えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

短歌の色・色の歌②

2013-11-19 14:40:58 | 歌う

        「短歌の色②」

 近くの銀杏並木が黄葉しはじめている。まもなく黄のトンネルになるだろう。毎年この黄のトンネルをくぐるとき、私の気分が華やぐ。ビルのはざまで暮らしている東京の人々は11月下旬の黄葉の銀杏並木に癒されているのではないか。

      「短歌の色②近代歌人の色の短歌」 佐佐木幸綱氏の講演より  

◆ 与謝野晶子(1878ー1942) 大阪府生まれ

✿清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき  『みだれ髪』 より

 「桜月夜」は晶子の造語といわれる。『みだれ髪』にある「臙脂紫」は江戸時代の華やぐ紫色。

◆ 前田夕暮(1883ー1951) 神奈川県生まれ

✿向日葵は金の油を身にあびてゆらりと高し日のちひささよ  『生くる日に』より

 この歌はゴッホの油彩「向日葵」と思われる。自然主義の影響を受け感覚を微細に表現。

◆ 島木赤彦(1876-1926) 長野県生まれ

✿冬空の天の夕焼にひたりたる褐色の湖は動かざりけり  『切火』より

 大正期の代表的な歌人。「褐色」は夕焼けが暗くなった日没のころの湖の色であろう。

◆ 北原白秋(1885-1942) 福岡県生まれ

✿白き犬水に飛び入るうつくしさ鳥鳴く鳥鳴く春の川瀬に  『桐の花』より

 白秋の作品はリズムがいい。言葉の音楽である。色彩も豊かだ。50歳すぎて失明したらしいが、心の目をひらき私たちの心にしみる歌をたくさん残してくれた。 (続きますく)

     次回は現代歌人たちです、どうぞよろしく。  11月19日    松井多絵子   。