アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

寺院奉納経典用 竹織り布&カード織り紐

2010-06-07 05:30:00 | 染織





●経典包み・竹織り布
製作地 ミャンマー・シャン州  
製作年代(推定) 20世紀初頭

●経典巻き・カード織り紐
製作地 ミャンマー・マンダレー 
製作年代(推定) 19世紀後半~20世紀初頭








古い時代、お寺に奉納する品モノについて、並々ならぬ手仕事が掛けられていました。

経典を巻くための布は、竹を薄く裂き梳いた”ヒゴ”状の経糸、木綿の色糸を緯糸として、一般家庭の女性の手で織り上げられました。素材作りから始まる手の込んだもので、画像の布も、手紡ぎの木綿糸を用いて極めて繊細な一織り一織りにより文様が描き込まれております。

”サジギョウ”と呼ばれる経典巻きの紐は、紐そのものがお経の一部でもあるという類稀な織物、寄進者の名前等も織り込まれるオーダーメードの品モノで、熟練した専門職人の手により”カード織り(タブレット織り)”により手掛けられましたが、今では失われし技巧のものとなりました。

手漉きの桑紙(中段画像)や棕櫚の葉紙に経文が書かれ、場合により漆塗り・金塗りが施され、経典を包む竹織り布が仕立てられ、さらにカード織の紐で結ばれ寺院に奉納された... 一体幾つの”手仕事”が内在することとなるのか、それは想像を超える数であり、すなわち、その一つ一つが”祈り”ということになります。そして”祈り”がなければ宿ることのない”美”があります。

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