昨日の続きです。
こうして光子が働くようになり、なぜか定食屋は大繁盛し始めました。光子はお客の人生相談をひたすら聞き、ただ励ましていました。粋がモットーの光子は、勝手に困っているお客には奢りで食べさせました。「全員奢りで!」「おお~!」陽一と次郎はただ呆然とするしかありませんでした。ただ、そんな光子を頼りにして、時代に取り残され落ちぶれたお客たちが、今度は長屋に入り始めました。「子供のため子供のためって、大人が粋じゃなかったら、子供だってそんな世の中に生まれてきたいって思うわけないでしょ。大人がしっかりしなきゃ」身重の体をおし、光子は不調に堪えながらも、空き部屋を掃除しました。
そんな光子を心配し、結婚して子供の面倒をみたいと思っていた陽一は、この機にプロポーズしようとしました。「ダメだ!とにかく昼寝しよう。あんた、今、キスしようとしたでしょ。人間ってのはね。キスする前にやるべきことがあるでしょ。もっと分別の意識を持たないと」。陽一は軽くあしらわれてしまいました。そんな陽一の気がかりは叔父・次郎のことでした。陽一を引き取り、自分のことは後回しに男手一つで育て上げてきた叔父に、陽一はこれ以上ない恩義を感じていました。「俺だけが結婚するわけにはいかない…」「でもあんたは結婚したいんでしょ。OK」何を思ったか、光子はむくっと起き上がり、次郎の結婚相手を探しに行こうとしました。
その頃、喫茶店のママが店を畳み、病の床についている母が住む実家に帰る日が近づいていました。陽一の叔父・次郎はずっとママに想いを抱き続けていました。そんな想いを察して、ママはずっと待っているのですが、昔気質の次郎は清の世話を最後まですると言って、プロポーズをしてくれませんでした。「おいちゃんも粋じゃないねえ!」。光子はそんな次郎に苛立ちを隠せないでいました。
光子は陽一と共に喫茶店のママに会い行きました。次郎とママの未だ進展のない関係を聞いた光子は突然、ママの実家へ帰ろうと言い始めました。「お母さんが粋じゃないと、この子も産まれてきたいって思わないもんね。OK。レッツゴー」光子は、必死で辞めさせようとする陽一やママを強引に連れ、急遽、車で出発しました。途中、陣痛が光子を襲います。「病院に行って」「そんなの粋じゃない。たいていのことは大丈夫」光子はさらにアクセルを踏みました。
その頃、経営不振でパチンコ屋を畳んだ光子の両親が、長屋へ戻って来ました。そこへ、光子たちがママを連れて現れました。光子「おじちゃん!行くよ!」光子の父「なんでお前がここにいるんだ?アメリカじゃなかったのか?」光子の母「あんた、妊娠してるんじゃないの?」光子「粋じゃない。風に聞いてごらん。おじちゃん、ここに残って後悔していいの?」次郎「俺はここで…」ママ「すぐに病院に…」光子「おばちゃん、立って。おばちゃんが元気になれば」清「あたしゃ、立てねえんだよ」陽一「わかった!俺がママさんと結婚する!」ママ「あ~?バカ!光子ちゃんはどうなんの!」光子「ママさんと…あたしの気持ちまでかき乱して」光子の父「光子!どういうことだ!もしかして、この子…こいつの子か!」次郎「俺の大切な甥っ子に、こいつとはなんだ!俺は絶対結婚しないぞ」それぞれ言いたい事を言い出し、大混乱になりました。「わかった。一旦、昼寝しよう」光子は叫び、昼寝を始めました。みんなも促され、横になりました。
その時、突如、大爆発が起きました。東京大空襲時の不発弾が爆発したのでした。あまりの驚愕で、歩けなかった清が立ち上がりました。「風向き変わった~!」みんなを連れて、光子はママの実家へと車を走らせました。
一行はママの実家に到着しました。次郎はついに決意し、ママにプロポーズしました。しかし、ママは直ぐに返事をくれませんでした。落ち込む次郎の視界に、外で苦しむ光子の姿が飛び込んで来ました。外の空気を吸うと言って出た光子が、産気づいたのでした。光子の両親とママしか出産経験はありませんでした。大慌ての中、次郎はママに返事を求めました。「遅いんだよ!プロポーズが!OKに決まってるでしょ!このバカたれが!」次郎はホッと胸をなでおろしました。
苦しみながら光子は、外でこのまま出産するつもりでいました。陽一「俺に全部任せりゃいい!俺がお前を守ってやる!」光子「あんた、たいへんなんだね。あたしがあんたを守ってあげる」陽一「え!?」光子「大丈夫!心配しないで。一人じゃない。なにもかも大丈夫」光子は陽一に支えられながら、風が変わるのを感じ、新たな力を得るのでした。」
光子の言動が笑わせるポイントになっているのですが、演出過多で笑いも不発に終わっていました