恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。
まず6月3日に掲載された「アマビエグッズ」と題された、斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「ひとつの妖怪が日本中を席巻している。アマビエという妖怪が。疫病の際は私の絵を見せなさいといった半人半魚の妖怪は、イラストの競演と拡散にはじまって三カ月で大増殖。本紙ほかでも紹介されている通り、各地で華麗に変身した。
Tシャツや布バッグはもとより、マスクにつける豆バッジ、アマビエ柄のポーチ。だるま、こけし、焼き物、南部鉄器、江戸風鈴、京うちわ、博多人形…。全国各地の伝統工芸品に化けて「疫病退散」の祈願に励むアマビエはみな健気(けなげ)だ。
和洋スイーツ方面への憑依(ひょうい)も見逃せない。上生菓子に饅頭(まんじゅう)に煎餅に飴(あめ)。クッキー、ケーキ、ドーナツ、マカロン。大人向けにはアマビエラベルの酒やワインもある。
日本赤十字社のHPは感染症には三つの顔があるといっている。①病気そのものである「体の感染症」②不安や恐れなどの「心理的感染症」③嫌悪、偏見、差別といった「社会的感染症」。①の対策が手洗いやマスクなら、アマビエは②の感染症に効きそうだし、③の感染症も吹き飛ばしてくれるんじゃないか。
『ゲゲゲの鬼太郎』の中で「最近はめっきり出番がないんだよ」とこぼしていたアマビエ。出番が来てよかったねともいえないが、役には立ってる。官製のマスクや自衛隊の編隊飛行よりずっといい。」
また5月31日に掲載された「大阪人権博物館の休館」と題された、前川さんのコラム。
「大阪人権博物館(通称リバティおおさか。以下「リバティ」)が五月三十一日限りで休館する。1985年大阪人権歴史資料館として開館以来、日本で唯一の総合人権博物館として170万人の来館者を迎えてきた。2017年の夜間中学生展は僕も見学に行った。
リバティは、大阪府、大阪市、部落解放同盟大阪府連などが供出した公益財団法人だ。所在地は市有地だが、もともと地元被差別部落の住民が大阪市に寄付した土地に建てた旧栄小学校の跡地だ。リバティの建物はその校舎を模している。
リバティの休館に至る因縁は、08年橋本徹大阪府知事(当時)が展示内容の変更を求めたことに始まる。リバティは府教委・市教委と協議の上展示内容を改変したが、12年に橋本大阪市長(当時)が「僕の考えに合わない」と非難。「公益性がない」として13年度から市の補助金を打ち切った。14年には土地の無償貸与をやめ、年間2700万円の地代を要求。さらに15年には、土地の明け渡しなどを求めて提訴した。それから5年、リバティはついに力尽き、建物を撤去し土地を明け渡す和解に応じた。22年の再出発を期しているが、具体的なめどは立っていない。
大阪人が世界に誇るべき人権の拠点が、大阪市によってつぶされた。大阪人の皆さん、本当にこれでいいのですか?」
そして6月7日に掲載された「香港の国歌法」と題された前川さんのコラム。
「香港立法会が制定した「国歌法」。五日本紙によれば、中国国歌の替え歌を禁止し、学校や公的行事のほか、立法会の議員宣誓などの際に斉唱を義務づけ、違反者には禁錮刑と罰金を科すという。言論の自由の制約が懸念されるほか、立法会の議員資格や立候補資格を取り消す口実にされるという見方もあるという。
日本にも1999年に制定された国歌国旗法があるが、義務づけ規定や罰則はない。しかし、学習指導要領は89年改訂以降、入学式・卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱の指導を義務づけている。2003年には東京都教委が「教職員は国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」と通達した。11年には大阪府が「教職員は起立により斉唱を行う」とする条例を制定。13年には府教育長が、起立斉唱を目視で現認(口元チェック)するよう通知した。思想良心の自由を侵すとの訴えに対し最高裁は、起立斉唱の職務命令には必要性・合理性があると認めた。僕は文部官僚だったが、個人としては最高裁の判断はおかしいと思っている。
自民党改憲草案には「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」とある。こんな改憲が行われたら、国旗国歌法に香港の国歌法のような罰則を設けることも可能になる。自由は普遍的なものだ。自由を侵す法は、香港でも日本でも許されない」。
アマビエの流行も、リバティおおさかのことも、これらのコラムを読むまで知りませんでした。国歌斉唱に対する最高裁の判決は、明らかにおかしいと私も思います。やはり東京新聞の日曜日の前川喜平さんのコラムと、水曜日の斎藤美奈子さんのコラムは必読です!!
→サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
→FACEBOOK(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135)
まず6月3日に掲載された「アマビエグッズ」と題された、斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「ひとつの妖怪が日本中を席巻している。アマビエという妖怪が。疫病の際は私の絵を見せなさいといった半人半魚の妖怪は、イラストの競演と拡散にはじまって三カ月で大増殖。本紙ほかでも紹介されている通り、各地で華麗に変身した。
Tシャツや布バッグはもとより、マスクにつける豆バッジ、アマビエ柄のポーチ。だるま、こけし、焼き物、南部鉄器、江戸風鈴、京うちわ、博多人形…。全国各地の伝統工芸品に化けて「疫病退散」の祈願に励むアマビエはみな健気(けなげ)だ。
和洋スイーツ方面への憑依(ひょうい)も見逃せない。上生菓子に饅頭(まんじゅう)に煎餅に飴(あめ)。クッキー、ケーキ、ドーナツ、マカロン。大人向けにはアマビエラベルの酒やワインもある。
日本赤十字社のHPは感染症には三つの顔があるといっている。①病気そのものである「体の感染症」②不安や恐れなどの「心理的感染症」③嫌悪、偏見、差別といった「社会的感染症」。①の対策が手洗いやマスクなら、アマビエは②の感染症に効きそうだし、③の感染症も吹き飛ばしてくれるんじゃないか。
『ゲゲゲの鬼太郎』の中で「最近はめっきり出番がないんだよ」とこぼしていたアマビエ。出番が来てよかったねともいえないが、役には立ってる。官製のマスクや自衛隊の編隊飛行よりずっといい。」
また5月31日に掲載された「大阪人権博物館の休館」と題された、前川さんのコラム。
「大阪人権博物館(通称リバティおおさか。以下「リバティ」)が五月三十一日限りで休館する。1985年大阪人権歴史資料館として開館以来、日本で唯一の総合人権博物館として170万人の来館者を迎えてきた。2017年の夜間中学生展は僕も見学に行った。
リバティは、大阪府、大阪市、部落解放同盟大阪府連などが供出した公益財団法人だ。所在地は市有地だが、もともと地元被差別部落の住民が大阪市に寄付した土地に建てた旧栄小学校の跡地だ。リバティの建物はその校舎を模している。
リバティの休館に至る因縁は、08年橋本徹大阪府知事(当時)が展示内容の変更を求めたことに始まる。リバティは府教委・市教委と協議の上展示内容を改変したが、12年に橋本大阪市長(当時)が「僕の考えに合わない」と非難。「公益性がない」として13年度から市の補助金を打ち切った。14年には土地の無償貸与をやめ、年間2700万円の地代を要求。さらに15年には、土地の明け渡しなどを求めて提訴した。それから5年、リバティはついに力尽き、建物を撤去し土地を明け渡す和解に応じた。22年の再出発を期しているが、具体的なめどは立っていない。
大阪人が世界に誇るべき人権の拠点が、大阪市によってつぶされた。大阪人の皆さん、本当にこれでいいのですか?」
そして6月7日に掲載された「香港の国歌法」と題された前川さんのコラム。
「香港立法会が制定した「国歌法」。五日本紙によれば、中国国歌の替え歌を禁止し、学校や公的行事のほか、立法会の議員宣誓などの際に斉唱を義務づけ、違反者には禁錮刑と罰金を科すという。言論の自由の制約が懸念されるほか、立法会の議員資格や立候補資格を取り消す口実にされるという見方もあるという。
日本にも1999年に制定された国歌国旗法があるが、義務づけ規定や罰則はない。しかし、学習指導要領は89年改訂以降、入学式・卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱の指導を義務づけている。2003年には東京都教委が「教職員は国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」と通達した。11年には大阪府が「教職員は起立により斉唱を行う」とする条例を制定。13年には府教育長が、起立斉唱を目視で現認(口元チェック)するよう通知した。思想良心の自由を侵すとの訴えに対し最高裁は、起立斉唱の職務命令には必要性・合理性があると認めた。僕は文部官僚だったが、個人としては最高裁の判断はおかしいと思っている。
自民党改憲草案には「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」とある。こんな改憲が行われたら、国旗国歌法に香港の国歌法のような罰則を設けることも可能になる。自由は普遍的なものだ。自由を侵す法は、香港でも日本でも許されない」。
アマビエの流行も、リバティおおさかのことも、これらのコラムを読むまで知りませんでした。国歌斉唱に対する最高裁の判決は、明らかにおかしいと私も思います。やはり東京新聞の日曜日の前川喜平さんのコラムと、水曜日の斎藤美奈子さんのコラムは必読です!!
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