今日はぽっかり予定が空いたので、朝からキッチンで料理しながら交響曲3番「ワーグナー」を大音量で聴く。雨続きの今年にしては珍しく気持ちのいい秋晴れ、さんさんと陽がさして暖かく、テラスでおいしいお酒でも飲みたい気分である。
前にちょうどピアノを始めたころ、音楽にとても詳しい人が選んだコンサートに連れていってもらい、クラシックの体系というか大きな枠組みみたいなものをぼんやりとではあるが最初に理解できたのが良かったのだろう。以来ずっと、こよなく愛する作曲家やピアニストの曲を、何度でも繰り返して覚えてしまうくらい聴いて、飽きないどころかますます好きになっている。そして自分でも意外なことに、最近電撃的にブルックナーにハマってしまった。
ショパンみたいに華麗でもなく、ベートーヴェンみたいに心が震える美しい旋律でもなく、自分の好きな系統とまったく違うのに!構成が茫洋と分かりにくい、何を表現したかったのかつかみにくい、はっきり言って壮大に変わっている。この3番にしてからがなぜ「ワーグナー」・・??と思うのだけれど、続くフレーズの繰り返しがとても美しく、主題をおっていると不思議にうっとりしてもっとずっとこのまま聴いていたいという気持ちにさせられる。
こうなると返す返すも残念なのが、昨冬バレンボイムが来日した時に、なぜ全曲聴きに行かなかったのかということ。私が聴いたのは7番のみで、それも曲というより帝王の名にふさわしい指揮についつい目がいってしまい、今思うと大後悔である。そこでAmazonでCDをあさって大人買いしていると、この素敵なタイトルの小説が。早速読んでみて、ブルックナーオタク、通称ブルオタの男子3名と主人公が出会う冒頭のサントリーホールのシーンから爆笑。自然な語り口から著者は完全にアラサー女性と思ったが違いました。面白さとほろ苦さとのバランスがうますぎる。