えくぼ

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「未来賞のひと」 ②

2017-01-04 09:32:55 | 歌う
         「未来賞のひと」②
                              
 「未来1月号」に例年のように未来賞が発表されている。今年の受賞は3人。昨日の山階基さんに続き今日は♦門脇篤史さんの「指をぬぐふ」についてご紹介。田中槐、大辻隆弘が1位、岡井隆が3位、大島史洋が4位(当日欠席、事前にコメント)

             指をぬぐふ    5首抄出

 第3首  カーテンが防ぎきれないひかりあれ暗き小部屋に光は滲む

 第7首  ヨード卵光の中に込められし命をけふは半熟で食ふ
 
 第10首 誰ひとり死んでゐないが指先についた朱肉の赤をぬぐへり

 第15首 現実と癒着してゐる春の日がときどき我の身体を揺する

 第17首 たぶんまう飛べないだらういらいらと餃子の羽を箸先で折る

  田中 「ぬぐう」という語の入っている歌が3首ある。「ぬぐう」とは何かがこびりついてなかなかとれない。こだわりや汚れのようなものを抱えながら生きている。

  大辻  第15首は現実と密着しすぎている春の日の安らかさへの違和感を「癒着」という生々しい言葉を使って上手く出している。
                                       
  岡井  僕はもう少し冒険性があった方が面白いと思うんだけど、こういう作品に票が集まるとすれば無難さ、堅実さかなあ。㊟未来賞候補の最高得点15.岡井隆は88歳。
                                         
 第10首に私はぎょっとした。朱肉の赤が血に見えるなんて、第17首は共感できる。
門脇篤について検索すると2013年より短歌を始めたらしい。「プロフィーㇽ」に青春を埋葬している、うたの日育ち 料理、ドラム、ウイスキー 未来「夏韻集」欄に所属。

    
       受賞のことば   門脇篤史
 
 くすんだ日常を照らすひかりのようなものが欲しくて短歌を作り続けているように思います。少しずつですが、自分のまわりを照らすことはできるようになっているのかも知れません。諸先輩の短歌作品が私の日常を照らしてくれたように、誰かの日常を照らすことができるような歌が詠めるようになりたい。最近不遜にもそんなことを思います。ご指導いただいている大辻先生、そして夏韻集の皆様に感謝の想いでいっぱいです。
         
    ☀ 門脇篤史さま 私のくすんだ日常を照らす光になってくださいネ。
                                  
                 1月4日  松井多絵子

                  
                           


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