Canvas For The Sun」、映画のサントラのような優雅で上品な「End Of The Rope」、「Your Word」といった曲です。 そんななかでも最もお気に入りなのは「Better To Agree」。 この曲はまさにビター・スウィートという言葉がぴったりの曲で、メロウなサックスソロもあいまって AOR 風に仕上がっています。 やや残念なのがアルバム中もっとも商業的な匂いのする「Common Ground」です。 この曲は西海岸のB級ハードロックみたいでいただけません。
  アルバムはラストのワルツ「For The Searcher」でゆったりと幕を閉じるのですが、アルバム全体としてのクオリティは、繊細な演奏とアレンジ、そして何よりも Phill McHugh の優しいボーカルに支えられていると感じました。

  話を Lambs & Lion の主宰者 Pat Booneに戻しましょう。 個人的には Pat Boone は「砂に書いたラブレター」でしか知りません。 むしろ彼の娘の Debby Boone の大ヒット曲「恋するデビー」(You Light Up My Life)の方に思い入れがあります。 この曲は 1977 年に 10 週間連続 1 位を記録したモンスター・ヒットですが、僕はこの曲をリアルタイムで聴いていたからです。 シングル盤は買わなかったものの、10 代前半ながらもこういった仰々しいバラードを素直にいいと思っていたかと思うと自分はバラード指向なのかな、と思ったりして。
  この「Canvas For The Sun」はその「You Light Up My Life」と全く同じ年にリリースされていたことになりますが、当時は国内盤も発売されず、日本にわずかに輸入盤が入ってきた程度のようです。 そうしたことから、Phill McHugh は日本ではほとんど知られていませんが、良質な CCM として位置付けられるミュージシャンでしょう。 彼のファーストアルバムを聴いてみたいところです。

 最後に、Lambs & Lion の完全ディスコグラフィーが掲載されたサイトをみつけたので、ご紹介します。 これを見て Pat Boone や Boones の多作振りには驚かされました。



■Phill McHugh / Canvas For The Sun■

Side-1
Sing
Canvas For The Sun
Thank For The Answers
End Of The Rope
Jimmy’s Song

Side-2
Common Ground
Your Word
Happy With Me
Better To Agree
For The Searcher

Produced by Tri-Art Productions
Arranged by Greg Nelson
All songs written by Phill McHugh except ‘Jimmy’s Song’ by Jim Gloth

Phill McHugh : 12 strings guitar, guitar, , vocal , background vocal
Steve Hanna : drums, percussion, vibes
Greg Nelson : bass, synthesizer, wind chimes, piano, fender Rhodes, clavinet
Jeff Knudson : pedal steel
Dave Swenson : electric guitar
Randy Hammel : organ
Dan Posthuma : bass
Jim Gloth : electric guitar
Bill Gese : electric guitar
Linda Schmitt : flute
Rose Heaylett : background vocal
Jim Smith : background vocal

Lamb & Lion LL-1032