アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

江戸末~明治期 木綿地”蔓花文”和更紗裂

2016-12-17 08:46:00 | 染織




製作地 日本 ※地域不詳
製作年代(推定) 19世紀末~20世紀初め 江戸時代末~明治時代
素材/技法 木綿、天然染料(顔料) / 型染、摺り込み
サイズ 11cm×80cm

本布は手紡ぎ・手織りの木綿地を台布に、茶、藍及び黒(墨線)の3色遣いで絵柄が染め表わされた”和更紗”としての型染布となります。輪郭線は黒(墨線)と茶、染め色には藍濃淡と掛け合わせが加えられたもの、単純な三色遣いではない手の込んだ染め仕事がなされている様子が確認でき、上質な木綿遣い、多数の型紙を駆使した高度な染め技巧を併せ、汎用品ではなく、特別な用途のために特別な発注により手掛けられたものであることが推察されます。

取り分け藍を主染料とする掛け合わせの色表現が巧みで、青藍と緑で染め分けられた蔓・葉、空藍で染められた花の色バリエーションが見事、作品からは江戸職人技術が駆使された和更紗としての完成美が薫ってまいります。

幅11cm×長さ80cmの細長裂で製作時の織り巾は保たれていないものの、蔓花文様の収まり方には秀逸な味わいがあり、固有の自律美が感じられる一枚です。


























●本記事内容に関する参考(推奨)文献