Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Denny Guy

2010-08-29 | SSW
■Denny Guy / Denny Guy■

  記録的に暑かった 8 月が終わろうとしています。 それでも、この猛暑日はしばらく続くという予報で、しかも 9 月 10 月の気温も高めに推移するだろうという見込みです。 本来ならば、秋の気配を感じるアルバムを取り上げたいところですが、まだそこまでの気分に移行できません。
  そんな 8 月の終わりに取り出したのは、Denny Guy の唯一のアルバム。 ネブラスカ出身の彼が 26 歳のときに発表したこのアルバムは、なぜかハワイのホノルル録音。 しかも、Cecilio & Kapono や Kalapana が結成されるより以前の 1972 年のアルバムということで、ハワイ産ポップスの歴史を紐解くにも重要な作品と位置付けられるでしょう。 内容的には、放浪の末にたどり着いた Denny Guy の未成熟さを感じる作品ですが、それが甘酸っぱくも感じられるアルバムとなっています。

  アルバムは全 11 曲。 裏ジャケットの曲順と実際のそれは全く異なっており、正確に把握して聴きたいならば、レーベル面を事前に書き写す必要があります。 まあ、そこまでする必要はない作品ですが、ここでは正確な曲順を記載しておきました。
  さて、肝心の内容はというと、さきほど甘酸っぱいと形容しましたが、その酸味は個々の楽曲から感じるものではなく、アルバム全体の未完成度から来るものです。 ひとつひとつの曲は当時の環境としては丁寧に作られレコーディングされているのですが、ほとんどの曲が3分に満たないところで中途半端にフェードアウトしてしまいます。 そこには時代背景が影響しているのでしょうが、これではせっかくの楽曲も台無しです。 参加ミュージシャンも Denny Guy の兄弟である Thomas Guy、そして、Randall と Emperador の Aton 兄弟という身内と思われるメンバーで構成されており、ほとんど自主制作に近い作品に思えます。 ところが、この Day Break Records の作品には、Larry Groce のような SSW もありますが、Frank Sinatra のような超大物も含まれており、むしろそのあたりの編成がどのように行われていたのかに興味が向いてしまいます。
  
  あまり楽曲について触れていませんでしたので、簡単にコメントしておきましょう。 個人的に最も好きなのは、「Lovely Lady」です。 Cowboy Junkies の名曲「If You Wer e The Woman, I Was The Man」と酷似していて驚かされました。 次いでは、Steve Eatonのような優しさをたたえる「Marching Song」です。 ここで聴かれる淡いギターソロは甘くメロウな仕上がりです。 ほかにも牧歌的なワルツ「The Mill」、「The Trouble Maker」、べースがずしりと響くミディアム「Little Old Man」などがお薦めです。
  
  誰もが予想したとおりに、Denny Guy はこのアルバムの次の作品を発表することなく、音楽シーンから消えていきます。 ビジネスとして成立しなかったことは容易に想像できますが、どうしてこの作品が世に出されることになったのでしょうか。 それはおそらくクレジットにもある Exective Producer の Sonny Burke の資金的な後押しがあったからとしか思えませんが、それが Denny Guyの人生に何をもたらしたかについては、誰にもわかりません。

■Denny Guy / Denny Guy■

Side 1
Say You’ll Be With Me
Lovely Lady
The Cane Man
Marching Song
The Trouble Maker

Side 2
The Mill
Hypersensitive Jester
Little Old Man
Reflections Of A Small Town
My Lai Lad
Country Ballad

Producer : Charles ‘Bud’ Dant
Exective Producer : Sonny Burke
All selections composed by Dennu Guy except ‘The Trouble Maker’ by Bruce Belland and David Troy Sommerville and ‘The Cane Man’ by Denny Guy and his brother Thomas Guy
Recorded a Sounds of Hawaii Studio, Honolulu

Randall Aton : bass
John Milliken : drums
James Jeffers : guitar
Thomas Guy : guitar
Emperador Aton : drums

Daybreak Records DR2008



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