自転車にまつわる四方山話(よもやまばなし)

自転車に関する気ままなブログです。

セムスネジ

2014年12月27日 21時21分05秒 | パーツ
ボルトの首部分にワッシャーが付いているこのネジを「セムスネジ」と呼ぶそうです。
ワッシャーは首から落ちず、ボルトと一体となっているものです。



ステムのハンドルクランプ部に用いられていることが多く、Titanio からは外してしまいましたが、「Deda Zero 100」にも使われていました。





このステム、当分(恐らくずっと?)、使うこともなさそうなので掃除だけして保管するつもりでした。
比較的きれいではあるものの一応バラしてチェックをすることに。

クランプ部をバラすためにボルトを外していると、一つだけボルトに組み込まれたワッシャーが妙に緩く、ボルトから抜けそうなものがありました。
ワッシャーをネジ山に合わせて回していくとそこそこ動きます。
ボルトの真ん中あたりまで移動したところでストップ。
動かなくなってしまいました。
ここまで動いたので外してしまおうと、プライヤーでつかんで動かすとワッシャーは少し変形したものの外れました。





折角なので新しいワッシャーを組み込もうと、手持ちの近いサイズのワッシャーをはめてみることに。



「?」
はまりません。
ボルトのネジ部を通るワッシャーは、外径が大きすぎてステムに取り付けられなくなります。
ワッシャーの外径に合わすと内径が小さすぎてボルトを通すことができません。

「ワッシャーが特殊なサイズに違いない。」
ネットでワッシャーのサイズを調べてみましたが、ボルトを通すことができて外径が同じワッシャーはありませんでした。

「仕方が無い。内径をヤスリで広げるか・・・」
ほんの少し広げれば良いのです。
ワッシャーはステンレス製。
ステンレスは硬いのです!
通常の金属用ではステンレスに負けてしまいヤスリ目が潰れます。
ヤスリもステンレス用を用意し、試してみたものの「歯が立たない」。
「ほんの少し」が、ダメでした。
「ワッシャーを加工するのは無理」との結論に至りました。

「同じサイズのビスから取り外してはめれば良いかも・・・」
我ながら良いアイデアです。
「Deda Zero 100」のビスはチタン製ですが、同サイズのステンレスビスから取り出せばリーズナブル。
失敗したのはワッシャーを無理矢理回したから。ほんの少し広がればいいのです。
そして少し広がれば、すんなり抜けてすんなりはまるハズです。
そこで暖めることにしました。
こっそり小さな鍋にビスを入れ(見つかると面倒なことになります)、水をいれて沸騰させます。
かなり煮立ったところで取り出し、ラジオペンチとプライヤーで外そうと試みますが、全然ダメ。

水の沸騰ぐらいでは温度が低いと考え、ビスをプライラーでつかんでガスコンロの炎で直接あぶってみます。
「今度こそ」
ダメでした。

ようやく気付きました。
無理だということに・・・。

一つだけワッシャーの無い哀れなステムになってしまいました。


使わないので良いのですが。


あるショップで格安のチタンボルトを見つけました。
それが、最初に掲載したボルトです。



当たり前のようなこのボルト。
どうなっているのか、知りたくなりました。
調べてみると、名前は「セムスネジ」と呼ぶということ。
そしてこのワッシャーは、ネジを山を作る前に予め組み込んでいるということ。
更に驚いたのは、ネジ山は「切っている」のではなく、圧力をかけて山を盛り上げてネジ山にしているということ!
この方法、「転造」と呼ぶそうです。
ネジの世界では、当たり前のことのよう。

知っていたのなら無理にワッシャーを外すこともせず、入れる努力もしなくて済んだのに。
おバカさんでした。

ネジと言えば、タップとダイス。


中学の技術家庭(古い!)で実習したまま知識は増えていませんでした。

さてチタンのボルト。
どれくらいの重量かというと、

4本で9g

ステンレスだと

15g


左がチタン、右がステンレス

たった6g。
ステンレスで十分ですよね、普通の人は。
病気の人は、重量ではなく、「チタン」という響きが必要なようです。
処方箋、下さい。

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2 コメント

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おつかれさまでした (chika)
2014-12-28 20:14:54
ネジバナ、面白かったです~
考えるとビスの役目ってすごいですよね、ワッシャーもあなどれませんね!
「転造」という作り方は存じませんでした・・・
サイズが同じでも入らないなんて、それだけ精巧なものなのでしょうね。

試行錯誤の末、出会ったNEWボルトですから、
所有する喜びを鑑みると費用対効果はよろしいのではないでしょうか(笑)
奥が深い世界ですね・・・

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Unknown (Merak2010)
2014-12-28 21:59:57
chika様
コメントありがとうございます。
「たかがネジ、されどネジ。」
ネジの世界は奥深く、興味をもって調べてみると面白いネタは満載です。
ビスの頭の六角やトルクス用の星形はどうやって作るのか?等々。
ビス工場の見学がしてみたいほどです。
ビス1本でも大切にしなければならないですね。
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