えくぼ

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50代の芥川・直木賞

2017-01-20 09:14:01 | 歌う
         50代の芥川・直木賞
 
 ♦ まず賞を、そして急いで実力を、ふかく礼して花束を抱く 松井多絵子

 昨夜、第156回芥川・直木賞が発表された。芥川賞は50歳の山下澄人さんの「しんせかい」直木賞は52歳の恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」文壇へパスポートと言われるこの賞を手に入れるまでの日々の長かったこと、山下さんは芥川賞候補は4回目、恩田さんは6回目の候補、
作歌志望の若い人たちを応援する昨今の風潮に、今年はブレーキがかかったのか。
 
 ♦ 電話機が金の器となり彼に受賞のことを知らせたのかしら

 芥川賞の山下さんは1966年神戸生まれ。高校卒業後「富良野塾」に入塾。96年から劇団を主宰、2012年に「緑のさる」で野間文芸新人賞、4回目での芥川賞の知らせはきっと電話だったのだろう。電話はときには詐欺もあり犯罪に巻き込まれることもあるが。
 
 恩田さんは12年前に「本屋大賞、その後6回も直木賞候補、「表現するのに、こんなに悩んだり考えたりしたことはない」と語る作品が受賞した。64年生まれ。子供の頃からピアノを習い、早稲田大学時代にジャズのバンドでアルトサックスを吹いた。受賞作も日本の国際ピアノコンクールを舞台にした青春小説。
                  
 恩田さんは「新年会を兼ねて待っていたが、だんだん緊張してきて、実感がなくうろたえていますが、ほんとうにほっとしています」と今朝の新聞で語っている。受賞の知らせはケータイだったのだろう。たぶんケータイからバラ色の言葉が、、。

    山下さま、恩田さま オメデトウございます。さらに燃えてください。 

                  1月20日 松井多絵子   

本屋大賞候補10作品

2017-01-19 09:45:46 | 歌う
        本屋大賞候補10作品

 ♥ コンビニはいつ眠るのか真夜中もあかりのなかに動くにんげん 松井多絵子

 真夜中も働いているのはコンビニ勤務の人だけではない。作家という職業のひとたちは夜中に小説を書くらしい。寝るのは昼間か、新聞雑誌その他の本も読みながら熟睡できるのだろうか。ベストセラー作家になる夢をみながらひたすら書いているのだろうか。

 全国の書店員が売りたい本を投票で決める「本屋大賞」の今年の候補10作品は、、。

 ① 西加奈子 「i」(ポプラ社) ② 原田マハ「暗幕のゲルニカ(新潮社)

 ③ 村山早紀 「桜風堂ものがたり」(PHP研究所)

 ④ 川口俊和 「コーヒーが冷めないうちに」(サンマーク出版)

 ⑤ 村田沙耶香 「コンビニ人間」(文芸春秋)

 ⑥ 小川 糸  「ツバキ文具店」(幻冬舎)

 ⑦ 塩田武士 「罪の声」(講談社) ⑧ 森絵都「みかづき」(集英社)

 ⑨ 恩田 陸 「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎) ⑩ 森見登美彦「夜行」(小学館)

                        ※ 作品名は50音順

 本日の朝刊に「本屋大賞ノミネート決定 「コンビニ人間」の大きな広告。56万部

  

役割を終えた?年賀状

2017-01-18 13:56:45 | 歌う
           役割を終えた?年賀状

 ♦ 1年に1枚のハガキのひと言で隣の町の友と繋がる  松井多絵子
 
 新聞の政治・経済欄はほとんど読まないが、ときどき、朝日「経済気象台」を読む。今日は「役割を終えた?年賀状」について。「毎年多くの年賀状をもらうが、最近は年賀状を出すのと同じ感覚で喪中はがきが送られてくるようになり、今年は年賀状の1割にあたる枚数の喪中ハガキが届いた」。私も同様である。年賀状はあの世に届くはずのない淋しさ。

「喪に服すのはごく近い親族が亡くなった場合に限るのが通例だ。別居している祖父母まで喪中の範囲と考え、安易に送付する傾向には違和感を覚える」に共感する。年賀はがきの発行も、ここ8年間は毎年約1億枚ペースで減少しているらしい。

 私の仲間には美文字老女が多い。容色は衰えても毛筆は冴えている彼女たちが、いつのまにか印刷した年賀状になり、私は相変わらず拙い手書きである。なにしろ私の親しい人は年々あの世に移転するから印刷するほどの枚数ではない。

 ♦ ひさびさに届きし友の賀状には「今年もどうぞよろしく」とあり

 音沙汰のない人からの5年ぶりの賀状に「今年もよろしく」のひとことはむしろ寂しい。しかも活字。今年6月からハガキが値上げされ62円になる。私はハガキはあまり書かずケータイのメールの遣り取りが多い。すでにハガキ離れしている。美文字の母は小学生の私を書道教室に通わせたが私はじきにやめてしまった。短歌に関わるようになってから後悔したが、美文字老女たちはパソコンをやらない。もし私が美文字を書けたらパソコンに縁がなかったであろう。母はパソコンを全く知らないままに世を去ったのである。

                    1月18日 松井多絵子

読売歌壇年間賞

2017-01-17 14:45:28 | 歌う
          読売歌壇年間賞

 今年の読売歌壇年間賞についてお知らせします。朝日歌壇賞のように受賞者の写真や言葉はありませんが、いま旬の選者のコメントがたっぷり載っています。

 ✿ 大筆で「まめ」と書写して筆を置きふーと息はく小一の子は
                       福岡市 津留 明子

 「評」子供が緊張してなにかに取り組んでいる表情はとても魅力的なものだ。ここではお習字。大筆で力いっぱい「まめ」と書き、書き上げて思わずふーと息をつく。状況が目に見えるようでとてもほほえましく、かつなにか励まされる感じがする。われわれもこの小学一年生のように日々をすごしたいものだ。♦(小池光)

 ✿ 熊本の師母つつがなく居たまふやつながらぬ電話今日もかけたり
                        台 湾  李 錦上

 「評」「師母」は「先生の奥様」の意。戦前の日本の統治時代、出向した小学校の先生の一家と暖かい交流があって、今回の熊本地震でその夫人の安否を作者が気づかっているのである。生涯にわたる長い心の交流を示す歌だ。私も台湾の歌の知友があったが、皆亡くなられた。いつまでもお元気で。♦(岡野弘彦)
                                           ✿ 気が付けば五月節句も母の日も過ぎて千数百回の余震
                  熊本市  森山 昭子  
 
 「評」 昨年4月に起きた熊本地震。長引く余震に不安がつのった。本来ならば端午の節句や母の日を楽しむはずだったのに、心の余裕のないままに気が付くと五月中旬になっていた。落ち着かない日々の様子が実感をこめて表現されている。とりわけ「千数百回の余震」の数字の重さに胸を衝かれた。♦(栗木京子)

 ✿ 積もりたる雪を払ひて南天の埋み火を妻は燃え立たせけり
                     青梅市  諸井 末男 

 「評」雪に隠れていた南天の赤が、ぱっと目に飛びこんでくる。色彩の対比の鮮やかさ。分量としては少ない赤だが、強い生命力を感じさせるところが魅力。埋み火の比喩が雪(=灰)、南天の実(=火)、そして払う動作まで及んでいるところが見事。1年を通して佳作を送ってくれた諸井さんでした。♦(俵万智)
                
 
 以上は昨年、読者から送られた作品の中から選者が選んだベストワン、多数の歌の中からの1首、選者の「評」も熱っぽいですね。年間賞の4人の方々の血潮も熱くなったことでしょう。これからも選者を唸らせる歌を詠んでください。
                        
              1月17日  松井多絵子        

速報☀朝日俳壇賞

2017-01-16 09:59:08 | 歌う
         速報☀朝日俳壇賞

 本日朝日朝刊に第33回朝日俳壇賞が発表。2016年の入選句から4人の選者が1句ずつ選んだ。受賞者には賞状と記念品が贈られる。

   <金子兜太 選>

       ✿ むのたけじとふ反戦歌虫の声

                (秩父市) 浅賀信太郎  

 受賞の言葉  わたしにとって俳句は知恵の輪のような詩です。見る、成る、祈る、そして励ます、今ではみんな俳句でやらせて頂いております。心より感謝を申し上げます。

 <評> 今次大戦への反戦の表現に徹した、むのたけじ氏への賛歌。

    <長谷川櫂 選>      

       ✿ 降る雪や昭和に二つ国ありき

                 (岐阜市) 阿部恭久

 受賞の言葉  発句に発し、俳句俳は興り、個人とか世界とか。投句、どこへ行くのだろう、、この度は有難うございました。励みに到します.永い、永い、自由の仕事、、

 <評> 社会問題はただのスローガンになりがちだが、これは俳句になった。

     <大串章 選>

       ✿ 芭蕉忌や吾も枯野に近づきて

                  (河内長野市) 西森正冶

 受賞の言葉  うれしいやら恥ずかしいやらで戸惑い、もっと秀句があったのではと逡巡もしております。これからも、さらなる努力を続けていきたいと思っております。

 <評>「旅に病で夢は枯野を駆け廻る 芭蕉」を踏まえる。俳句は生涯の友。

     <稲畑汀子 選>

       ✿ 噴水の空に触れむとして崩る 
                   (神戸市) 池田雅かず  

 受賞の言葉  空に届かんばかり勢いよく噴き上がるけれど、やっぱり落ちてしまう噴水。
でもその先端は溌剌として、光に輝いて見えました。そんな姿に元気をもらいました。

 <評> 水という形のないもので形を表す噴水。空との接点を発見した妙。

 
 4人の受賞者はみな男性である。今日の入選句は男性21人、女性19人。年間入選句は男女おなじような割合だとしたら、なぜ男性の年間賞が多いのだろうか。社会詠、時事詠が多いからか。「新聞をもっとよく読みなさい」と注意されてるような気がする。私のように新聞の政治経済面はあまり詠まない女性が多いのだろうか。ガンバレ女性たちよ。
                                  
           1月16日  松井多絵子