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斎藤美奈子さんのコラム・その64&前川喜平さんのコラム・その25

2020-08-05 05:29:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず7月29日に掲載された「おっさんだらけ」と題された、斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「202030。ニイマルニイマルサンマルと読む。2020年までに社会のあらゆる分野で指導的地位の女性比率を30%にするという、03年の小泉政権下で掲げられた国の目標である。
 それがこのたび頓挫して、「2030年までのできるだけ早期」に先送りされた。こうやってあと十年、あと十年と延期し続ける気だろうか。
 50%どころか30%の管理職すらいない職場が絵的にどう見えるか。端的においえばそれは「おっさんだらけ」である。
 最近のテレビドラマを考えてみよう。「半沢直樹」はどうですか。東京セントラル証券も東京中央銀行もおっさんだらけですよね。「ハケンの品格」はどうでしょう。主人公はじめ三人の女性は派遣社員。S&Fなる食品会社は社長も部長も課長もおっさんだ。「半沢直樹」は七年ぶり、「ハケンの品格」は十三年ぶりの新作なのに前と何も変わっていない。
 企業ドラマも警察ドラマもおっさんだらけで、女性の登場人物は職場のアイドル的な若手社員と内助の功を発揮する妻と小料理屋の女将(おかみ)だけ。それが日本のドラマの伝統で、理由はおそらくテレビ局の上部もおっさんだらけだからだろう。
 おっさんだらけの景色を変だと感じるセンスが育たない限り、現状は変わらない。あらゆる場面で、いやみったらしく女性の数を教えてやる!」

また、8月5日に掲載された「コロナ下の装い」と題された斎藤さんのコラム。
「そういえば、最近服を買ってないな、と思いません? そんな中、ファッション誌が健闘している。自粛期間中は取材も撮影もできず、二号分を一冊にした合併号を出さざるをえなかった各誌。発売中の9月号は「なるほど、そう来るか」なファッションが満載だ。
 「座っても美シルエットな、ショート丈&華ありジャケットが重宝」、「シャツ&ブラウスは、存在感がきわだつ鮮やか色か、レフ板効果のホワイトで」(「エクラ」9月号)。さあ、これは何でしょう。そうです、リモート会議用のファッションです。リモート映えする服とメイクはもはや定番企画で、端末やライトの位置にも注意をうながす芸の細かさだ。
 マスクと服のコーディネートも登場した。「肌色がトーンUPして、ハッピー感を纏(まと)える『ペールカラーマスク』コーデを発見!」、「敬遠していた『黒マスク』だけど、シンプルなモノトーンコーデの格が上がる!」(ストーリィ)9月号)。こういうのが可能になったのはメーカーが多様なマスクを発売しはじめたからでもある。価格はだいたい千円~三千円。
 バッキバキにキメたファッションは全体に鳴りをひそめ、オンとオフの中間を行く「アラウンドホーム」なスタイルが各誌とも目立つ。「何があって私たちはおしゃれをやめません」な姿勢に感服。こーでなくっちゃね。」

そして8月2日に掲載された「三権分立の説明図」と題された前川さんのコラム。
「7月27日の本紙に、首相官邸がホームページに掲載した三権分立の説明図に関する記事があった。「内閣」から「国民」に向けた矢印に「行政」とあったのを、ラサール石井さんが「矢印が逆」と批判。国会でも取り上げられ、政府は矢印を逆向きにして「世論」と書く形に改めたという。
 「世論」に加えて書き加えるべきなのは「内閣」から「国民」に向けた「説明責任」という矢印だ。内閣が何をしているのか、その根拠は何なのか、それを情報の公開とともに説明する責任。国政は国民の厳粛な信託によるもの(憲法前文)である以上、当然に果たさなければならない責任だ。モリ・カケ・桜は言うに及ばず、Gotoトラベルの是非、新たな休業要請と損失補償など、安倍首相の口から説明してほしいことは山ほどある。閉会中審査にも出席せず、記者会見も開かない安倍首相は、憲法が求める説明責任を果たしているとは到底言えない。
 野党四党と無所属議員有志は憲法53条に基づく臨時国会召集の要求を行った。件(くだん)の三権分立図では、「内閣」から「国会」に向けた矢印に「国会の召集」と書いてあるが、むしろ逆向きの矢印に「臨時国会の召集の要求」と書くべきだ。安倍首相が今回もこの要求を無視するなら、もはやこの内閣の存在自体が違憲だというべきだろう。」

 どれも一読に値する文章だと思いました。

 →サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto