アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

肉眼では確認できない極細密な手仕事

2014-03-28 00:53:00 | 技巧・意匠・素材



製作地 ラオス北部  
製作年代(推定) 20世紀前期~半ば
民族名 ヤオ族  
素材 コットン地、シルク刺繍&タッセル、シルク経紋織紐、ビーズ

縦横10cmに満たない布上にコンマmm単位の縫い刺しによる装飾が施され、僅か2mm巾の経紋織の紐が付された婚礼用のお守り袋。

肉眼ではステッチや織りのディテイルは充分確認できず、ルーペで数倍に拡大してやっと糸目が浮かび上がってくるといった圧巻の手技の作品です。














 

カンボジア ダマスク絹の多色絞り染め布

2014-03-26 05:29:00 | 技巧・意匠・素材









製作地 カンボジア南部  
製作年代(推定) 20世紀前期
素材/技法 絹(ダマスク地)、天然染料 / 巻き締め絞り

こげ茶の染め地に”赤””黄””青””緑〈黄と藍の掛け合わせ)””白”の絞り染めで表現されたカンボジアの儀礼用絹絞り、天然染色の色彩の力強さと色構成のバランスの美しさが際立つ一枚です。

絹は平地ではなく、繊細な地紋の入った”ダマスク地”が用いられており、これにより微妙に斑と色ムラ感が加わった(紋様の凹凸に色が浸透する)絞り表情にも格別の味わいがあります。

今では失われし、カンボジアの古の儀礼用絹絞り作品です。



●本記事内容に関する参考(推奨)文献
  

19c英領ビルマ時代のチーク彫り装飾柱

2014-03-14 05:55:00 | 技巧・意匠・素材



製作地 ビルマ(ミャンマー)  
製作年代(推定) 19世紀
素材 チーク材

下から上へと視線が動く、目にする者の心を操るかのようなデザイン構成と、浮き彫りと透かし彫りを巧みに交えた繊細で躍動感溢れる彫り意匠が見事な約1mの装飾柱です。

寺院・僧院の装飾柱に一般的なデザインですが、本作品にはコロニアル様式を感じさせる要素もあり、或いはラングーン(現ヤンゴン)の植民地邸宅における調度品として手掛けられたものである可能性を指摘することができます。土地と時代の色香が目と鼻腔を刺激する一品です。

カンボウジュ種絹で織られた古手の絹格子布

2014-03-08 06:03:00 | 技巧・意匠・素材











製作地 カンボジア南部  
製作年代(推定) 20世紀前期
素材/技法 カンボウジュ種シルク、染料 / 平地・格子

遥か昔マレー世界との交易及び民族・宗教の関わりの中で織り始められたと考えられるカンボジアの格子織物。

現在では木綿を主素材に庶民にひろく流通する多目的布”クロマー”が良く知られますが、本来はカンボジア原産”カンボウジュ種絹”を用いた儀礼用布がベースにあったものと考えられます。

仏印(フランス領インドシナ)の意匠様式が染色の色遣いに反映されたことも伺える、コスモポリタンな空気感と色香を薫らせる染織作品です。




●本記事内容に関する参考(推奨)文献