ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Lulu’s Back in Town Ⅱ

2015-03-18 00:25:27 | Weblog
インプロヴィゼーションに臨む時にやるアナライズは、主に和声構造、いわゆるコード進行を分析するという意味合いが多く含まれている。楽曲には和声構造という要素がひとつの分野として存在するからもちろんこのアナライズの方法は正しい。でも音楽を形作る分野として旋律のモティーフとしての音程関係とリズムの力というのがもうひとつ存在する。客観的に音楽を聴いた場合、この旋律の「成り行き」の方がインパクトがある。これはインプロヴィゼーションを演奏する上で重要なヒントになりうるものだ。もちろん調性音楽における和声構造はとても重要だ。アドリブもしかり。それを充実させたうえでこのメロディーの音程関係、リズムの組み立てを身につけることが重要なのだ。あるモティーフ(動機)があったとして、それを拡大したり変化させて「物語」を作っていくのは音楽を組み立てるうえでごく普通のことだ。もちろんいろんな複雑さがある。でもなんらかの「手」を加えることは自然に誰でも思いつくことで、人間本来の音楽に対する欲求に近いものだろう。コード進行は大事だ。でもそれにあまりに振り回されるとインプロヴィゼーションに閃きがなくなってしまう。客観的に音楽を聴くと簡単にわかることなのだが、複雑なコード進行を見るとどうしてもそれに夢中になってしまう。もちろんコードを無視はできない。頑張って克服する、それしかないのだ。

ソロ
オスカー・ピーターソン
ポリドール


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