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山田詠美『色彩の息子』

2006-08-10 17:41:05 | ノンジャンル
 今日の山田詠美作品は「色彩の息子」です。12編の短編集なのですが、この本が変っているのは、それぞれの短編をシンボライズする色が決められていて、実際にその色だけが印刷されてるページが短編ごとにある、ということです。例えば「陽ざしの刺青」という、婚約者がいる男に愛されてしまった女の物語は金色、「声の血」という、大学の受験生が、母が亡くなった後に父が結婚した女と肉体関係を結んでしまうという話は赤、「顔色の悪い魚」という、早く目が覚めてしまって寂しいため、他人に電話をかけまくり、そのうち自分が魚になったような気になる女の話は水色、「高貴なしみ」という、親友の美しい婚約者を犯して彼女に紫のあざをつける男の話はうす紫、‥‥といった感じです。
 それぞれの短編には相互関係は無く、独立していて、色を始めに決めて、そのあとに小説を書いて行ったのではないか、と想像します。読んでいてこれは何色かな、と考える楽しみも味わえるのではないでしょうか?
ちょっと面白い小説でした。