朝日新聞のノンフィクション特集で紹介されていた、デクスター・フィルキンスの'08年作品『そして戦争は終わらない 「テロとの戦い」の現場から』を読みました。'98年9月のアフガニスタンのカブールと、'03年3月以降のイラクでの戦場ドキュメンタリーです。
アフガニスタンのカブールでは、サッカースタジアムでのタリバンによる公開処刑(スリの男の腕を切り落とし、殺人罪の男を被害者の家族が射殺する)の様子、それを唯一の娯楽だという市民の声、死と隣り合わせの日常、音楽や人物写真を禁止するタリバンの政策、将軍たちによる分割統治の時代への恐怖、そして9・11のルポが語られます。'03年3月以降のイラクでは、殺人と拷問とサディズムに支配されたフセイン下の様子、その中で正しい心や優しい気持ちを持って立ち上がった人々が殺されていく様子、米軍による解放直後の略奪が横行するバグダット、社会事業をしても占領軍ということで米軍を憎む人々、崩壊する病院、スンニ派の反乱、ファルージャでの死闘、武装勢力による米軍へのテロ、亡命政治家の策士への同行記、誘拐の頻発、スンニ派・シーア派同士の民族浄化などが語られます。
9・11の時の様子が中東の日常と同じであるという指摘や、ファルージャでの米軍が民家に押し入ってトイレを糞便で溢れさせながら進軍していたという事実は、なるほどと思いました。また、意識的に一人一人の固有名詞を挙げることにより、事実の一般化を敢えて避けているのにも好意が持てました。残虐な場面が頻出しますが、それに耐えられる方には近代戦争の悲惨さを知るのに最適な本です。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)
アフガニスタンのカブールでは、サッカースタジアムでのタリバンによる公開処刑(スリの男の腕を切り落とし、殺人罪の男を被害者の家族が射殺する)の様子、それを唯一の娯楽だという市民の声、死と隣り合わせの日常、音楽や人物写真を禁止するタリバンの政策、将軍たちによる分割統治の時代への恐怖、そして9・11のルポが語られます。'03年3月以降のイラクでは、殺人と拷問とサディズムに支配されたフセイン下の様子、その中で正しい心や優しい気持ちを持って立ち上がった人々が殺されていく様子、米軍による解放直後の略奪が横行するバグダット、社会事業をしても占領軍ということで米軍を憎む人々、崩壊する病院、スンニ派の反乱、ファルージャでの死闘、武装勢力による米軍へのテロ、亡命政治家の策士への同行記、誘拐の頻発、スンニ派・シーア派同士の民族浄化などが語られます。
9・11の時の様子が中東の日常と同じであるという指摘や、ファルージャでの米軍が民家に押し入ってトイレを糞便で溢れさせながら進軍していたという事実は、なるほどと思いました。また、意識的に一人一人の固有名詞を挙げることにより、事実の一般化を敢えて避けているのにも好意が持てました。残虐な場面が頻出しますが、それに耐えられる方には近代戦争の悲惨さを知るのに最適な本です。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)