えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

言葉はいらない?

2016-02-07 10:39:58 | 歌う

             ・・・ 言葉はいらない?・・・

♥ ほんとうのことを話せどフィクションと思われている、ような気がする   松井多絵子

 言葉を話したり書いたりできるのはなぜ人間だけなのか。わたしは時々ふしぎにおもう。猫がすり寄ってきても何を言いたいのか分からない。私が落ち込んでいるときに「なんとかなるよ」などと言ってくれるようでもある。もし人間だったら「アナタの態度に原因がある」などと言われるかもしれない。昨日の✿折々のことばは。田村隆一の詩集「帰途」から。

 言葉なんておぼえるんじゃなかった。(略)意味が意味にならない世界に生きていたらどんなによかったか   田村隆一  この言葉に鷲田清一は次のように書いている。

 生きることの意味、世界かあることの意味。人は生きようとしてそれに深くこだわる。そして翻弄される。世界の意味を約めてしまわないこと。意味の膜ごしに世界をいわば「水平」になぞるのではなく、その膜を切り裂かんばかりに世界と「垂直」に対面すること。言葉の限界をも詩人は言葉で突きつめようとする。

 昨日の天声人語に 歌人・松村正直の次の1首が引用されている。

        ▼ いくつもの人のこころを経由してうつくしからぬ噂とどきぬ 

 松村正直は1999年、第45回角川短歌賞次席、「塔短歌会」に所属し現在「塔」編集長。

 言葉は便利でも不便でもある。自分の言葉がストレーとに伝わらず歪められる場合も多い。ことに詩歌は読者にいろいろに受け取られ、それが楽しいが、誤解されかねない。私は何となく、ブログで連日短歌やエッセイめいた言葉を綴っているが、或いは無責任かもしれない。松井多絵子は猫のほうがいいかしら。

           2月7日  猫に生まれ損なった松井多絵子

                                                         


2月のミステリーツアー

2016-02-06 09:36:52 | 歌う

            ・・・ 2月のミステリーツアー ・・・

♦ 縦に歩く蟹もあるらしさもあらば横へ横へと歩くぞ我は  松井多絵子

 送られてきた「旅の友」の 日帰りバス旅行・カ二カ二ミステリーツアーが目につく。◉本ズワイガニの網焼き・カニ飯・天ぷらカニ、カニ鍋。観光は酒造見学、パワースポット散策、そしてお土産は、タイ1尾、イカ1杯、わかめ、そば、いちご(3粒) 代金は平日6990円土日祭日は8990円。

 2月3日、朝8時半に40名を乗せたバスは渋谷を出発。何処へゆくのか分からない。

♦ 雪色のタイルの高層ビル覆う東京の空、2月の朝の

 添乗員さんは若い男性。「今、中央道を走ってます。千葉かもしれませんね」などと、「関越道に入りましたから「さいたま」か「栃木」か「群馬」でしょうね」とにゃにゃしている。

♦ 晴天の中空を傷つけている電線、クレーン、鉄塔、裸木

 「まず最初に行くのはパワースポット、どこでしょうねえ、袋田の滝?」と添乗員さん。

♦ 行く先はバスに任せるミステリーツアー行く手に氷山めく山

 やはり水沢観音だった。節分の豆まき、観音堂前のステージで農婦の衣装の数人が踊る、唄う。7年も前ここに来たときは深緑のころ、今、辺りは雪 水沢観音はコツコツ頑張る女性を応援する観音様だそうだ。私は「よろしくお願いします」と参拝する。1時間後に昼食のカニ料理、原田農園で。蟹はその肉を取り出すのに手間がかかる。みな無口になる。私はカニの天ぷらをいくつも食べたら満腹。食べ終わったら皆オシャベリ、私はミステリは初めてだが常連が多い。昼食後は酒造へ向かった。

 酒造へ向かうバスの車窓は雪の野、家の屋根にも雪が積もっている。群馬県の冬の寒さが酒造を盛んにしたのか。酒造誉国光を見学し試飲する。甘酒がおいしく体が温まった。

♦ 日は沈み対向車するどく光る目の狂える獣となりて迫りく来

 渋谷に着いたのは午後6時半、10時間の旅だった。重いがタダのお土産とともに帰宅。

                            2月6日   松井多絵子 

  ㊟ ミステリーツアーは天候や道路事情などで予定を変更するそうです。 


テオは幸綱の息子か孫か

2016-02-05 09:43:01 | 歌う

            ・・・ テオは幸綱の息子か孫か ・・・

 ♥ 幼児期を卒業せりとはおもわねど朝日に立てり少年のテオ  佐佐木幸綱

 歌人の佐佐木幸綱に青い目のまだ少年の息子が?なんて驚いてしまいますね。昨日の☀夕刊の {かぞくの肖像}に紹介されている犬。ネットでフリーダーを探して昨年6月、長野県上田市まで幸綱が訪ねた。6匹のなかの一番元気な雄をもらった。ゴッホの弟のテオドールをこの犬の本名に、ふだんはテオと呼んでいる。白い毛の犬、佐佐木家にきたときは7キロだったが今は約30キロ。

 「テオはまだ小学生くらいか、わんぱくで、好奇心がいっぱい、大事な長火鉢も齧られたり、いたずらが激しい」 と、まるで孫のように幸綱はテオを語る。近くの沼地までテオとお散歩、汚れた犬を氏自らが洗う。テオの歌は30首位詠んだそうだ。掲出の1首の他にも、、。

 ♥、飽きることは絶対にない三十回ボールを投げて疲れたよ俺は

 ♥ 無防備に腹だし仰向けに寝てしまうまだ幼年の夢見居るらん

 佐佐木幸綱編集発行の「心の花」は118年の歴史をもつ歌誌である。この伝統ある短歌結社の主宰の家族になったテオ君は、歌を詠むことができないのは残念だ。でも幸綱はテオのことを詠みたくなるそうだからテオは大切な家族の1員である。

 2日前、私はミステリーツアーに参加するため7時すぎに家を出た。いつもは寝ている頃である。予報では朝の気温は零度。すごく寒かった。私の前を女が仔犬をつれて歩いていた。犬に運動をさせるためか。女はフード付きダウンコートを着ている。しかし仔犬は一糸纏わぬ真裸、犬はヤレヤレではないか。昨日犬の体温を調べたら人間よりやや高く、平均38度位らしい。犬も歩けば体温が上がるのか。私も零度の路を歩いたら少し温かくなったが、。

  幸綱先生  2月のお散歩はくれぐれもお風邪にご注意を テオ君も、、。

                      2月5日  松井多絵子、


セーラー服歌人・鳥居さん

2016-02-04 09:48:11 | 歌う

            ・・・ セーラー服歌人・鳥居さん ・・・

 ♦ 公田耕一投稿歌のなき朝刊にわれの知人の死亡記事あり  松井多絵子

 昨日の☀朝刊にオカッパで大きな瞳の女の子が、「初の歌集を出すセーラー服の歌人」として取り上げられていた。「鳥居 さん」という姓だけ。年齢も本名も明かさず、不登校や夜の街で働く人と歌会を開く 誰とも先入観なく向き合いたいから。1首1行。すっくと立つ短歌に一目ぼれした。短歌があるから私はひとりぼっちじゃない」。その鳥居さんについて少し調べてみた。

 鳥井さんが2歳のときに両親が離婚。母の実家で暮すが不仲で夜逃げして東京へ、母が自殺、何歳の頃か書いていない。新宿の児童相談所に保護され、養護施設に入所し虐待の中で数年間を過ごし、里親に引き取られたが追い出されホームレス生活を数か月、、。

 ❤ 揃えられ主人の帰りを待っている飛び降りたことを知らぬ革靴

 ❤ 刃は肉を斬るものだった肌色の足に刺さった刺身包丁

 この2首は2012年の現代歌人協会全国短歌大会で佳作になった鳥居さんの歌。

 鳥井さんは中学はあまり出席していない。施設にあった新聞を辞書を引きながら読み、字を覚えた。勉強させられている子供より、知りたくて本を読んでいる子の方が優秀だ。図書館で読む歌集は穂村弘や吉川宏志、もし不幸な女性歌人の歌集ばかり読んでいたら、彼女は自身を悲劇のヒロインにしてしまったかもしれない。掲出の歌は冷静に母の自死を詠んでいる。刺身包丁も若い女性の歌らしくない。穂村弘や吉川宏志のシャープな感性が彼女に伝わっているのだ。「育つ環境で義務教育もままならない人がいるよ、と伝えたい」 だから成人した今も、学ぶことの象徴としてセーラー服を着る。鳥居さんは。

      鳥居さん  私もセーラー服を着たくなりました。 2月4日 松井多絵子

 


活況!小説投稿サイト

2016-02-02 09:22:18 | 歌う

            ・・・ 活況!小説投稿サイト ・・・

 ▼ あの冬のきりりと冷えた夜だった 『斜陽』 の扉をひらいたときは  松井多絵子

 「小説を書いてます」というツィツターが多くなってきた。短歌を始めてから私はほとんど小説を読まない。小説家になりたいなどと思ったのは半世紀も前の今ごろだったか。2月はあまり外出しない。家で本を読む。小説を読むと私も書いて見たくなる。しかし小説を書くのはマラソンみたいだ。短歌は手帳に書き留めるだけだが始終身辺が気になる。歌集や歌書を読むことに追われ、私は小説をあまり読まなくなってしまった。毎朝、新聞をひろげれば、広告がしきりに小説を読むように勧めているが、。

 今日の朝刊☀で 小説の投稿、閲覧できるウェブサイトが次々オープンしていることを知る。出版社KADOKAWAとブログなどを運営する♦「はてな」 は今月末、小説投稿サイト
「カクヨム」を始める。狙いの一つは才能の発掘だ。投稿サイトは多様化も進んでいる。主な小説投稿サイトには次のようなサイトがある。

 ♦ 魔法の i らんど  KADOKAWA  恋愛系の小説が中心。「恋空」が映画化

 ♦ 小説家になろう  ヒナプロジェクト 「なろう系」と呼ばれるファンタジー系ライトノベル

 ♦ E ★ エプロスタ  エプリスタ  漫画やエッセーも投稿可能

 ♦ comicoノベル  NHNcomico 登場人物の台詞が無料通信アプリ「LINE」で表示

 ♦ ノペラボ      ディスカヴァー 投稿作は編集者が読み、優秀作は出版も

 ♦ STORIE     インデックス  イラストと物語を合わせて投稿可能

 ♦ カクヨム      KADOKAWA、はてな  ホラーなど7ジャンルのコンテスト実施
                              優秀作は出版も。  

 投稿サイトの利用者向け文学教室で教える作家の石田衣良は「専業で食べていける作家の数はこの10年で半減した。逆に投稿サイトには月に数百万人が集まり、ヒットを生んでいる。小説も出版社が圧倒的に支配する力がなくなっている」と。    

  小説家を志す方へ、 冬こそベストシーズン、2月の寒さがアナタに書かせますよ。

                             2月2日  松井多絵子