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想田和弘監督『精神0』

2020-09-09 01:32:00 | ノンジャンル
 神奈川県厚木市の映画館「kiki」にて、想田和弘監督・製作・撮影・編集の2020年作品『精神0』を観ました。チラシの裏から文章を引用させていただくと、

「こころの病」とともに生きる人々がおりなす
悲喜こもごもを
鮮烈に描いた『精神』から10年━━
映画作家・想田和弘が、精神科医・山本昌知に再びカメラを向けた

ベルリン国際映画祭をはじめ世界で絶賛された『精神』(08年)の主人公の一人である山本昌知医師が、82歳にして突然「引退」することになった。山本のモットーは「病気ではなく人を看る」「本人の話に耳を傾ける」「人薬(ひとぐすり)」。様々な生きにくさを抱えた人々が孤独を感じることなく地域で暮らしていける方法を長年模索し続けてきた。彼を慕い、「生命線」のようにして生きてきた患者たちは戸惑いを隠せない。引退した山本を待っていたのは妻・芳子さんと二人の新しい生活だった……。精神医療に捧げた人生のその後を、深い慈しみと尊敬の念をもって描き出す。

病とは、老いとは、仕事とは、
夫婦とは、
そして愛とは何か?

想田和弘監督自身が「期せずして“純愛映画”になった」と語る本作は、第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門〈エキュメニカル審査員賞〉を受賞。また、ニューヨーク近代美術館(MoMA)Doc Fortnight 2020のセンターピースとしての上映が早々に決定した。『港町』『ザ・ビッグハウス』を経て、さらに深化した「観察映画」の最新作は、そう、愛の映画だ。

 以上がチラシの裏からの転載させていただいた文章です。

 また同じく、監督が自らのドキュメンタリーを「観察映画」と呼び、「観察映画」の十戒がパンフレットに書かれていたので、それも転載させていただきます。

1、 被写体や題材に関するリサーチは行わない。
2、 被写体との撮影内容に関する打ち合わせは、原則行なわない。
3、 台本は書かない。作品のテーマや落とし所も、撮影前やその最中に設定しない。行き当たりばったりでカメラを回し、予定調和を求めない。
4、 機動性を高め臨機応変に状況に即応するため、カメラは原則僕が回し、録音も自分で行う。
5、 必要ないかもと思っても、カメラはなるべく長時間、あらゆる場面で回す。
6、 撮影は、「広く浅く」ではなく、「狭く深く」を心がける。「多角的な取材をしている」という幻想を演出するだけのアリバイ的な取材は慎む。
7、 編集作業でも、予めテーマを設定しない。
8、 ナレーション、説明テロップ、音楽を原則として使わない。それらの装置は、観客による能動的な観察の邪魔をしかねない。また、映像に対する翻訳の幅を狭め、一義的で平坦にしてしまう疑いがある。
9、 観客が十分に映像や音を観察できるよう、カットは長めに編集し、余白を残す。
10、 制作費は基本的に自社で出す。カネを出したら口も出しなるのが人情ヒモ付きの投資は一切受けない。作品の内容に干渉を受けない助成金は受けるのはアリ。

以上が監督の守っている「観察映画」の十戒でした。

 また監督のフィルモグラフィーを見ると、『選挙』(2007)、『精神』(2008)、『Peace』(2010)、『演劇1』(2012)、『演劇2』(2014年)、『選挙2』(2013)、『牡蛎工場』(2015)、『港町』(2018年)、『ザ・ビッグハウス』(2018)となっていて、フレデリック・ワイズマンもビックリのラインナップでした!

 実際に映画を観てみると、室内でのワンシーン・ワンカットや顔のアップ(ドライヤーの『裁かるるジャンヌ』を想起させました)の多用、屋外の奥行ある縦の構図のロングショット、対象物を付いていく際の魅力的な移動撮影、猫や手の表情、和弘さんの息遣い、芳子さんの声、風の音、などなど、見どころ満載の128分で、すぐれたドキュメンタリー(監督は「観察映画」と呼んでいるらしい)でした。想田監督の他の作品も、とても見たくなりました!!

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