WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『三国志(6)』(著者:宮城谷 昌光)

2011-02-20 16:43:32 | 本と雑誌
三国志〈第6巻〉 (文春文庫) 三国志〈第6巻〉 (文春文庫)
価格:¥ 630(税込)
発売日:2010-10-08

映画「レッドクリフ」では、劉備は仁将としてクローズアップされ、孫権は気弱に思い悩む性質、曹操は美女に目のくらむ敵役、という感じに強弱つけて描かれているが、同じ赤壁の戦いの巻、孫権は器量が大きく智仁ともに優れ、曹操は何事にも細やかに人の心と経験を大事にする、二大君主。映画との違いもおもしろいが、宮城谷氏の文章の巧みさ、三国志のような誰もが知っているストーリーではかえって平凡になりがちなところを、人間、何が大事かという一貫した視点にキラリ光る挿話をはさみ、また次が読みたくなる。


学校もメディアもないこの時代は、歴史や兵法について古人の書いた本を読む読書が、唯一の学問。曹操も孫権も、政治や戦のうまい運び方にかかわると知っているだけに、平時はもちろん戦場においてまで本を持ち込み、欠かさない。本を読まない人はバッサリ「あいつは無学だ」といわれてしまう(笑)そんな孫権が、配下の勉強嫌いな勇将2人に読書を強く薦めるくだりが、たしかにと思われて良い。


孟子の名言に、「成せないのは能力が足りないからではなく、成す気持ちがないからだ」というのがあるが、いいことも悪いことも、経験すること、特につらい経験において気づくこと、気づきを次の経験に活かすという強い意思、この3つがあれば、どんな人でも大事を成せる。経験には限界があるが、読書には限りがない。

この記事についてブログを書く
« 『三国志(5)』(著者:宮... | トップ | 『断腸亭日乗(上)』(著者... »

本と雑誌」カテゴリの最新記事