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ニコルソン・ベイカー『ノリーのおわらない物語』

2011-02-21 00:04:00 | ノンジャンル
 朝日新聞の特集記事「読んで感じる時代の声」の中で朝倉かすみさんが紹介していた、ニコルソン・ベイカーの'98年作品『ノリーのおわらない物語』を読みました。
 ノリーは、アメリカからイギリスの町へ、両親と2才の弟「チビすけ」とともに、最近引越して来た9才の女の子。町には大聖堂があり、その柱を死番虫が食べ、ノリーは学校の食堂でトレイを落として同学年の子たちとはぐれて迷子になりそうになり、週末の外出の車の中ではお伽話の作りっこをやり、白鳥に餌をやろうとして怖い思いをし、こわい夢を度々見て、顔に鳥のフンを落とされ、クラスメートと家族と一緒に田舎の邸宅を訪ね、いじめられているクラスメートの友達になってあげ、そのことで先生から優秀賞をもらいます。また、ノリーはお話を自分で作るのが好きで、贅沢な扇子を贈られた小さな子の話や、火事で両親を失い、弟しかいなくなった少女の話、女の子がドラゴンと戦う話などを作ります。
 9才の女の子の三人称で書かれた本で、その年頃の子ども特有の言い間違いや考え方が横溢していて楽しめました。いじめの話が暗い影を投げかけていますが、ラストで主人公が優秀賞をもらい、いじめられている子とも心の交流が始まる場面では、つい微笑んでしまう、そんな見事なラストシーンだったと思います。「だれかとケンカをしたり、ひどいことを言われて傷ついたりしたあとで、その人がごめんねとあやまってくれたときの、ぱあっと心が晴れる感じが、ノリーは大好きだった」という文章にも、この本の気持ちよさが表れているように思いますし、英米の小学生は火事で服に火がついた時、「とまる、ねる、ころがる!!」と教わっていることや、演劇の授業でいろんな死に方の練習をするといったことも面白いと思いました。子供が書いた大人向けという希有な小説です。子供好きな方には特にオススメです。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)