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山田詠美『24・7』

2006-08-18 16:30:00 | ノンジャンル
 今日の山田詠美作品は「24・7」です。9編の短編からなる短編集で、ご本人のあとがきと光野桃氏の解説がついています。
 さまざまな恋の話が書かれているのですが、著者があとがきで曰くには、恋というのは大人だけに許される不慮の事故であって、「この短編集では、私は、そんな大人の不慮の事故を集めてみた。すると、それらは、あらゆるところで起こった。南の島であり、砂漠であり、酒場であり、密室の中であり、なんと、さまざまな場所で、大人の心は事故を起こすものかと、書いている私も興味深く感じた程だった。」とのことです。
 また、こうも書いています。「何故、私が『大人』ということにこだわるかと言えば、恋を載せる程の皮膚の繊細さは、宝石のように時間をかけて磨かれるものだと思うからである。恋において、叙情は、常に体と外気のはざまで生まれてくるのだ。指先に宿る神経、涙を張らせる瞳、声を吸い込む耳など。それらは磨かれなくてはならない。大人の恋の中枢は、まさに抹消の奴隷なのである。」
 そんな大人の恋を味わってみたい、あるいはその記憶に浸ってみたい人には、オススメの本です。「チューイングガム」以降、様々な新しい試みをしてきた詠美さんですが、やはり恋の話からは離れられないようですね。