一般財団法人 知と文明のフォーラム

近代主義に縛られた「文明」を方向転換させるために、自らの身体性と自然の力を取戻し、新たに得た認識を「知」に高めよう。

『ベートーヴェンの生涯』を聴く

2010-04-30 21:15:48 | 青木やよひ先生追悼


 青木やよひ追悼 ◆ レクチャー&コンサート
 《悲愴》から《ディアベリ変奏曲》へ
高橋アキ・・・・【ピアノ】


『ベートーヴェンの生涯』を聴く・・・・・・・・・・・・・・北沢方邦

◎ベートーヴェンほど先入観に染めあげられた作曲家は少ないだろう。
気難しい英雄的音楽家といった人間像だけではなく、そうした偏見にもとづく
演奏様式が会場にあるいはCDに溢れている。生涯も作品も研究されつくしている、
という偏見も根強い。だがはたしてそうだろうか。

◎百年以上も謎とされてきた「不滅の恋人」問題を解決し、
ドイツ語圏でも高く評価されている青木やよひによれば、いわゆる権威ある
伝記や研究書にもいまだに誤りが多いし、なによりもそうした先入観を
無意識の前提とするため、事実の脈絡や解釈を取り違えている。
つまりベートーヴェンの生涯にわたる内面の成長や動きがまったく伝わってこないし、
それがいかに深く作品に反映しているか語られていないという。

◎逆に白紙から出発し、彼の内面の軌跡を事実を手がかりに辿っていけば、
おのずからベートーヴェンの生き生きとした人間像と、
その奥深い表現としての諸作品の本質や様式が浮かびあがってくるともいう。

◎その成果が『ベートーヴェンの生涯』(平凡社新書)であるだろう。
出版を目前に著者は死去したが、青木やよひを追悼するとともに、
そこに提示された新しいベートーヴェン像を呼び起こすにふさわしい
レクチャーコンサートが、この【『ベートーヴェンの生涯』を聴く】である。

◎ベートーヴェンとの出会いによって作曲を志したという
世界的な作曲家西村朗氏と、
これも現代作品の演奏で世界的名声をもつピアニスト高橋アキ氏を迎え、
初期を代表するピアノソナタ《悲愴》と、
事実上の最後のピアノ作品《ディアベリのワルツの主題におる33の変奏曲》
を軸として、ベートーヴェンにまつわる先入観の暗雲を吹き払う
さわやかなレクチャーコンサートを繰りひろげたい。



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