ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Waltz For Debby

2006-06-13 03:11:22 | Weblog
このタイトル曲はもちろん永遠のスタンダードだ。録音されたのはこのアルバムで4回目。でもライブでもだいぶやってたんだろうね。そういう感じだ。ここに収録されてるレパートリーの中で"My Romance"は死ぬまでやり続けてたね。"Milestones"は後にも先にもこの1回きりだ。この時期はいろんなタイプの曲を試してたんだろう。でも全部'ビルエヴァンストリオ'の音楽だ。それがなんといってもすごい。それと1曲目の"My Foolish Heart"にみられるようなキーの選び方だ。エヴァンスは時々あるね。この曲にシャープ3つがなぜ合うと感じたのか、まあベースが開放弦を使えるのはあるけど、それにしても独特の鋭い感性だ。かけだしのピアニストにとって移調は頭痛の種でクリアーしなければいけない大問題なんだ。仕事がやっていけないからね。でもそのハードルを越えると自分の弾く都合だけでなくその曲にどのキーが適しているか冷静に音楽的に判断できるようになる。相当のトレーニングが必要ですが・・。まあこの名盤もそうした小さなことの集大成なんだね。このバンドがスゴイことはエバンス自身も充分認識してたようで、それだけにこのセッションの10日後、ラファロが事故死したことがビルに与えたショックは強烈だったみたいだ。本当になんという悲劇だろう。


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