団塊世代おじさんの日常生活

夏 日本で二番目に気温が高く、陶器と虎渓山と修道院で知られる多治見市の出身です。

彼女のいちばん輝いている時に声をかけなかったのは、誠に申し訳ない気持ちで一杯になりました。

2024-09-17 01:19:23 | 日記

 私は茨木のり子さんの詩のファンです。

 茨木さんの詩の本は、2冊持っています。

 その詩の好きな一つを紹介します。

 茨木のり子さんの詩

 わたしが一番きれいだったとき

 わたしが一番きれいだったとき
 街々はがらがら崩れていって
 とんでもないところから
 青空なんかが見えたりした

 わたしが一番きれいだったとき
 まわりの人達が沢山死んだ
 工場で 海で 名もない島で
 わたしはおしゃれのきっかけを落してしまった 

 わたしが一番きれいだったとき
 だれもやさしい贈物を捧げてはくれなかった
 男たちは挙手の礼しか知らなくて
 きれいな眼差だけを残し皆発っていった

 わたしが一番きれいだったとき
 わたしの頭はからっぽで
 わたしの心はかたくなで
 手足ばかりが栗色に光った

 わたしが一番きれいだったとき
 わたしの国は戦争で負けた
 そんな馬鹿なことってあるものか
 ブラウスの腕をまくり卑屈な町をのし歩いた

 わたしが一番きれいだったとき
 ラジオからはジャズが溢れた
 禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
 わたしは異国の甘い音楽をむさぼった

 わたしが一番きれいだったとき
 わたしはとてもふしあわせ
 わたしはとてもとんちんかん
 わたしはめっぽうさびしかった

 だから決めた できれば長生きすることに
 年取ってから凄く美しい絵を描いた
 フランスのルオー爺さんのように
               ね

 この詩に関して次のように述べられています。
 今、お友達とも良く話すんですけど、若い頃ってかろやかな楽しみが多かったですね。ええ、かろやかな。年を取るとおもったるくなっちゃうの、すべてがね。

 今はものがあふれてるから、そんなことはあまりお感じにならないかも知れないけど、私達はもう、靴一足買ってもうれしかったわけよ。それからレインコート買っても嬉しかったしね。そういうささやかな楽しみっていうのはありました。でも、おしゃれをしたいとか、そういうことはできなかったのね。

 ただ、ああ、今はたちなんだって思ったときがありました。鏡見たら、目が真っ黒くろに光っててねえ。うーん、そうか、今はたちなんだ、今が一番きれいなときかもしれないっていうふうに思ったのね。残念なのは、自分の若さが誰からもかえりみられないということ、特に男性達から。かえりみられるっていうとおかしいんだけどなあ。

 それで、私がラブレターをもらったことがないって書いたら、みんなにびっくりされるんですけどね。ひとっつもないの(笑)。だからやっぱり時代的なものもあるし、それからやっぱり魅力がなかったのかな? 男達はみんな戦争に負けたってことで、みんな自信を失ってたと思うのね。だから、そういうさびしさっていうのもあったんだろうなっていうのも、今になって思うんですけどね。

 「わたしが一番きれいだったとき」は、はじめはいい気な詩を書いたってみんなにいわれたんですよ。いちばんきれいだなんて自分のこと言ってるってね。ところが、ほんとに自分でも無意識だったんですが、私と同世代の人達は、自分たちを代弁して、自分達の世代をうたってくれたっていうふうに読んでくれる人が多くなって。

 それから、アメリカのフォークソングの草分けで、ピート・シガーって人がいるんですが、その人が作曲してくれたんですね。そのときはちょうどベトナム戦争の時だったんです。それで私ははっきり言葉で聞いたわけではないんですが、ピート・シガーって人は、あれをもっと越えたものとしてとらえてくれたなってうれしさがありました。つまり、ベトナムにはベトナムの、一番美しい時を持った少女たちがいたわけですからね。そういう子達の思いっていうのもふくめてくれたなって。だから、そういい気な詩ではなかったなって今になって思うんです。

 一番美しいときは、やっぱり最高に輝いてほしいわけ、どこの国の少女たちにもね。戦争なんかで惨憺たる思いさせたくないじゃないですか。そういう願いの詩ととってもらえればね。

 あれを書いたのは30過ぎなんですけど、それまでにもずっとそういう思いっていうのがあったわけではなくて、なんとなく、書きはじめたら最初から最後までつーっといっちゃって、ほとんど推敲しないでできちゃったのね。ちょっと珍しいんです、私にとっては。いつでも途中まで書いて、後で読むといやだなあって思ったりするんですけど。言葉がどんどん並んできたから、やっぱりあれはできるべくしてできた詩かなあ、と。誰かに書かされたかなあって感じもします。 

 私の短絡的な発想ですが、女性の16歳から22歳くらいまでは特に輝いています。
その時、男性から声がかけられないということは一種の悲劇です。

 若者よ 大いに輝いて一番美しい時代を生きている女性たちに恋をしてください。
恐れていないで。戦争の時でしたら声をかけることも許されないのだから。
 大いに自由な時代を謳歌してください。

 以上です。

 私の高校時代は、戦争なんてありませんでした。

 高校時代に、とても好きな女子学生がいました。

 声をかけるチャンスは何度もありました。

 ちょっとした勇気がありませんでした。

>私の短絡的な発想ですが、女性の16歳から22歳くらいまでは特に輝いています。
その時、男性から声がかけられないということは一種の悲劇です。

 彼女のいちばん輝いている時に声をかけなかったのは、誠に申し訳ない気持ちで一杯になりました。


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