昨夜はドイツ首相候補のTV対決を見ていました。ビデオはこちら。
個人的には「引き分け」だったように思うのですが、TV対決終了後に行われた世論調査研究所 Infratest Dimap の調査によると、メルケルの方が優位だったようです。どちらが説得力があったかという質問に対して、メルケルと答えたのは55%、シュルツと答えたのは35%でした。まだ投票先を決めていない人たちの中では48%がメルケルの方に説得力があると答え、シュルツと答えたのは36%でした。
ツァイトオンラインの記事でも指摘されていますが、司会が外交や難民政策の議題にかなり時間を割いたので、現職のメルケル首相が12年の経験を踏まえてしっかりとバランスよく政策をプレゼンできたのに対して、シュルツは大まかな路線でメルケルに賛同するしかなく、唯一トルコについてだけ独自路線を打ち出すことができただけなので、不利な印象を残したようです。
個々のポイントでの評価は以下の通りです。
攻撃的: メルケル 5%、シュルツ 87%
弁論: メルケル 44%、シュルツ 38%
能力: メルケル 64%、シュルツ 20%
信頼性: メルケル 49%、シュルツ 29%
好感度: メルケル 49%、シュルツ 31%
市民視点: メルケル 24%、シュルツ 55%
シュルツは、CDU議員や連立パートナーとなると目されているFDPが70歳からの年金給付開始を提唱していることに言及し、メルケルを窮地に追いやることができました。メルケルは「私が首相でいる間は70歳からの年金給付開始はあり得ない」と強調しましたが、すぐさま、彼女が以前同じように「自動車高速道路料金はあり得ない」と言っていたにもかかわらず、結局EUの承認を得て実現したことを指摘されて、少したじたじとなっていました。
他のメルケルのウイークポイントは、ディーゼルスキャンダルに関してのディーゼル車購入者に対する補償問題と外交問題ではトルコと難民問題ですが、シュルツはこれらの点を逃さずにうまく切り込んでいました。
ただ残念ながら、ここぞという時にシュルツはどもったり、口ごもったりして、自信がないような印象を与えてしまっていました。それに対してメルケルは窮地に立たされても冷静に対応し、安定した弁論を展開していたので、やはりどちらかと言えばメルケルに軍配が上がったと言えるでしょう。
参照記事:
Statista, 04.09.2017, "Merkel entscheidet TV-Duell für sich"
Zeit Online, 04.09.2017, "Merkel gegen Schulz: er stockt, sie verteidigt sich"