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黒沢清監督『ドッペルゲンガー』

2011-02-02 07:18:00 | ノンジャンル
 黒沢清監督・共同脚本の'02年作品『ドッペルゲンガー』を、スカパーの日本映画専門チャンネルで再見しました。
 ユカ(永作博美)は弟が自殺したという連絡を受けますが、それ以降も自宅でパソコンを使って小説を書く弟を見続けます。医療器具メーカーで人工身体を開発する早崎(役所広司)は、自分の分身に付きまとわれるようになり、やがて開発が思うように進まずにイラつく早崎が寝ている間に、分身は「任せとけ」と言って、開発室に破壊の限りを尽くします。早崎はクビとなり、同僚から話を聞いていたユカと会うと、ユカは「慣れるしかない」と助言します。早崎の分身は職場から完成した人工身体を盗み出す一方、寝ているユカに「全部任せろ」と言うと、彼女の弟の頭を金槌で連打して殺し、砂浜に埋めます。ライバル社の情報収集を早崎から依頼された分身は、新たな助手として霧島(ユースケ・サンタマリア)を雇い、ユカを押し倒そうとしますが、早崎に止められ、殴られます。ライバル社に人工身体の完成品を売り込むことに成功した分身は、金と女は自分がもらうと言いますが、早崎は承知しません。霧島はレンチで分身を殴り倒し、早崎はとどめを刺します。死体処理をした後、ユカは早崎に「気にするな」と言います。3人で人工身体を新潟のライバル社のところまでトラックで運ぼうとしますが、無人の野原の真ん中でエンストしてしまいます。早崎と霧島が水を汲みに行くと、早崎は霧島を川へ突き落とし、ユカと二人で出発します。その夜、2人が寝ているところに霧島が現れ、二人を襲い、トラックを奪って一人新潟へ向かいます。それに追いついた早崎とユカは、山中の廃墟ビルで霧島を再びやっつけた後、無事ライバル社へ人工身体を引き渡すところまで来ますが、最後になって心変わりした早崎はライバル社の重役を殴り倒し、トラックで去ります。そして最後に海に向かって人工身体と、データの入ったパソコンを捨て去るのでした。
 分割画面は明らかに、黒沢監督が敬愛するフライシャー監督の『絞殺魔』をマネたものであり、画面も終始暗く、陰気な映画でした。私に限って言うと、登場人物にリアリティが感じられず、ラストシーンを見てもポカーンといった感じでした。頭の悪い私には難解すぎる映画だったと思います。少なくとも、蓮實重彦先生は絶賛している映画です。