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瀬尾まいこ『温室デイズ』

2006-08-12 16:52:54 | ノンジャンル
 今日は山田詠美さんの作品の紹介は一休みして、瀬尾まいこさんの新刊「温室デイズ」です。
 「図書館の神様」「幸福な食卓」「優しい音楽」と、善人しか登場しない世界にもかかわらず、様々な出来事が起きる、そんな話を書いてきた瀬尾さんの新刊は、なんと悪意に満ちた世界が舞台です。テーマはイジメ。正義感が強い、ただそれだけの理由で、手酷いイジメに会う二人の少女。一人はひたすら耐えて、普通の学校生活がまた送れるようになることを願い、一人は転校や相談室(他の学級から隔離された自由スペース)などにさっさと逃げ込みます。イジメの手法が陰湿で、読んでてつらかったですが、あっと驚くラストの大逆転にカタルシスを感じる本でした。
 今まで瀬尾さんが描いてきた世界と正反対ともいえる悪意ある世界に当初はびっくりしましたが、読みやすい文体は今までと変らず、どんどん読み進められました。イジメに関心のある方、イジメをしたことのある方、イジメられた経験をもつ方、あるいは面白い本を読みたい方、これらすべての方にオススメです。なお、詳しいあらすじなどを「Favorite Novels」の「瀬尾まいこ」のところに掲載しました。興味のある方、ぜひご覧ください。