徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:鈴木 亜英 ・山田 敬男編著、『共謀罪vs国民の自由 監視社会と暴走する権力』(学習の友ブックレット)

2017年09月07日 | 書評ー歴史・政治・経済・社会・宗教

今年6月15日に強行採決されてしまった「テロ等準備罪」の皮を被った「共謀罪」。論理的な審議、当然されるべき説明を抜きにして、ただ「審議時間が何時間か過ぎたから」という考えられない理由で、採決に至った民主制議会主義社会にあるまじき暴挙で成立してしまった共謀罪法案の怖さをもう少し詳しく勉強しようと取ってみたのが本書『共謀罪vs国民の自由 監視社会と暴走する権力』(学習の友ブックレット)です。目次を含めてわずか79ページのブックレットに900円(税別)は割高な感じがしますが、執筆者が多岐に亘り、様々な共謀罪の問題点へのアプローチを知ることができる良質の入門書だと思います。

目次は以下の通り:

はじめに 山田敬男(現代史研究者・労働者教育協会会長)

第1章 「共謀罪」法案とは何か、なぜ危険か ー 反対運動にレッテルを貼って「一般人」から切り離す 三澤麻衣子(弁護士・自由法曹団治安警察問題委員長)

第2章 共謀罪と安倍流の「新しい国」づくり ー その反憲法的本質 小沢隆一(憲法学者・東京慈恵会医科大学教授)

第3章 治安維持法と共謀罪 ー 内心の自由を奪い、戦争へ 山田敬男(現代史研究者・労働者教育協会会長)

第4章 「テロとの戦い」でアメリカの人権はどうなったのか 鈴木亜英(弁護士・日本国民救援会会長)

第5章 労働運動と共謀罪 小田川義和(全国労働組合総連合議長)

第6章 過去3回廃案に追い込んだ共謀罪反対のたたかい 鈴木猛(日本国民救援会事務局長)

第7章 思想・信条の自由と憲法を生かした社会を目指して 杉井静子(弁護士・全国革新懇代表世話人、労働者教育協会副会長

共謀罪法案が成立してしまった今となってはこういう本を読むこと自体も「反体制」的思想の持ち主として公安の監視対象にされたり、民主的かつ平和的な反対運動のための行動を相談しただけで、瞬く間に「一般人」ではなくなり、共謀罪法違反で逮捕される可能性も出てきました。自由主義的民主主義社会にあってはならない弾圧です。

共謀罪法は、中身を精査すればテロ対策とはほとんど無関係であるのが明らかなのに、政府は「テロ対策」と国民に嘘をつき、また、国際組織犯罪防止条約を批准するためにテロ対策法が必要とウソを重ねました。そんな安倍政権は問題外ですが、それを追求しないマスゴミも、それに無関心のまま許してしまっているあるいは「仕方ない」と何も行動しないことで許してしまっている国民一人一人の責任も重大ではないでしょうか?

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


Musica Saeculorum ケルン公演・チェンバロとホルン

2017年09月07日 | 日記

 

昨夜は久しぶりクラシックコンサートに行って参りました。月曜日にケルン・チケットのメルマガが来て、チケット2枚が1枚分の値段で買えるというので、体調も安定していることもあり、誘惑に抗うことなく速攻でチケット購入してしまいました。席は前から10列目の舞台中央の正面。それがたったの52€(二人分)なんて信じられない価格です。もちろん、有名どころでないからこその値段なわけですが、水曜日の夜ということもあって客席は半分も埋まってなかったと思います。

でもコンサート自体はとても良かったです。ウイーン・クラシックを堪能できました。

プログラムは以下の通りです。

Musica Saeculorum & Philipp von Steinaecker ムジカ・ゼクロールム&フィリップ・フォン・シュタインエッカー

Wolfgang Amadeus Mozart 1756 - 1791 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
Sinfonie C-Dur KV 338 (1780) シンフォニー、ハ長調(KV 338)
Allgro vivace アレグロ・ヴィヴァーチェ
Andante di molto più tosto Allegretto アンダンテ・ディ・モルト・ピウ・トスト・アレグレット
Allegro vivace アレグロ・ヴィヴァーチェ

Joseph Haydn 1732 - 1809 ヨゼフ・ハイドン
Konzert für Cembalo und Orchester D-Dur Hob. XVIII:11 (vor 1784) チェンバロとオーケストラのためのコンサート、ハ長調
Vivace ヴィヴァーチェ
Un poco Adagio ウン・ポコ・アダージョ
Rondo all'Ungarese. Allegro assai ロンド・アル・ウンガレーゼ。アレグロ・アッサイ

Cembalist: Mahan Esfahani チェンバロ奏者:マハン・エスファハニ

Pause 休憩

Wolfgang Amadeus Mozart ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
Konzert für Horn und Orchester Es-Dur KV 417 (1783) ホルンとオーケストラのためのコンサート
Allegro アレグロ
Andante アンダンテ
Rondo. Allegro ロンド。アレグロ

Hornist: Alec Frank-emmill ホルン奏者:アレク・フランク=ジェミル

Wolfgang Amadeus Mozart ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
Sinfonie D-Dur KV 504 (1786) "Prager Sinfonie" シンフォニー、ハ長調(KV 504)「プラハ・シンフォニー」
Adagio - Allegro アダージョ~アレグロ
Andante アンダンテ
Presto プレスト

ムジカ・ゼクロールムというオーケストラは2008年に創設され、以来ずっとフィリップ・フォン・シュタインエッカーの指揮下で活躍しているようです。ケルン公演は2013年3月が初めてで、今回は2度目の出演。

チェンバロ奏者・マハン・エスファハニはイラン出身。主にイギリスで音楽教育を受け、2008年から2010年まで BBC の「ニュージェネレーション・アーチスト」で、2009年にロンドンデビュー。よくは知りませんが、世界中で活躍しているようです。素晴らしく軽やかで味わい深いチェンバロを聞かせてもらいました。アンコールで、ジャン・フィリップ・ラモー(Jean-Philippe Rameau、1683-1764)のガヴォット・6つの変奏曲(バリエーション)を弾いてくれました。チェンバロの音はピアノに比べると小さくて通りが悪いのですが、温かみがあって、私は好きです。

ホルン奏者・アレク・フランク=ジェミルも主にイギリスで音楽教育を受け、2013年にデビューした若手で、2014年から2016年まで BBC の「ニュージェネレーション・アーチスト」でした。現在は Scottish Chamber Orchestra の第一ホルン奏者。
私はナチュラルホルンの演奏を間近で見るのは初めてで、つくづく不思議な楽器だなと思いました。押すところも引くところもなくて(もちろん、フレンチホルンのようにバルブ操作をするタイプもありますけど)、唇とストップ奏法と呼ばれるベルの中の右手の位置を変えるだけであれだけ色彩豊かな音を出しているのですから、私から見ると本当に奇跡みたいです。私は吹奏楽器が苦手で、トランペットもクラリネットも音一つ出せたためしがありません ( ´∀` )

ハイドンのチェンバロコンサートも素晴らしかったですが、モーツアルトのホルンコンサートは副題に「ロバ、雄牛、道化のために」とあることから分かるようにお祭りのように楽しい感じで、とても元気が出ました。

最後を締めくくったシンフォニーはそれに比べて少々堅苦しい感じで、いかにもフォーマルなクラシック音楽という印象を受けました。悪くはないですが、私の今の気分にはあまり合わないということでしょうか。