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チェ・ドンフン監督『暗殺』その6

2018-08-08 08:09:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 「爺や、俺が壁を壊す」。
 車に乗り込み、立ち去るオギュン。
 ヨム「川口の足ぐらい撃ってもいい。入れ!」「店の下水道が清渓(チョンゲ)川につながっています」「清渓川に行くぞ」。
 「入れ!」「川口大尉が死んでいます」。下水を進む田中とハワイ。マンホールを見張るヨム。マンホールから出たところをハワイは射殺され、やはり何発も弾丸を喰らった田中はナイフをヨムの胸に突き立てるが、そこで力果てて倒れる。
 ニュース「今日、日本は降伏しました。マッカーサー司令官が調印式を行います。今日は1945年9月2日、重光葵(まもる)外務大臣が到着です。彼は韓国の愛国者の爆弾で負傷。その体で調印式に訪れました」。拍手喝采する客たち。「全人類に残酷な傷を与えた日本の侵略戦争は今日終焉を迎えます」。
 ハワイ「例の人から最後のカネが渡された。10年間にわたる総督府の情報も送ってくれた」ウォンボン「会ってみたいな」「誰だか分からん。念願の独立なのに暗いな」「喜ぶには大勢の仲間が死に過ぎました。(ロウソクに火をつけながら)スボン、ソクチェ、ドクサム、サンオク……、やめよう。忘れられてしまうな」「すみません」「君が謝るな。悪いのは私だ。本当に申し訳ない」。乾杯する2人。ロウソクの灯り。「家に帰ろう」「家に帰ろう」
 「よくも国を売ったな」「薄汚い売国奴め」。“1949年 ソウル”“反民族行為特別調査委員会”の字幕。裁判長「1945年9月27日、反民族行為処罰法に基づく審理を始めます。検事側、どうぞ」「被告人を密偵行為と軍警の悪質行為により民族を迫害した罪で起訴します。被告人の名前と年齢と職業を」「62歳、ヨム・ソクチン、現在大韓民国の警察官です」「反民法の開始について被告人の感想は?」「歴史的にも社会的にも正しいと思います。しかし匿名で送られてきた投書1枚で私が裁かれるのは間違いだと思います」「その考えの根拠は?」「私は独立運動以外に何もしていないからです」。拍手と抗議の声。「被告人は1933年、カンと川口の暗殺事件当時、派遣された独立軍3人の情報を日本に流しました。証人をここへ」「少々お待ちを」。タバコに火をつけようとするヨム。「被告人、タバコを消しなさい」。「タバコを消せ!」「売国奴!」とヨムの頭に物を投げつける傍聴人。ヨム「失礼な」。ヨム、上半身を裸になる。裁判長「被告人、服を着なさい。次回の裁判では傍聴を禁じます。ヨム「私の体には日本人から受けた銃弾が6つもある。1911年、寺内総督の暗殺未遂事件ではここ、穴は2つです。1922年、上海、1927年、ハバロフスク、1932年、出雲号爆破未遂、心臓の横には1933年に受けた銃弾がまだ残っている! 私が同胞を3人売った? 3人を選んだのは私です。あの若き青年たちの気持ちが分かりますか? 分かるはずがない! 私がどんな気持ちで送り出したか! あれは……死をもいとわぬ抗戦の歩みだったのです。裁判長! 以上です」。拍手とブーイング。
 「反民族行為特別法第4条4項について、被告人への起訴を証拠不十分で棄却する。ただし法廷侮辱罪で罰金2万ウォン」。弁護士と握手するヨム。
 裁判所を出るヨム。「気をつけ。礼。お疲れさまで」。ヨム「もうよい」「車で送ります」「いや、明るい世の中になった。少し歩きたい」「ではお供に」「孤独に浸らせてくれ」。“反民委は解体せよ”“南北統一、成し遂げよう”のデモ。
 商店街で買い物をするヨム。オギュンの横顔を見て「満子? ミョンウ?」と、彼女の後を付けていく。無人の路地の終わりに来ると、オギュンは拳銃を取り出す。「なぜ同胞を売った?」「知らなかったんだ。独立の日が来るなどと。不可抗力だ」。拳銃を構えるミョンウ。顔にはひどい火傷の痕。「16年前の任務。ヨムが密偵なら殺せ。今、遂行します」。何発もヨムの体に弾丸を撃ち込む2人。扉が開かれると、そこは荒野。ふらふらと逃げていくが、やがてヨムは力が尽きて倒れる。それを見詰めるオギュン。
「韓国独立、万歳」と言って記念写真を撮るオギュンとドクサムとサンオク。
 「3千ドル、俺たちを忘れるな」と言うハワイ、その言葉を無言で受け取るウォンボン。
 目を伏せるオギュンの横顔。ダンスで浮かれるドクサムとサンオクの様子に笑みを浮かべる自分の姿を回想して、映画は終わる。

 韓国版『影の軍隊』といったストーリーでしたが、メルヴィルの撮った同作よりも垢抜けていたように思いました。おそらく主役を演じたリノ・ヴァンチュラとシモーヌ・シニョレに現われていた人生に疲れた感じに対して、本作で主役を演じたチョン・ジヒョンとチョ・スンウの若々しさが、そうした印象を与えていたのだと思います。チェ・ドンフン監督はこの作品までに既に4本の映画を監督していることなので、これからも機会があったら是非見たいと思いました。

 →「Nature Life」(http://www.muse.dti.ne.jp/~m-goto