ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Ⅶ The Sorcerer

2007-11-15 01:59:37 | Weblog
このテイクは'68年のハービーハンコックのブルーノートでのリーダーアルバム「Speak Like A Child」からの抜粋だ。この「The Sorcerer」という曲はハービーのオリジナルで、同名のタイトルのアルバムがこのブルーノート盤の数ヶ月前にマイルスディヴィスクインテットのアルバムとしてすでにリリースされている。ふたつのテイク、同時期ではあるけどトリオとクインテットという違い、そしてドラマーが違う。何度もよく聴き比べた。うううん・・・。それぞれに感想はあるけど引き分けにしよう。まあ勝ち負けをつけるのもおかしな話だけど・・・。でも両方とも何度でも聞ける。ということはいい音楽なんだろう。この「Speak Like A Child 」というアルバムは全曲ハービーのオリジナルで、数人のホーン奏者を加えた編成で実験的なアレンジをしてある。トリオのテイクもある。ソロをするのはハービーだけ、ピアニストのいわば憧れのアルバムだ。ボク自身はあまりこういうことに興味がないというか、できるとも思っていないので、好きな音楽として聞いていただけだったが、ボクの先輩で親しい友人でもある辛島文雄さんが、このレコードに憧れていて何枚かリーダ-作を残した後、作れる立場になった時にこれに似た企画のアルバムを苦労して作ったことがある。たしかあの頃だからトリオレコードからリリースされたと思う。間違っていたらごめんなさい。長年の夢を実現できてとても嬉しそうだったのを覚えている。できたてのレコードをお宅で聞かせてもらった。作曲の著作権もレコード印税も全部入るから、売れさえすればかなり儲かる。どのぐらい売れたんだろうか?その後のことは知らない。今度聞いてみよう。まああまり生々しいセコイ話はやめよう。ハービーのこのアルバムの曲は、今ではかなりの高級というか難しいスタンダード曲として、よく演奏されたりカヴァーされたりしている。これだけの曲をどのぐらいの期間で書いたんだろうか?忙しいのによく時間があったものだ。まあ作曲というのは、すぐ出来たり何年もかかったりするもんだから、きっちり期間は特定できない。ハービーも作曲のネタ帳みたいなのは作ってそれにいろいろ書き留めてあると思う。曲を作る人はみんなやっている。ハービーのネタ帳、覗けるもんなら覗いてみたいね。


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