山根貞男さんが絶賛していたイ・ヒョンスン監督の'05年作品『ネオンの中へ陽が沈む』をDVDで見ました。詩人志望である女性コピーライターが、女性部長の助けを借りて、広告代理店の中で悩みながらも活躍してく話で、それに報道カメラマン崩れで、資本主義社会の競争と社会正義の間で悩むCMディレクターがからむものでしたが、先日見た同監督の『イルマーレ』と同じく、美しいスタンダード画面とおしゃれな音楽からなる多分に情緒的な映画で、これまた今一つノレませんでした。
さて、死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90編の'12年作品『死刑囚90人 どときますか、獄中からの声』を読みました。フォーラム90が福島みずほ参議院議員とともに、'08年に続いて、'11年6月20日に、その時点での死刑確定者120名(判決訂正申立中の方、および審理継続申立中の方を含める)に2度目となるアンケートを送り、回答を辞退した人を含めて87名から回答をもらい、その一部は'11年10月8日の「響かせあおう死刑廃止の声2011」で朗読されるも、限られた時間では死刑確定者の伝えたいことを、十分に伝えることができたとは言いがたいので、'08年のアンケート同様、今回のアンケートもまた出版することになったとのことです。また、10月の集会の後、うち1名は本人による控訴取り下げが弁護人による審議継続申立により未確定のためアンケートへの回答を辞退、もう1名は家族・被害者遺族の事を思いアンケートは辞退、手紙の掲載も拒まれましたが、その後の確定者4名と、手紙を送って来られた方を合わせて90名の確定者の声を掲載したとのことです。
まえがき『死刑について考えるために』の中で、社民党首・福島みずほさんが書かれていることで、EU(欧州連合)に加盟するためには死刑制度を廃止しなくてはならないこと、日本でも平安時代を中心に200年以上死刑の執行がなく、島流しはしても命は奪わない時代があったことを初めて知り、また「人が殺されるのは嫌だ」という一点から死刑に反対する態度にも共感しました。また、各世論調査で約8割の人が死刑制度に賛成していると報道されていますが、その実態は恣意的で、例えば、内閣府の調査の設問と回答では、設問が「今の日本で、どんな場合でも死刑を廃止しようという意見に、あなたは賛成ですか、反対ですか」となっていて、回答の選択肢も「A、どんな場合でも死刑は廃止すべきである。B、場合によっては死刑もやむを得ない。C、わからない。一概に言えない。」とされ、'04年の調査だとAが6.0%、Bが81.4%、Cが12.5%という結果が出ているので、死刑は支持されていると判断されているといった状態なのだそうです。
また、今回のアンケートの結果を読んで驚いたのは、免罪を主張している方が恐ろしく多いということで、中には、まともな文章を書けない方までいて、警察、検察、裁判所がぐるになって免罪を作り出している構図が透けて見えてくるということでした。中には菅谷さんの免罪と同じくDNA鑑定で疑義があり、免罪を主張していたケースの方も1人死刑執行をされてしまっていて、これはもう国家が行う殺人以外の何者でもありません。
死刑はもし間違って執行されたら、取りかえしのつかないものです。また先日大阪で起きた事件では「死刑にしてもらいたい」という理由で2人の無差別殺人を起こした人もいて、こうなると、死刑が存在したことによって殺人が行われるという、死刑の存在意義それ自体が疑われるケースも出てきてしまっています。死刑囚の人たちの置かれている人権軽視の状況も克明に書かれていて、読んでいて気分が悪くなるほどでした。少しでも早く、死刑の廃止、死刑囚の人々の救済が行われることを祈ってやみません。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
さて、死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90編の'12年作品『死刑囚90人 どときますか、獄中からの声』を読みました。フォーラム90が福島みずほ参議院議員とともに、'08年に続いて、'11年6月20日に、その時点での死刑確定者120名(判決訂正申立中の方、および審理継続申立中の方を含める)に2度目となるアンケートを送り、回答を辞退した人を含めて87名から回答をもらい、その一部は'11年10月8日の「響かせあおう死刑廃止の声2011」で朗読されるも、限られた時間では死刑確定者の伝えたいことを、十分に伝えることができたとは言いがたいので、'08年のアンケート同様、今回のアンケートもまた出版することになったとのことです。また、10月の集会の後、うち1名は本人による控訴取り下げが弁護人による審議継続申立により未確定のためアンケートへの回答を辞退、もう1名は家族・被害者遺族の事を思いアンケートは辞退、手紙の掲載も拒まれましたが、その後の確定者4名と、手紙を送って来られた方を合わせて90名の確定者の声を掲載したとのことです。
まえがき『死刑について考えるために』の中で、社民党首・福島みずほさんが書かれていることで、EU(欧州連合)に加盟するためには死刑制度を廃止しなくてはならないこと、日本でも平安時代を中心に200年以上死刑の執行がなく、島流しはしても命は奪わない時代があったことを初めて知り、また「人が殺されるのは嫌だ」という一点から死刑に反対する態度にも共感しました。また、各世論調査で約8割の人が死刑制度に賛成していると報道されていますが、その実態は恣意的で、例えば、内閣府の調査の設問と回答では、設問が「今の日本で、どんな場合でも死刑を廃止しようという意見に、あなたは賛成ですか、反対ですか」となっていて、回答の選択肢も「A、どんな場合でも死刑は廃止すべきである。B、場合によっては死刑もやむを得ない。C、わからない。一概に言えない。」とされ、'04年の調査だとAが6.0%、Bが81.4%、Cが12.5%という結果が出ているので、死刑は支持されていると判断されているといった状態なのだそうです。
また、今回のアンケートの結果を読んで驚いたのは、免罪を主張している方が恐ろしく多いということで、中には、まともな文章を書けない方までいて、警察、検察、裁判所がぐるになって免罪を作り出している構図が透けて見えてくるということでした。中には菅谷さんの免罪と同じくDNA鑑定で疑義があり、免罪を主張していたケースの方も1人死刑執行をされてしまっていて、これはもう国家が行う殺人以外の何者でもありません。
死刑はもし間違って執行されたら、取りかえしのつかないものです。また先日大阪で起きた事件では「死刑にしてもらいたい」という理由で2人の無差別殺人を起こした人もいて、こうなると、死刑が存在したことによって殺人が行われるという、死刑の存在意義それ自体が疑われるケースも出てきてしまっています。死刑囚の人たちの置かれている人権軽視の状況も克明に書かれていて、読んでいて気分が悪くなるほどでした。少しでも早く、死刑の廃止、死刑囚の人々の救済が行われることを祈ってやみません。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)