ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Mercy,Mercy,Mercy

2007-07-10 00:36:20 | Weblog
この曲はもちろんジョーザヴィヌルの大ヒット曲だけど、これは彼が9年間在籍していたキャノンボールアダレイのバンドの'66年のアルバムのタイトルだ。ライブ盤で全曲バンドのメンバーのオリジナル、一時期サックスのユゼフラティーフなんかも加えたりしてたけど、この時はクインテット、フロントはアダレイ兄弟だ。このアルバムを最初に手に入れたとき、確か先輩のミュージシャンにもらったと思うけど、赤い透明なLP盤だった。録音はお世辞にもいいとはいえないけど、そんなことは全く関係なくなるぐらいの音楽の素晴らしさだ。すごいパワーとなにより強固な音楽的な基盤がある。メンバーはみんな知性派だ。アダレイ兄弟でコンビを組みザヴィヌルを加えて活動し始めて、5年か6年経っている。ヒット曲もいっぱい出したし、バンドとしてのコンセプトもゆるがない。ジャズグループとして大成功を収めた栄光の一端がこのライブアルバムからうかがえる。ザヴィヌルはウェザーリポートを解散した後自分のグループで何度も日本に来ているけど、ステージでマイクを持ってあのヨーロッパなまりのへんな英語でしゃべる時、必ず最初に日本に来たのはキャノンボールのバンドのピアニストとしてだったこと、そして9年間お世話になったジュリアン'キャノンボール'アダレイに対する謝意を述べている。よほど恩義を感じているんだろう。いわばザヴィヌルがジャズの世界でその後やっていくための基礎を作ってくれた人だ。ジョーにとってのまさに人生の恩人なんだ。


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