ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Undercurrent

2006-06-16 00:17:04 | Weblog
エヴァンスとジムホールの歴史に残るデュオアルバムといっていいだろう。文句なしこのアルバムの企画はプロデューサーの提案らしい。ラファロの死後落ち込んでいたエヴァンスがほぼ一年経って、新しいトリオでの活動もやり始めた頃の録音だ。ジムホールはそれまでエヴァンスとの競演はなかったけど、ビルの音楽には興味を持っていたらしい。それにしても素晴らしいギターだね。リハーサル嫌いのエヴァンスのことだからあまりリハーサルはやってないんだろう。一曲目の"My Funny Valentine"がなんといっても素晴らしいけど、全体を通して言えることは、ふたりの音の少なさだ。これがやってみるとホントできないんだ。ギタリストとのデュオの仕事は何度もやってきたけど、やってるときは、相手の腕がよければ結構楽しいんだけど、後で録音を聞いてみるとどうしても音数が多い。まあピアノとギターという楽器の特性もあるだろうけど・・・。かなりセーブして音を出さないとすぐ音の洪水だ。そんな演奏もずいぶん聞いてきた。仕事をそんなに一緒にこなしてもいないのに、そういった音楽の全体像が見えるというのは、このふたりはやっぱり"グレート"だね。ジャズは即興でアレンジしたり自分のやるべきことを判断するわけだから、そういうセンスが一番要求される。"木を見て森を見ず"というのが一番まずいんだ。気をつけます。


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